「タラスク」というのはD&D公式ルール内で最強とされるモンスターです。能力値データはどれも圧倒的な高数値で、キャラクター達がまともに戦える強さではありません。デザイナーがゴジラを再現するつもりで作ったそうで、本来ならば倒せない、対抗出来ない超巨大厄災の権化という位置付け。存在感知したら逃げろ、諦めろ、そういう相手です。
でも私は正面から戦うつもりでした。もう勝ち負けの問題ではありません。ホロブンはこの世界最強武器を持って、世界最高効率の攻撃技も備えました。この状態で世界最強のモンスターに挑める機会なんてそうそう無いでしょう。
全力でタラスクに挑む、それが果たせれば思い残すことはありません。
だがしかし、これは全力だろうか。まだ到達していない領域がある気がします。
ルールブック内の戦闘手順解説にサイズ関連の記述があります。通常のキャラクターは中型サイズ。その上には、大型、超大型、巨大、とまでサイズ規定があり、大きいほど基本ダメージダイスが上がります。もしもホロブンを巨大サイズまで拡大したなら、基本W数は4D10の2丁持ち、10面ダイス8個が巡航火力です。
これは巨大化しなくてはなりません。以前からホロブンは行動がロボットみたいなところがあって、最終回は巨大ロボになりたいなどのネタを話したりしていました。でもそれは「HOPEの艦首がホロブンと合体してガイキング化する」等の冗談の内でした。GMも巨大化してもいいけど数値は変化しないよ、と流す話でした。
しかし今回は真剣です。
巨大ロボの外見欲しいだけなら、D&D世界にはウォーフォージドという機械種族が居て、ロボ系キャラクターを使えます。しかし能力的にやや不満があり、おそらく「感情を持った人間臭い機械」キャラ向けを想定してるパラメータでした。感情描写要らないから機械の大出力が欲しい私とは、目指す方向が正反対です。それでも自律メカ存在の根拠程度にはなります。
早速GMの盗り夫さんに打診しました。初めはまたいつものネタ話と受けたようでしたが、リソースとロールプレイ分もつぎ込んで、最終決戦兵器にしたいと伝えると「それならば理由が要る」とのこと。GMが強くなる許可を出すのも重要ですが、今まで無かった数値を足し増やすにはルール内での装備スロットなり、クラス特技なり、数値の根拠が無いと他プレイヤーに対して、自分オリジナルルールで優劣を付けることになるので、巨大になりたい願望だけで巨大化は無理だそうです。そらそうだ。D&Dゲーム中で「ボクはねウルトラセブンだったんだ」と発言したところで、変身も巨大化も出来ません。ゲーム間違えてるよ。
でも今回は相手がタラスクです。D&D版ゴジラを正面から戦って倒さないといけません。天才科学者の居ない世界では、誰かがウルトラマンにならないと怪獣に対抗出来ない気がします。何か無いか、巨大化できそうな装備、魔法、パワー、クラス、なんでも良いんだ。
しばらく経ってから盗り夫さんが「乗騎はどうだろう」と。
乗騎。その発想は無かった。
しかし、30レベルの対タラスク戦に通用する乗騎などあるのか、ありません。基本的にどこまで強化しても本人が身体張って戦うのがD&Dの作法です。乗騎ごときで勝敗決まってはいけないシステムです。盗り夫さんが海外分も合わせて乗騎データを検索してくれましたが、そのまま使えそうな乗物はありませんでした。ならば参考にして作るだけのこと。
とはいえ、特別製乗騎データを今から設定するのではなく、処理的には巨大サイズ相当のW数まで身体拡張する着ぐるみ状のもので、それ以外の数値強化は無し。つまり武器だけデカくなって射程や防御には効果ゼロの乗物。許可できるのはそのくらいの性能だそうです。それで十分です。おそらくシナリオ内では二週間程しか時間猶予がないので、その時間内に強化服を組み立て、<騎乗>技能も取得しないといけません。
これでサイズが決まりました。巨大サイズの強化服。いわばパワードスーツ。それに合わせて道具を揃えます。
