鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.489(鶴岡みらい健康調査セミナー)

2015-03-19 11:07:05 | 日記

鶴岡みらい健康調査は、慶應義塾大学生命先端科学研究所(先端研)が世界に先駆けて開発したメタボローム解析技術を取り入れた予防医学の実用化を目指した大規模コート研究です。本研究は、先端研、鶴岡市、鶴岡地区医師会が協働し取り組んでいますが、本年度(3月末)で3年間におよぶベースライン調査が終了します。想定した1万人分のサンプル収集は昨年11月に達成し、順調に推移しています。

今後は、25年およぶ追跡(フォローアップ)調査に移ります。成果がでるのは次の世代になりそうですが、メタボローム解析を活用することで、生活習慣による体内への影響を評価し、個人の生活習慣や体質に基づいた次世代型オーダーメイド健康診断が期待されています。

一方で、「どうしたら健康になれるか?」が分かっても、多くの人にとっては実際に生活にいかすのは難しいと思われます。その解決のキーワードは、「最新のことをわかりやすく」、「仲間と一緒に地域ぐるみで続ける」、「楽しく取り組んで幸せに生きる!」ことだと原田先生は講演で述べていました。この部分については、「からだ館」では、元気に生きるための交流の場として、勉強会、出前講座、料理教室、見学会、患者サロン「にこにこ倶楽部」などの活動を行っています。

今回で3回目を迎えた「鶴岡みらい健康調査セミナー」は、調査の活動状況、進捗状況、研究成果等を紹介するとともに、健康情報も盛り込みながら、市民と一緒に健康について考えることを目的として毎年開催されています。今回は「健康長寿研究最前線」と題して、いかに健康を維持しながら長生きするかをテーマに2つ講演とパネルディスカッションが行われ、最後に南東北地域のコホート研究の最新情報などにつき3名の先生から講演頂きました。

最後のあいさつとして、富田所長から「メタボロームとくもの糸で一大産業を~上場企業を生んだ慶応大鶴岡キャンパス~」と題して、先端研発の多くの成果報告と、鶴岡をアメリカのシリコンバレーのような、最新のサイエンスを世界へ発信する一大産業拠点に!、という壮大な話があり、ワクワクしてしまいました。


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鶴岡みらい健康調査セミナー
健康長寿研究最前線
日時:2015年3月15日 13:30~16:00
会場:生命先端研レクチャーホール
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講演「白寿者に学ぶ健康寿命」

◆「フレイル予防~超高齢期のからだの健康」
  新井康通氏(慶應義塾大学医学部 百寿総合研究センター 専任講師)

百歳を超える超高齢者(百寿者)がなぜ長生きできるのか?
遺伝、環境&生活習慣、疾患と生活機能障害、性格と心理、社会サポートなど多面的な研究を行った。

長寿に関連する因子として、
・生活習慣
・動脈硬化になりにくい
・喫煙、飲酒:適量なら問題なし
・高血圧、脳血管障害、がん、:百寿でも60%程度はある
・糖尿病:6% (糖尿病があると百寿は難しい)
・肥満:脂肪細胞が大型化→アディポネクチンの減→糖尿病の悪化
などあるが多様。 

フレイル(虚弱)
 活動低下、筋力低下、予期しない体重減少、疲れやすさ、動作の緩慢
 フレイルは、認知機能の低下と関連する
 長寿にはルレイルを予防することが大切
 その為には、十分な栄養と運動習慣をつくるのが重要


◆「老年的超越~70歳からの幸福感とこころの健康」
  増井幸恵氏(東京都健康長寿医療センター研究所 研究員)

高齢期の幸福感
 健康で、生きがいをもって、生涯現役

85歳以上を超高齢者と分類

超高齢期には、身体機能が大きく低下するが、幸福感をより一層感じるようになることが知られている。この高齢者の多幸感を老年的超越という。


◆パネル討議
「健康長寿の地域づくりを目指して」

 司会:秋山氏
 パネリスト:松田氏、新井氏、増井氏、後藤氏(老人クラブ連合会元会長)


健康長寿のひけつ:健康、生きがい、仲間、役割、目標

鶴岡地区の課題
 60-90歳台の生存数が山形市に比し低い
 がん、自殺が多い
 肺がん、ワースト 10位 喫煙率が影響?
 自殺予防には、地域のつながりが重要


【講演】
「健康長寿実現へ向けた南東北地域のコホート研究最新情報」

◆「東北メディカル・メガバンク地域住民コホート研究について」
 寶澤 篤氏(東北メディカルバンク機構 予防医学・疫学部門 教授/副部門長)


被災地に医療関係人材を派遣して地域医療の復興に貢献するとともに、15万人規模の地域住民コホートと三世代コホートを形成し、そこで得られる生体試料、健康情報、診療情報等を収集してバイオバンクを構築する

◆「山形コホート研究について」
 川崎 良氏(山形大学 公衆衛生学口座 助教) 

山形県下7市町村で、2万人の研究協力者大規模なゲノムコホート研究を行っている


◆「鶴岡を元気に!みらい健康調査の3年間と”みらい”への展望」
  原田 成氏(慶應義塾大学生命先端研・医学部衛生学公衆衛生学 助教)


◆閉会のあいさつ 


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