お父さんのマリポタ日記。
マリノスのこと、ポタリングのこと。最近忘れっぽくなってきたので、書いておかないと・・・
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<その4>より続きます


午後6時56分、日も暮れて車もライトを付け始めた

 折り返しでの補給はいなり寿司、唐揚げ棒とあと何だったろう。もう忘れてきたぞ。
 
 ここまでは楽しいサイクリングだったと心の底から思っていた。ヒザとケツの痛みさえ出てこなければ、この先も楽しいライドが待っているはずだ。塩尻峠が果たして登れるか? 上れなければリタイアだ。日が暮れてきたこともあってか、少し気持ちが凹んで来ていた。
 
 2番手さんは私がPCに到着してすぐに出発し、もう2度と背中さえ見ることもなかった。私の前後に到着したライダーは6人。みなさん、結構まったりしていたので、私はみなさんより先にスタートした。さあ、ナイトランの始まりだ。
 
 忘れていた。塩尻峠の前に地獄の風が待っていることを・・・。
 
 巡航は25km/h以下。気を抜けば、20km/hを切ることも。そして松本市街の大渋滞と道沿いの店舗地獄。あわやサンキュー事故の危機も1度あった。ヒザの痛みは引かない。もうヘロヘロ。そんな状態で高出交差点を曲がる。待っているのは、長い長い塩尻峠への道。
 
 登坂車線は切れることなく続く。スピードは多分10km/h以下だろう。右足を回すごとに「ピキッ」といういやな音がする。スムーズな回転ができない。苦しい。本当に苦しい。「600キロ? 冗談じゃないよ。200キロでこんな状態なのに走れるもんか!」。暗闇の中で自問自答する。
 
 黙々と漕ぐ。止まったら、もう走り出せないような気がしていた。とにかくピークまで頑張ろう。そして休もう。
 
 自分自身との苦闘を繰り返し、ようやく見えた歩道橋! 着いた・・・。


午後9時4分、塩尻峠を登り返す

 期待していた諏訪湖は真っ暗で見えなかった。
 
 でも、ともかくここでひと休みだ。ストレッチをしてヒザの具合を確かめる。幸いなことに、曲げると痛みはあるものの、強烈な痛みは襲ってこない。これまでの経験だと平地では回せる痛みだった。残っている上りは、富士見峠と稲子のあたりか。この状態ではヤビツ並みの峠は登れないが、その2つだったら何とかなりそうな気がした。
 
 かなりの時間を休んでいたような気がしたのだが、後続のライダーに出会うことはなかった。
 
 少し休むとヒザの具合も多少は回復した。次はPC5へ下るだけだ。ウインドブレーカーを着込んで下山を始める。

 岡谷バイパス分岐から道が悪くなったのは、ケツにさらにダメージを与えた。


午後9時55分、第5PC

 午後9時55分、第5PC(長野県諏訪市)到着。ここまで248.2km、av24.3km/h。塩尻峠への登坂でかなり平均時速が落ちている。ここで何を補給したかは完全に忘れた。コンビニはこの日、5回目。もう何を買っていいかも分からなかったので、適当に買ったのだろう。はっきり言って、コンビニはもう飽きた。

 寒さを感じるようになり、このコンビニのトイレで長袖のインナーとレッグウオーマーを付けた。
 
 青葉300のときもそうだったが、夜になると時間感覚が完全になくなる。長い距離を走ってきて気持ちもハイになっている。要するに、何が何だか分からない状態だ。
 
 このPC5からゴールまでのPCでは私がひとりで先着し、しばらくすると誰かが到着するというパターンだった。不思議なことに、その誰かは毎回違う人だった。
 
 ここでの休憩でも、ヒザは回復気味になった。しかし、走り始めてしばらくすると痛みが出てくる。
 
 富士見峠までの道ってこんなに長かったっけ・・・。
 
 車の通行はほとんどない。回りに気を遣わないだけ、自らの痛みをより一層感じる。そして「やっぱり600は無理」と思う。今、こうして苦しみながら上っていることは、楽しいことではない。
 
 やがて立ち漕ぎもできなくなる。ケツが痛いのでたまには浮かせたいのだが、それも苦痛。ケツをサドルに乗っけるのも苦痛。車がいないのを幸いに、蛇行しながらゆっくり上る。そして見えてきた歩道橋。このピークが歩道橋というのが、峠を登ったという達成感を今ひとつにさせるのだが、そんなことは言ってられない。もうこの先は漕がなくていいのだ。天国だ!
 