まず10面ダイスがたくさん必要です。30個ほどじゃらじゃら買ってきました。場合によっては50個以上一度に振る場面も想定されるので、これでも最低限。
最重要はフィギュアです。私の参加卓ではマップ上にメタルフィギュアを置いて、実際に位置取りをしながら遊びます。見た目のビジュアル面は卓上フィギュアが全てですから、これを用意しないと実際の容姿が伝わりません。もう長いことやってるから、全員キレイに塗装されていて、今更そこに無塗装や適当なアイコン駒を出すわけにもいかないのです。
しかし、この巨大ホロブンフィギュアを用意するのが、殊の外難航しました。
ホロブンの意匠をどこまで再現するのか、の判断が非常につけにくいのです。そもそも私は長年使ってるホロブンというキャラクターの外見が、あまり好きではありませんでした。ドワーフは頭身が低いうえに顔の造形が濃い目で、日本人受けしないデザインだと思います。それに長年ホロブンの内面も一種の異常人格として扱うのが定着していました。
人格の希薄なキャラクターが無意識で変身を遂げたとしたら、それは果たしてどのような姿になるのでしょう。そしてその姿を次のゲームまでに、決めて、組み立て、色塗って、仕上げていかないとなりません。これは難題です。
順を追って消化するために条件洗い出しました。
条件①
高ストレングス。終始一貫してホロブンは腕力で進んで来ました。そして腕力に拠る攻撃力が他のあらゆる要素に優先されます。善悪、好き嫌い、そうした条件に全く影響されない歪な程純粋な暴力装置。ただ攻撃力を上げるだけが目的で、他はどうでもいいのなら、最初に考えるのは強力な腕と武器。
ここで候補が3個挙がりました。
1/144ガンプラで「ガンダムAGEタイタス」「BFハイモック」、バイファムARV「ガッシュ」。
どれも腕が太く力強いポーズがよく決まるプラモデルです。サイズ的にも卓上で巨大サイズ用4×4マス土台に乗せるのに丁度いい大きさです。
条件②
前傾姿勢。頭より高い位置に肩と背筋があると、腕力が強すぎて背筋が伸びず自然と前屈み体勢になるのではないかと思います。アメコミの怪力系キャラがよくそんな誇張表現されてます。そうしたゴリラ体型素体ならば、ハイモックは前傾姿勢が取りにくいけど、体型と稼働範囲が優秀。一方でガッシュは設計が昭和のキットなので、ポーズ付けはやや見劣りします。それでも体格のパーツバランス等がホロブンのイメージと良く合い、ホロブンが異質な技術で身体拡張したなら、こうした宇宙人ロボ型も似合う気がします。タイタスは戦闘時の構えポーズが別格なほど良く決まりますが、胴と頭がモロにガンダムなので加工作業も一番多いでしょう。
あれこれ考えても結論はなかなか出せず、いい加減疲れてしまいました。
映画トランスフォーマーにハウンドというロボットが居ます。緑色のメタボ体型髭親父ロボで、見た目も中身もTFに典型的ドワーフ要素を乗せたら、こうなったてな感じでした。試しにそのハウンドの玩具の両手に適当な斧を持たせてみました。玩具はやや体型スリムだけどいい感じに髭親父メカドワーフ戦士に見えます。見えなくもない。その上可動範囲は非常に広く、ポーズ付けが大変良く決まります。斧を構え、引き絞った姿勢から、一気に振り抜いた状態まで、いちいち格好良い。どうせ仲間内のゲームだし、そのメンバーならハウンドの顔みて「ホロブンと似てるね」と同意してくれるでしょう。どっちが先かで似てるのかで言えば、緑色髭親父キャラなんて昔から沢山いるので他人の空似です。気にすんな。
そんなふうに気分が緩んでいた時に、盗り夫さんがツイッターに画像を上げていました。ダンボールで怪獣の頭らしきモノを作ってる作業途中の写真。バケツくらいの大きさがありそうな、実際に被れそうな、ほぼ等身大サイズ怪獣の頭部でした。盗り夫さんは器用で何かといろいろ作る人ですが、この人の作成物はほぼ全てゲーム絡みです。
この怪獣ヘッドをどこで使うのか。決まってんだろ、私たちにぶつけて来るんだよ。
ホロブン、あれと戦うのかー。たいへんだね。
