鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

日本医師会医療情報システム協議会報告

2015-03-20 17:56:22 | 日記
日本医師会医療情報システム協議会報告
日時:2月14-15日
場所:日本医師会館
三原一郎


2月14-15日、日本医師会館で日本医師会医療情報システム協議会(日医協)が行われ、土田副会長、総務の井上課長、ほたるの遠藤係長、ストローハットの鈴木社長と参加してきました。今年の日医協は参加者が400名を超えるという盛会で、医療情報ネットワークは、ID-LinkやHuman Bridgeの普及、医療・介護連携のニーズの高まりもあり、ホットな分野なのだな~と改めて認識しました。

 ところで、日医協の前身に、全医協(全国医療情報システム協議会)とCOMINESという2つの医療IT系の協議会がありました。鶴岡地区医師会は、1997年に全医協で「イントラネットによる地域医療情報ネットワークの構築」という演題で報告して以来、ほぼ毎年のペースで当地域でのIT化の活動をこれらの協議会で報告してきました。Net4U構築の4年前から地域の医療IT化へ取り組んできたことになります。

 さて、学会1日目は、地域医療連携(事務局)セッションが行われました。まずは、「さどひまわりネット」(佐渡市)、「おきなわ津梁ネットワーク」(沖縄県)、「ゆけむりネット」(別府市)、「道南MedIka」(北海道道南地区)の4地域から医療情報ネットワークの事例報告がありました。次いで、筆者を含む12名による「地域医療連携スペシャリストによるパネルディスカッション」が行われ、以下の5テーマにつき、活発な意見交換が行われました。筆者なりのまとめを記しておきます。
1.「連携の地域的範囲」について
ID-Link(ちょうかいネットが利用している仕組み)やHuman Bridge(仕組みはID-Linkとほぼ同じ、F社の製品です)を利用した全県的なあるいは医療圏を超えたネットワークが広まりつつあります。Net4Uは、ID-Linkを利用して2次医療圏にネットワークが拡大しました。今後は、医療・介護連携にはNet4Uのような使い勝手の良いローカルなシステムとID-Linkのような広域連携の仕組みが、混在していくのではないかと思われます。
 
2.「連携のためのデータ形式の統一」について
異なるシステム間の共通のデータ基盤として、SS-MIX2という仕様が標準化しつつあります。今後は、すべての電子カルテシステムが装備すべき機能ではないかという意見が支配的でした。


3.「地域医療連携は何を連携するか」
何を連携すべきかは、連携する相手や患者さんを中心に考えるべきことだと思いますが、このセッションでは、病院は何を開示すべきか、とくに診療録(医師の記載)の開示の是非について議論となりました。現状として、診療所医師は診療録の開示を望んでいるものの、多くの病院が開示をしていないことが多いようです。(ちょうかいネットは開示しています)
4.「日医認証局の利用」について
認証局の役割として、個人(ネットワーク)認証と電子署名がありますが、個人認証に関しては、多職種が参加する今の医療・介護現場での必要性は低いのではという意見が多く聞かれました。一方で、電子署名は情報提供書などの公文書の電子保存を可能するための仕組みとして、今後の普及が望まれます。
5.「運用資金の問題」 について
ほとんどの地域の医療情報ネットワークは、地域医療再生基金や補助金を利用して開発されていますが、運用費の負担に関しては、ユーザ負担、医師会負担などさまざまでした。どの地域も継続的な運用には課題も多いようです。個人的には、ネットワーク参加率をあげるためにも、公的資金を投入し、強制化が必要と考えています。

2日目午前は、「日医IT戦略セッション ~ORCA・日医認証局の今後の展開に向けて~」、というテーマで、日レセ(ORCA)と日医認証局をテーマに5名からの講演がありました。ORCAの稼働状況は、全国で14523件、山形県では138件、シェアー率は14.7%で3位の位置にあります。ORCA周辺ソフトとしては、電子カルテ、レセプトチェックソフト、診療支援システムなど多数ありますが、日医で独自に開発しているソフトとして、MI_CAN(みかん)の紹介がありました。みかんは、ORCAに入力された内容を活用して、診療情報提供書や診断書を作成するソフトで、オフィスや文書管理ソフトなど市販アプリなどとの連携も可能とのことでした。また、電子署名にも対応しています。

日医認証局については「医師資格証の現状と今後の展開について」として講演がありました。医師資格証とは、日本医師会が発行する個人認証、電子署名に必要となるICカードです。現在、914枚発行しているそうで、月200枚程度のペースで伸びているとのことですが、運用費がペイするには6万枚の発行が必要とのことでした。医師資格証を利用するアプリケーションとしては、講習会や研修会の出欠管理、スマートフォンを用いた資格確認などがあるようですが、今後は、診断書、紹介状などの電子署名、専門医の証明などにも利用を拡大したいとのことでした。フロアーから、年額5000円は高い、無料で配布すべきではないかとの執行部への注文があり、拍手が起こっていました。まだ利用場面がほとんどないカードに年5000円払う会員は少ないと思います。まずは、全員に無償で配布し、普及してから利用法を考えた方が良いのではないかと思いました。

2日目の最後のセッションは、「医療情報の取り扱いはどうあるべきか?~医療におけるIDのあり方~」でした。いわゆるマイナンバー制度は、今年の10月に国民全員に個人番号(マイナンバー)が配布され、来年1月から運用が始まります。この番号は、おもに社会保障、税の申請に使われますが、日本医師会ではマイナンバーが医療に使われることを懸念しています。セッションでは、内閣府と厚労省から制度やマイナンバーの利活用についての講演がありましたが、マイナンバーの利用範囲は法律に厳密に明記されており、それ以外の利用は法律違反になる。医療にマイナンバーは使わないとの説明がありました。
なお、日医協の詳しい講演内容や資料については、日本医師会の会員向けホームページに掲載されておりますので、参考として下さい。
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