 上っているときは凹んでいた気持ちが、下りにさしかかると高揚してくる。現金なものだ。下りの快感を味わいながら「600だって行けるぞ」なんて思えてしまう。のど元過ぎれば、だ。


午後10時42分、気温は13度(写真では判別できませんが)

 気温は13度。いくら昼間の気温が高くても、標高の高い場所の夜を甘く見てはいけない。ネックウオーマーを持って来なかったことを後悔した。下山は寒い。凍えるほどではないにしろ、準備不足を痛感しながら降りていく。
 
 下り切ったあとはアップダウン。それも8%を上ってすぐさま7%を降りるという、自転車海苔いじめとしか思えないアップダウンを越えると、懐かしきK12への分岐となる。
 
 K12を走っていて、すれ違った車は5台ほど。抜かれたのは2台だったか。道が暗いこともあってほとんどセンターライン付近を走った。車のいない道って、やっぱ気持ちいい。ヒザの具合は相変わらずだが、平坦か、緩い上り程度なら何とか回せる。ダンシングすると、ヒザにズキッとくるのでできないが、それ以外はなんとかなりそうだ。あとはケツがどこまで持つか、だ。

 諏訪湖のあたりから風はピタッと止んでいた。最近では耳にしなくなったカエルの大合唱をBGMに、無風の真っ暗な田舎道をPC6へひた走る。

<その6>へ続きます

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<その5>より続きます

 約12時間前に見た風景に戻ってきた。
 

午前0時43分、第6PC

 午前0時43分、PC6(山梨県南アルプス市)到着。ここまで301.4km、av24.2km/h。
 
 誰もいないコンビニの駐車場でカップヌードルをすすりながら考える。「600なら、これが折り返しか・・・。走れないな」。300キロ近くになるとケツが猛烈に痛くなる。青葉300のときもそうだった。もたないよ、ケツ・・・、600キロも。ヒザもダメだろうなぁ・・・。200キロ走って夕方帰ってきて、風呂入ってビール! これが一番楽しいよ、きっと。
 
 スタートしようとしたら、ブルベライダーが1人到着した。聞いてみると、ブルベは昨年200、300と走ったがヒザをやられたそうだ。みんな、ヒザで苦しむのは同じ。そして「コンビニ飽きましたね」という思いも同じ。
 
 ここからは下り基調。小笠原橋北詰を右折し、R52へ。掘り返した跡だらけの道が、ガツンガツンとケツに効く~~~。そして信号ストップ。だ~れもいない信号を、たった1人で青になるのを待つ。サドルにケツを乗せると激痛が走る。しばらく回して、ケツの位置が定まると、痛みも治まる。できれば、サドルからケツは離したくない。
 
 そんな苦闘を繰り返す。そして上沢交差点手前の自販機の前でひと休み。PC6からPC7までは65キロ。もう一気に行ける足はない。
 
 休んでいても、後続は来ない。できれば誰かと一緒に行きたいのだが。K10は真っ暗という噂なので・・・。


午前2時40分、波高島のT字路

 1人で暗闇のK10を走り始める。たまにザザーと音がする。「何?」。多分、水が流れる音だろう。きっとそうだ。そうに違いない。深く考えるのはやめよう。
 
 EL520は強力な味方だった。今回はそれが2灯。これが道を明るく照らしてくれた。車もまったくいないと言っていいほどなので、堂々と道の真ん中を走る。もっと暗闇を想像していたが、月明かりもあってそれほどではないような気がした。


午前2時59分、身延駅

 アップダウンをこなし、ようやく身延駅に到着する。来るときは気が付かなかったが、門前町らしい町の雰囲気を駅からのぼんやりとした光の中で楽しむことができた。
 
 で、その先は、あ~、10%の坂だってよ。右ヒザはもう限界。平地なら回せるが、上りではトルクが入らない。思い切り蛇行しながらほとんど左足だけで上っていく。
 
 「何で、夜中の3時にヒルクライムしなきゃいけないんだ?」。でも足は付きたくない。ゆっくりゆっくり、歯を食いしばりながら上っていく。
 
 頭の中で何か声がする。誰か何か言ってる。でも、回りに誰かいるはずもない。睡眠不足もあって、だんだんとおかしくなってきた。
 
 稲子T字路からの最後の激坂。ここも蛇行しまくり。これで最後だ。あとは平坦。それだけを心の支えに上る。左ヒザにも痛みが出てきた。もう少しもってくれ。頼む!

 ※<その7>に続きます


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<その6>から続きます


午前4時8分、最後の激坂区間を終えると芝川町。空は白み始めた

 ようやくピーク。静岡に帰ってきた。空はだんだんと明るくなってきていた。
 
 もう少し。もう少しだ。頑張ろう。


午前4時40分、最後の第7PC。完全に夜は明けた

 午前4時40分、PC7(静岡県富士郡芝川町)に到着。ここまで365.4km、av23.7km/h。
 
 「サイクリングかい?」。コンビニのおやじさんが聞く。「そうですよ」。
 「この前も大勢来たよ。台湾からも来てたなぁ。同じかい?」
 「同じだけど、今日は人数が少ないですね。あ、ずっと遅くに600キロ走る人が来るかもしれませんが」
 
