神奈川県大会が終わり、CT検査も終わり、次の大事は、30日からの投薬入院。
先週木曜日は、午前中の教室を終えてから、シャネル・Nexus Hallで開催中の「Antoni Taule〜INSULA LUX(光の島)展」に。
描かれている景色は、どれも彼が長年暮らしているスペイン・フォルメンテーラ島の建物の内側から見た外の景色と差し込む光を描いたものだ。木の床、レンガの通路、柱廊、崩れかけた壁、捨て置かれたような椅子・・・建物の内部と、開いた扉を通して差し込む光とその向こうにある地平線や海、草むらといった明るい外界との対比が繰り返し描かれている。
印象的なのは、写真の印画紙の一部を絵の具でリタッチペイントしている作品で、写真であればはっきりと見えるはずの空や木立や草や道などは渾然一体となって曖昧で、漠としている。暗い建物の内側から見る光は、様々な記憶を呼び起こす。暗い陰の中にいる自分と、光の中にある未知の世界・・・その風景から漠然としたためらいや不安定な気分、懐かしさ、哀しさ、心の痛みなどが呼び覚まされるよう。不思議な感覚を覚えるのだった。
アントニ・タウレは「写真と絵画は密接に関連している」と語っているとのことだが、それがこのフォルメンテーラ島の光景を描いたこの作品展の見所の一つでもあると思う。
日本での初個展となるアントニ・タウレは、1945年生まれでスペイン出身。パリ オペラ座やNYメトロポリタン歌劇場などで舞台芸術を手がけてもいるという。古典的な絵画の手法と写真を画面の中で一致させ、昇華させている。作品もはどれも額縁なしで重々しくなく、時代の共有性を感じるのでありました。
帰りには、すぐ近くの奥野ビルにある『ギャラリーナユタ』。1月26日まで開催中の河 明求展「幻の神社」で、韓国の縁起物”ダルマとカササギ”の話しを聞きながら、ユーモラスな陶器の作品を見せてもらって愉快な気分。
30日に控える「本態性血小板血症」の投薬入院に向けて気力アップした一日でありました。