土砂災害の前兆 土臭いにおい、根が切れる音、地鳴りに注意|NEWSポストセブン (news-postseven.com)
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2020.09.05 07:00
女性セブン
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土砂災害の前兆 土臭いにおい、根が切れる音、地鳴りに注意
今年8月、グーグルが「スマホを地震計にして世界最大の地震検知ネットワークを作る」と発表したように、災害予知技術の進化がめざましい。しかし、周囲を見渡せば、災害予知のヒントはある。
近年、地震・台風・豪雨などの天災が頻繁に発生しているわが国では、『天災から日本史を読みなおす-先人に学ぶ防災』(中公新書)という本がロングセラーとなっている。これは『武士の家計簿』の著者で歴史家の磯田道史さんが、古文書に残された災害の記録をひもといた一冊だ。
江戸時代の宝永地震が招いた富士山噴火で振動が4日間、降灰が12日間続いたという被害状況や、高知県を襲った巨大津波の際に武士家族が先祖代々の刀を取りに戻って避難が遅れた話など、過去の災害で生き延びた人たちの行動に学ぶ知恵が紹介されている。
なかでも興味深いのは、若き日の森繁久彌の逸話。1946年、徳島県で大津波に遭遇した際、前日に井戸水が濁り、前夜に地鳴りを聞いたなど前兆現象のエピソードが紹介されている点だ。もしもこのときに、避難していなければ、稀代の名優は誕生しなかったことになる。
災害を予知して命を守るもう1つのヒントが、地元にある“災害伝承碑”の場所とメッセージを確認することだ。たとえば、岡山県倉敷市真備町の源福寺に建立された「明治26年大洪水供養塔」という災害伝承碑は、1893年当時の洪水時の水位がこの碑の高さまで上がったことを示している。
「災害伝承碑や市町村の災害史は、地元の過去の災害を調べる絶好の材料です。自分の住む地域のどこに何の危険があるのかを調べ、さらに土砂災害防止法に基づき、全国で約67万か所もある土砂災害警戒区域が近くにないか、地元の役所で配布している最新ハザードマップでチェックし把握するだけでも、命を守る行動につながります」
そう話すのは一般財団法人砂防・地すべり技術センターの研究顧問、池谷浩さん。池谷さんによれば、台風や豪雨、地震が多い日本では、全国どこでも土石流やがけ崩れ、地すべりなどの土砂災害に遭う可能性があるという。
近年、地震・台風・豪雨などの天災が頻繁に発生しているわが国では、『天災から日本史を読みなおす-先人に学ぶ防災』(中公新書)という本がロングセラーとなっている。これは『武士の家計簿』の著者で歴史家の磯田道史さんが、古文書に残された災害の記録をひもといた一冊だ。
江戸時代の宝永地震が招いた富士山噴火で振動が4日間、降灰が12日間続いたという被害状況や、高知県を襲った巨大津波の際に武士家族が先祖代々の刀を取りに戻って避難が遅れた話など、過去の災害で生き延びた人たちの行動に学ぶ知恵が紹介されている。
なかでも興味深いのは、若き日の森繁久彌の逸話。1946年、徳島県で大津波に遭遇した際、前日に井戸水が濁り、前夜に地鳴りを聞いたなど前兆現象のエピソードが紹介されている点だ。もしもこのときに、避難していなければ、稀代の名優は誕生しなかったことになる。
災害を予知して命を守るもう1つのヒントが、地元にある“災害伝承碑”の場所とメッセージを確認することだ。たとえば、岡山県倉敷市真備町の源福寺に建立された「明治26年大洪水供養塔」という災害伝承碑は、1893年当時の洪水時の水位がこの碑の高さまで上がったことを示している。
「災害伝承碑や市町村の災害史は、地元の過去の災害を調べる絶好の材料です。自分の住む地域のどこに何の危険があるのかを調べ、さらに土砂災害防止法に基づき、全国で約67万か所もある土砂災害警戒区域が近くにないか、地元の役所で配布している最新ハザードマップでチェックし把握するだけでも、命を守る行動につながります」
そう話すのは一般財団法人砂防・地すべり技術センターの研究顧問、池谷浩さん。池谷さんによれば、台風や豪雨、地震が多い日本では、全国どこでも土石流やがけ崩れ、地すべりなどの土砂災害に遭う可能性があるという。
ちなみに、土石流は長雨や豪雨で崩壊土砂や川底の石が一気に下流へと流れ下る現象。がけ崩れは豪雨や地震で斜面が突然崩れ落ちる現象。地すべりは家や田畑や木なども一緒に地面が大きな塊のまますべり落ちていく現象のことをいう。
「従来の土砂災害は全国平均で毎年1000件程度だったのが、2018年には3459件と約3.5倍に激増し、2019年も約2倍。今年の7月豪雨では932件もの土砂災害が発生しました。雨の降り方が明らかに変わってきている点に留意すべきです」(池谷さん・以下同)