 「ふ~ん、で、あんたで3人目だよ」
  そう言われてもね。ブルベはレースじゃないし、それぞれのペースで走るのだから順位はない。前の2人の方とはかなり離れているだろうし、私から後の6人ほどは同じようなペースだ。もうすぐ誰か来るだろうと思っていたら、折り返し前にぶっちぎられた2人組が到着した。


午前4時56分、富士川橋手前のK10からは富士山が雲の上に頭を出していた

 最後の35キロへ向けて出発。ケツも右ヒザも、もう大変な騒ぎだが、ここまで来てDNFはしたくない。
 
 K10を走っている途中、ふと左手を見ると富士山が雲の上に顔を出していた。素晴らしい眺めだった。


午前4時57分、なんだか荘厳な感じがした

 午前4時57分。このとき、あの富士山の標高2000メートルの世界にはご来光を掴もうと5人の男がいた。そのうち4人は驚くべき事に須走からあざみラインを自転車で上って来ていた。寒川のmasaさん、Tonyさん、yu-jinさんこんさんの神奈川の4人の自転車海苔たちだ。彼らはご来光に間に合ったのだろうか。
 
 そして、北のスバルラインでは富士ヒルクライムが行われ、4000人近くの自転車海苔が5合目を目指して上る。晴れて良かった。きっと楽しいヒルクライムになるだろう。
 
 さてと。私はあと25キロでゴールだ。
 
 富士川橋を渡って最後の直線。K396からK380は地獄だった。
 
 ケツは痛い。ヒザは痛い。そしてずっと続く緩~い登り坂。さらに信号がない! 休めない!! 元気であれば快適に飛ばせる道。往路では確かに気持ちいいほどスピードが出た。それが復路になると、サドルはまるで剣山のよう。苦痛との闘いだった。
 
 三園橋のほんの少しの坂を車道から上る自信がなく、歩道をゆっくりと上った。
 
 「学習院游泳場」の看板が見えたときは、正直ほっとした。「楽しかった」というよりも、「終わった」という安堵感が先だった。
 
 午前6時27分、ゴール(静岡県沼津市)。401.8km(サイコンでは405.92=R20で少しだけミスコースした)、av23.7km/h。
 
 ゴール後は風呂に入ることができ、さっぱりして帰路につく。一睡もしていないのだが、不思議と眠くない。やはり400キロを走った興奮が残っているのだろうか。
 
 さすがに高速を走っていたら眠くなりそうだったので、R246を走る。途中の善波峠でヤビツへ向かう自転車海苔を何人も見かけた。みんな、頑張って上ってね。私はこれから帰って寝ます・・・。
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スタート      09時00分 ※静岡県沼津市
PC1 052.7km 11時00分 av27.9km/h ※山梨県南巨摩郡南部町
PC2 100.4km 13時10分 av27.3km/h ※山梨県南アルプス市
↓(富士見峠)
PC3 153.6km 16時13分 av25.9km/h ※長野県諏訪市
↓(パンク、塩尻峠)
PC4 200.9km 18時40分 av25.9km/h ※長野県安曇野市 折り返し
↓(塩尻峠)
PC5 248.2km 21時55分 av24.3km/h ※長野県諏訪市
↓(富士見峠)
PC6 301.4km 00時43分 av24.2km/h ※山梨県南アルプス市
PC7 365.4km 04時40分 av23.7km/h ※静岡県富士郡芝川町
ゴール 401.8km 06時27分 av23.7km/h ※静岡県沼津市
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  ◆サイコンによる記録(ブルベのみ)
       距離 405.92km
       平均時速 23.7km/h
       走行時間 17時間04分14秒
       グロス走行時間 21時間27分
       最高速度 56.9km/h
       ※07年の通算 5432.86km
              ロード 2987.24km
              BD-1  2200.21km
              MTB  0234.42km
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 ブルベから3日ほどたった今、達成感はじわじわと涌いてきている。ヒザはだんだん良くなってきたが、ケツの痛みは直らない。困った・・・。

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6時台のゴールでした。
コメントレスは後ほど致します。すいません。
ではおやすみなさい。


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豊科到着。これから沼津へ帰ります。


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駿河湾


明日はここをスタートし


狩野川を三園橋で渡って左へ曲がり、長野を目指す

 明日2日のブルベのための前泊で、沼津へ来ています。写真だけ見ると、まるで自走で沼津へ来たような感じですが、400キロを翌日に控えてそんなことはしません。ホテルに車を置いて、近所をブラブラしているだけです。


ここに吸収されました

 名物の「海鮮かきあげ」は年寄りにはしつこそうだったので、お刺身を食べました。店のおばちゃんたちはみんな気さくで感じのよい人ばかりでした。
 
 「店の前で写真撮っていいですか?」って聞くと、「みなさん撮ってますよ。記念にって」。ヤビツの看板みたいだな、こりゃ。

 ◆サイコンによる記録
       距離 9.89km
       平均時速 19.7km/h
       ※07年の通算 5026.94km
              ロード 2581.32km
              BD-1  2200.21km
              MTB  0234.42km

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