「五層の功夫」、その第四層である。
ここに至ったら、ここでの練習期間が3~5年(!)・・・太極拳はやってもやっても奥がどんどん深くなる。
まさに、「勤学苦練、歩々深入口」であります。
今更ながら、出典元の日本陳式太極拳学会会報「陳家溝」に感謝感謝。
沢山の貴重な資料は、読み返すごとに新しい発見があり、自分がいかに独りよがりの理解をしていたかに気付かされる。
上達に早道はない!ただ繰り返し練習するだけなのであるよ。。
※以下の原稿は、日本陳式太極拳学会会報「陳家溝」初出。禁無断転載。
~~~~~~~~~~~~~~・~~~~~~~~~~
「五層の功夫」陳 小旺
第四層の功夫
「練習面」
第四層は中園から小園への段階です。高度な境地に入りました。
具体的には太極拳のすべてを掌握しています。また各式の動きを組み合わせて実践に応用することもできます。臨機応変に技を用いる研究も可能です。
練拳どきは周囲を手強い相手に囲まれていることを想定し、意識して気力を充実させておきます。まるで相手と戦っているような様で練拳し、正に戦うときは、度胸をもち、動作には最新の注意を払えば、相手をまるで意識していないような戦法になります。練習種目は第三層と同様で、第四層の期間は3年から5年かかります。
「技撃面」
前段階とは大いに異なります。
第三層では相手の勁を化わし、身法を調整して反撃の勁に替えることができるようになりました。第四層では、化わしを連ねながら発勁をともなうという段階に進みます。
つまり、功夫は充実し、周身を構成する体系が固まったからです。推手時は、相手の進攻に対し自分の威力が弱いと察したならば触れたまま身法を変えてゆく神業の智恵を繰り出すことが特長となります。逆らうことがないので変化は人に知られず、実を避け、虚をつくのです。動作は小さくまとまり、その威力は的確なものがあります。化勁も発勁も思いのまま、ほとんど動かずに人を飛ばすので、何が起こったか分からない素早さとなります。
私の父が第四層に達したときでした。
叔父が旅から帰り、父と私が彼の家に招待されました。叔父は父と同年で父よりも立派な体格をしています。家に入るや叔父は突然両手で後方から父の右腕をとり、逆関節で引き込んでいいました。
「どうだ、振りほどけるか?」
突然の出来事で、しかも強烈です。普通ではとてもだめです。
父はちょっと払ったようでしたが、叔父は1メートルほどの高さに真っ逆さまに宙返っていました。
父はすぐ一歩右足を出すと大腿で彼の頭を受け止め、両手で抱えると地面に叩き付けました。叔父は真っ青。見ていた人もただ驚きです。
実は何でもないことで、襲われた時、父は重心を下げ、身体をやや左へ回し左足に体重をかけると、つかまれている腕をそのまま後方下へ逆纒でひねっただけでした。
叔父は自分の力の分だけ前のめりになり、その刹那、父に敗れたのでした。“四陰五陽は名手の類い、相手に触れれば早技の妙”といいます。
(日本陳式太極拳学会会報「陳家溝」より)
以下続く。
ここに至ったら、ここでの練習期間が3~5年(!)・・・太極拳はやってもやっても奥がどんどん深くなる。
まさに、「勤学苦練、歩々深入口」であります。
今更ながら、出典元の日本陳式太極拳学会会報「陳家溝」に感謝感謝。
沢山の貴重な資料は、読み返すごとに新しい発見があり、自分がいかに独りよがりの理解をしていたかに気付かされる。
上達に早道はない!ただ繰り返し練習するだけなのであるよ。。
※以下の原稿は、日本陳式太極拳学会会報「陳家溝」初出。禁無断転載。
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「五層の功夫」陳 小旺
第四層の功夫
「練習面」
第四層は中園から小園への段階です。高度な境地に入りました。
具体的には太極拳のすべてを掌握しています。また各式の動きを組み合わせて実践に応用することもできます。臨機応変に技を用いる研究も可能です。
練拳どきは周囲を手強い相手に囲まれていることを想定し、意識して気力を充実させておきます。まるで相手と戦っているような様で練拳し、正に戦うときは、度胸をもち、動作には最新の注意を払えば、相手をまるで意識していないような戦法になります。練習種目は第三層と同様で、第四層の期間は3年から5年かかります。
「技撃面」
前段階とは大いに異なります。
第三層では相手の勁を化わし、身法を調整して反撃の勁に替えることができるようになりました。第四層では、化わしを連ねながら発勁をともなうという段階に進みます。
つまり、功夫は充実し、周身を構成する体系が固まったからです。推手時は、相手の進攻に対し自分の威力が弱いと察したならば触れたまま身法を変えてゆく神業の智恵を繰り出すことが特長となります。逆らうことがないので変化は人に知られず、実を避け、虚をつくのです。動作は小さくまとまり、その威力は的確なものがあります。化勁も発勁も思いのまま、ほとんど動かずに人を飛ばすので、何が起こったか分からない素早さとなります。
私の父が第四層に達したときでした。
叔父が旅から帰り、父と私が彼の家に招待されました。叔父は父と同年で父よりも立派な体格をしています。家に入るや叔父は突然両手で後方から父の右腕をとり、逆関節で引き込んでいいました。
「どうだ、振りほどけるか?」
突然の出来事で、しかも強烈です。普通ではとてもだめです。
父はちょっと払ったようでしたが、叔父は1メートルほどの高さに真っ逆さまに宙返っていました。
父はすぐ一歩右足を出すと大腿で彼の頭を受け止め、両手で抱えると地面に叩き付けました。叔父は真っ青。見ていた人もただ驚きです。
実は何でもないことで、襲われた時、父は重心を下げ、身体をやや左へ回し左足に体重をかけると、つかまれている腕をそのまま後方下へ逆纒でひねっただけでした。
叔父は自分の力の分だけ前のめりになり、その刹那、父に敗れたのでした。“四陰五陽は名手の類い、相手に触れれば早技の妙”といいます。
(日本陳式太極拳学会会報「陳家溝」より)
以下続く。