つまり、「何十年も住み続けて何も起こらなかったんだから、うちは大丈夫」といった経験則が、いまや通用しない時代になってきているのだ。だからこそ、過去の災害履歴に学びつつも、それだけに頼らず、ハザードマップや最新気象データも活用しながら、土砂災害に関する前兆現象の知識も総動員して災害に備えることが重要だ
「災害は前兆現象が目視できる昼間に起きるとは限らず、“土臭いにおい”や“根が切れる音”“地鳴り”など耳や鼻でわかる前触れに注意を払うのも大事な点。土砂災害で最も多いがけ崩れの場合なら2階に避難するだけで助かる確率が高くなり、土石流なら家ごと破壊されるので、近くの安全な友人宅などへ避難する…など、平時から決めておくことも大切です」
そして分散避難で3密を避けるのも、ウイズ・コロナ時代の災害避難のポイントだ。
さらに、国土交通省砂防部が作成した「土砂災害警戒避難に関わる前兆現象情報検討会」資料から、見逃してはいけない土砂災害の3つの“サイン”を紹介する。
【土石流】
発生の2~3時間前には、流水の異常な濁り。1~2時間前には、渓流内で転石の音がしたり、流木が流れてくる。発生直前には、土臭いにおい、地鳴り、流水の急激な濁り、河川水位の激減などが見られる。特に、雨が降っているのにもかかわらず河川水位が激減した場合は危険。上流で山腹が崩壊し天然ダムができている可能性があるので、すぐに避難する必要がある。
「従来の土砂災害は全国平均で毎年1000件程度だったのが、2018年には3459件と約3.5倍に激増し、2019年も約2倍。今年の7月豪雨では932件もの土砂災害が発生しました。雨の降り方が明らかに変わってきている点に留意すべきです」(池谷さん・以下同)
つまり、「何十年も住み続けて何も起こらなかったんだから、うちは大丈夫」といった経験則が、いまや通用しない時代になってきているのだ。だからこそ、過去の災害履歴に学びつつも、それだけに頼らず、ハザードマップや最新気象データも活用しながら、土砂災害に関する前兆現象の知識も総動員して災害に備えることが重要だ
「災害は前兆現象が目視できる昼間に起きるとは限らず、“土臭いにおい”や“根が切れる音”“地鳴り”など耳や鼻でわかる前触れに注意を払うのも大事な点。土砂災害で最も多いがけ崩れの場合なら2階に避難するだけで助かる確率が高くなり、土石流なら家ごと破壊されるので、近くの安全な友人宅などへ避難する…など、平時から決めておくことも大切です」
そして分散避難で3密を避けるのも、ウイズ・コロナ時代の災害避難のポイントだ。
さらに、国土交通省砂防部が作成した「土砂災害警戒避難に関わる前兆現象情報検討会」資料から、見逃してはいけない土砂災害の3つの“サイン”を紹介する。
【土石流】
発生の2~3時間前には、流水の異常な濁り。1~2時間前には、渓流内で転石の音がしたり、流木が流れてくる。発生直前には、土臭いにおい、地鳴り、流水の急激な濁り、河川水位の激減などが見られる。特に、雨が降っているのにもかかわらず河川水位が激減した場合は危険。上流で山腹が崩壊し天然ダムができている可能性があるので、すぐに避難する必要がある。
【がけ崩れ】
発生の2~3時間前に、がけから水が湧き出してくる(湧水)、表面流(地中に水が染み込まず、土壌表面を流れる水)の発生。1~2時間前には、小石がパラパラ落ちてくる、新たな湧水の発生、湧水の濁り。発生直前には、湧水の停止・吹き出し、がけに亀裂が入る、小石がポロポロと落下、地鳴りなどが起こる。ただし、上記の現象が一気に発生する場合もあるので要注意。
【地すべり】
切迫性が小さいものとして、井戸水の濁り、湧水の枯渇、湧水量の増加などが見られる。池や沼の水かさの急変、亀裂・段差の発生、落石・小崩落、根の切れる音がする、樹木の傾き、構造物のはらみ出しやクラックの発生などが起こると切迫性が大きくなる。地鳴り・山鳴り、地面の振動などが起こると切迫性が極めて大きくなるので、その前に速やかに避難しよう。
※女性セブン2020年9月17日号
発生の2~3時間前に、がけから水が湧き出してくる(湧水)、表面流(地中に水が染み込まず、土壌表面を流れる水)の発生。1~2時間前には、小石がパラパラ落ちてくる、新たな湧水の発生、湧水の濁り。発生直前には、湧水の停止・吹き出し、がけに亀裂が入る、小石がポロポロと落下、地鳴りなどが起こる。ただし、上記の現象が一気に発生する場合もあるので要注意。
【地すべり】
切迫性が小さいものとして、井戸水の濁り、湧水の枯渇、湧水量の増加などが見られる。池や沼の水かさの急変、亀裂・段差の発生、落石・小崩落、根の切れる音がする、樹木の傾き、構造物のはらみ出しやクラックの発生などが起こると切迫性が大きくなる。地鳴り・山鳴り、地面の振動などが起こると切迫性が極めて大きくなるので、その前に速やかに避難しよう。
※女性セブン2020年9月17日号