「INDIGO PLANTS」は、これまでも何度か紹介したように、太極拳繋がりの藤田信宏さんが主宰している演劇集団。
その第8回公演「黒の仁風」が、1月10日から14日まで、中野であった。「忘れてはいけないこと」をテーマにこれまで作品を創り、上演してきた「INDIGO PLANTS」の”戦国絵巻3部作”の最終巻である。
関ヶ原の戦を縦糸に、主要人物は、ハンセン病を患っている大谷吉継と、歌舞伎の始まりと言われる出雲の阿国。それに石田三成の、3人の友情を横糸に、史実を基に縦横無尽なロマンを配して繰り広げられた舞台。
陳式太極拳で全国大会に上位入賞の常連である藤田さんの殺陣は見応えがあり、真面目な人柄がそのまま舞台に現れている。と同時に、劇中披露された主題歌と挿入歌は、どちらも優しく柔らかく、殺伐とした戦の時代をテーマにした舞台にふんわりとした趣を添えているようだった。
藤田信宏さんは、高校生の頃から時たま、気仙沼から横浜まで、三代一美先生の指導を受けに通ってきていたことがあり、一美先生が亡くなられたことをすぐには受け入れられないほどのショックを受けたという。何度もメールを見てそのたびに涙を流して、すぐには返信できなかった、と言っていた。
「三代一美先生お別れの会」はこのお正月明けの公演を控えて稽古に忙しい時期だったが、スケジュールを調整して駆けつけてくれた。その優しさがいつも「INDIGO PLANTS」の舞台には伏流水のように流れている。
真面目で律儀な一方、物事を複眼で捉えることができる演劇人だなと、今回の舞台を観て、あらためて感じるのであった。
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今回の公演のチケットは完売とのこと。