私が初めて登った山は、富士山です。当時、リタイアしたばかりの私は、あるタウン誌に載っていた「富士の頂上でご来光を」というツアー広告に惹かれたのです。その日は、丁度私の65歳の誕生日で、富士の頂上で誕生日を迎えるのも悪くないと思ったからです。「登山の経験はないが、大丈夫か」という私の問いに、ツアー会社は、「80歳の人でも登っているから大丈夫」との返事。参加することにしました。
当日、5合目でバスを降り、30名ほどのメンバーで登り始めました。途中、雨に降られたものの、夕刻、難なく7合目の山小屋に到着。そこで4時間程の仮眠をとり(一睡もできませんでしたが)、暗い中、ヘッドライトをつけて、頂上を目指します。8月の富士山は、登山客で、数珠繋ぎの渋滞となり、早朝のご来光に間に合うためには、十分な時間が必要だからです。
道はだんだん険しくなり、8合目を過ぎたあたりから、私の足は悲鳴をあげ始めました。それに、寒さが襲い、震えがくるほどでした。ついに、9合目の山小屋でリタイアすることにしました。その時私は、ツアー会社に、「登山は初めてだが、大丈夫か」と聞くのではなく、「散歩をしたこともないが、大丈夫か」と聞くべきであったと後悔したのです。
しかし、9合目から早朝見た景色は、想像を絶するものでした。眼下に広がる雲海と、遮るもののない眺望の奥から、ぐんぐんと迫ってくる太陽は、深く私の心を打ちました。山小屋の人は、この日の景色は、最近になく秀逸であること、頂上からのご来光も9合目からのそれも、全く変わらないこと、9合目といえども、日本では第二位の標高であること(2番目の山は、北岳)、ということを我々に話してくれました。それは、「あなた方は、敗者ではない」と言っているように、私には聞こえました。
その後、私は、身丈相応の山を選んで登っています。初めは一人で登っていましたが、段々怖くなり、今では、地元のハイキングクラブに所属しています。富士山のような高い山には登っていませんが、どのような山でも、頂上に達するまでの苦しみがあり、その先に、何とも言えない達成感・喜びが待っています。
今週(3月20日)の練習曲
「ハンガリア舞曲#6」「乾杯の歌 (椿姫) 」「前奏曲(椿姫)」「真っ赤な太陽」
「瀬戸の花嫁」「聖者の行進」「浜辺の歌」
新曲が多くなりました。特に、クラシックの曲は難物です。ただ、・については、幾つかのメロディーのパターンが繰り返し出てくるので、そのパターンを自分のものにすれば、何とかなりそうです。頑張りましょう。
(菅野)