大変だ。ハウンドでいいかーなど呆けてる場合か、手間暇を惜しんでたら「見た目の格」で負けるぞ、いや勝負どころか土俵にも上がらせてもらえない。こっちもホロブンロボを用意しないとダメだ。
でも私は正面から戦うつもりでした。もう勝ち負けの問題ではありません。ホロブンはこの世界最強武器を持って、世界最高効率の攻撃技も備えました。この状態で世界最強のモンスターに挑める機会なんてそうそう無いでしょう。
全力でタラスクに挑む、それが果たせれば思い残すことはありません。
だがしかし、これは全力だろうか。まだ到達していない領域がある気がします。
ルールブック内の戦闘手順解説にサイズ関連の記述があります。通常のキャラクターは中型サイズ。その上には、大型、超大型、巨大、とまでサイズ規定があり、大きいほど基本ダメージダイスが上がります。もしもホロブンを巨大サイズまで拡大したなら、基本W数は4D10の2丁持ち、10面ダイス8個が巡航火力です。
これは巨大化しなくてはなりません。以前からホロブンは行動がロボットみたいなところがあって、最終回は巨大ロボになりたいなどのネタを話したりしていました。でもそれは「HOPEの艦首がホロブンと合体してガイキング化する」等の冗談の内でした。GMも巨大化してもいいけど数値は変化しないよ、と流す話でした。
しかし今回は真剣です。
巨大ロボの外見欲しいだけなら、D&D世界にはウォーフォージドという機械種族が居て、ロボ系キャラクターを使えます。しかし能力的にやや不満があり、おそらく「感情を持った人間臭い機械」キャラ向けを想定してるパラメータでした。感情描写要らないから機械の大出力が欲しい私とは、目指す方向が正反対です。それでも自律メカ存在の根拠程度にはなります。
早速GMの盗り夫さんに打診しました。初めはまたいつものネタ話と受けたようでしたが、リソースとロールプレイ分もつぎ込んで、最終決戦兵器にしたいと伝えると「それならば理由が要る」とのこと。GMが強くなる許可を出すのも重要ですが、今まで無かった数値を足し増やすにはルール内での装備スロットなり、クラス特技なり、数値の根拠が無いと他プレイヤーに対して、自分オリジナルルールで優劣を付けることになるので、巨大になりたい願望だけで巨大化は無理だそうです。そらそうだ。D&Dゲーム中で「ボクはねウルトラセブンだったんだ」と発言したところで、変身も巨大化も出来ません。ゲーム間違えてるよ。
でも今回は相手がタラスクです。D&D版ゴジラを正面から戦って倒さないといけません。天才科学者の居ない世界では、誰かがウルトラマンにならないと怪獣に対抗出来ない気がします。何か無いか、巨大化できそうな装備、魔法、パワー、クラス、なんでも良いんだ。
しばらく経ってから盗り夫さんが「乗騎はどうだろう」と。
乗騎。その発想は無かった。
しかし、30レベルの対タラスク戦に通用する乗騎などあるのか、ありません。基本的にどこまで強化しても本人が身体張って戦うのがD&Dの作法です。乗騎ごときで勝敗決まってはいけないシステムです。盗り夫さんが海外分も合わせて乗騎データを検索してくれましたが、そのまま使えそうな乗物はありませんでした。ならば参考にして作るだけのこと。
とはいえ、特別製乗騎データを今から設定するのではなく、処理的には巨大サイズ相当のW数まで身体拡張する着ぐるみ状のもので、それ以外の数値強化は無し。つまり武器だけデカくなって射程や防御には効果ゼロの乗物。許可できるのはそのくらいの性能だそうです。それで十分です。おそらくシナリオ内では二週間程しか時間猶予がないので、その時間内に強化服を組み立て、<騎乗>技能も取得しないといけません。
これでサイズが決まりました。巨大サイズの強化服。いわばパワードスーツ。それに合わせて道具を揃えます。
まず10面ダイスがたくさん必要です。30個ほどじゃらじゃら買ってきました。場合によっては50個以上一度に振る場面も想定されるので、これでも最低限。
最重要はフィギュアです。私の参加卓ではマップ上にメタルフィギュアを置いて、実際に位置取りをしながら遊びます。見た目のビジュアル面は卓上フィギュアが全てですから、これを用意しないと実際の容姿が伝わりません。もう長いことやってるから、全員キレイに塗装されていて、今更そこに無塗装や適当なアイコン駒を出すわけにもいかないのです。
しかし、この巨大ホロブンフィギュアを用意するのが、殊の外難航しました。
ホロブンの意匠をどこまで再現するのか、の判断が非常につけにくいのです。そもそも私は長年使ってるホロブンというキャラクターの外見が、あまり好きではありませんでした。ドワーフは頭身が低いうえに顔の造形が濃い目で、日本人受けしないデザインだと思います。それに長年ホロブンの内面も一種の異常人格として扱うのが定着していました。
人格の希薄なキャラクターが無意識で変身を遂げたとしたら、それは果たしてどのような姿になるのでしょう。そしてその姿を次のゲームまでに、決めて、組み立て、色塗って、仕上げていかないとなりません。これは難題です。
順を追って消化するために条件洗い出しました。
条件①
高ストレングス。終始一貫してホロブンは腕力で進んで来ました。そして腕力に拠る攻撃力が他のあらゆる要素に優先されます。善悪、好き嫌い、そうした条件に全く影響されない歪な程純粋な暴力装置。ただ攻撃力を上げるだけが目的で、他はどうでもいいのなら、最初に考えるのは強力な腕と武器。
ここで候補が3個挙がりました。
1/144ガンプラで「ガンダムAGEタイタス」「BFハイモック」、バイファムARV「ガッシュ」。
どれも腕が太く力強いポーズがよく決まるプラモデルです。サイズ的にも卓上で巨大サイズ用4×4マス土台に乗せるのに丁度いい大きさです。
条件②
前傾姿勢。頭より高い位置に肩と背筋があると、腕力が強すぎて背筋が伸びず自然と前屈み体勢になるのではないかと思います。アメコミの怪力系キャラがよくそんな誇張表現されてます。そうしたゴリラ体型素体ならば、ハイモックは前傾姿勢が取りにくいけど、体型と稼働範囲が優秀。一方でガッシュは設計が昭和のキットなので、ポーズ付けはやや見劣りします。それでも体格のパーツバランス等がホロブンのイメージと良く合い、ホロブンが異質な技術で身体拡張したなら、こうした宇宙人ロボ型も似合う気がします。タイタスは戦闘時の構えポーズが別格なほど良く決まりますが、胴と頭がモロにガンダムなので加工作業も一番多いでしょう。
あれこれ考えても結論はなかなか出せず、いい加減疲れてしまいました。
映画トランスフォーマーにハウンドというロボットが居ます。緑色のメタボ体型髭親父ロボで、見た目も中身もTFに典型的ドワーフ要素を乗せたら、こうなったてな感じでした。試しにそのハウンドの玩具の両手に適当な斧を持たせてみました。玩具はやや体型スリムだけどいい感じに髭親父メカドワーフ戦士に見えます。見えなくもない。その上可動範囲は非常に広く、ポーズ付けが大変良く決まります。斧を構え、引き絞った姿勢から、一気に振り抜いた状態まで、いちいち格好良い。どうせ仲間内のゲームだし、そのメンバーならハウンドの顔みて「ホロブンと似てるね」と同意してくれるでしょう。どっちが先かで似てるのかで言えば、緑色髭親父キャラなんて昔から沢山いるので他人の空似です。気にすんな。
そんなふうに気分が緩んでいた時に、盗り夫さんがツイッターに画像を上げていました。ダンボールで怪獣の頭らしきモノを作ってる作業途中の写真。バケツくらいの大きさがありそうな、実際に被れそうな、ほぼ等身大サイズ怪獣の頭部でした。盗り夫さんは器用で何かといろいろ作る人ですが、この人の作成物はほぼ全てゲーム絡みです。
この怪獣ヘッドをどこで使うのか。決まってんだろ、私たちにぶつけて来るんだよ。
ホロブン、あれと戦うのかー。たいへんだね。
大変だ。ハウンドでいいかーなど呆けてる場合か、手間暇を惜しんでたら「見た目の格」で負けるぞ、いや勝負どころか土俵にも上がらせてもらえない。こっちもホロブンロボを用意しないとダメだ。