ゴシックロマンの金字塔とされる「フランケンシュタイン」が出版されて200年。これまで多くの著名な監督によって映画化されている。。。。ロバート・デ・ニーロが演じた(Fコッポラ制作/ケネス・ブラナー監督)哀しみに満ちたフランケンシュタイン(ラストは切なかった。。)、コミカルな映画「ヤング・フランケンシュタイン」(メル・ブルックス監督)では、哀愁に満ちたバイオリンの調べとジーン・ワイルダーが演じた「フロンコンスティン博士」の可笑しさ(博士の末裔である大学教授は“フランケンシュタイン”と呼ばれると”フロンコンスティン!”と訂正するのであった)。ワタシ的には、古いモノクロ無声映画で(いつ頃の作品だったか??)、《怪物》が湖の畔で少女と花摘みをしているシーンが美しく印象に残る。
ストーリーは何となく知っていても、ちゃんと読んだのは、国書刊行会という出版社が出していたゴシックロマンシリーズで読んだのが最初。かなり前のことだ。分厚い本だったような気がするが、重層な描写やストーリー展開が面白く、引き込まれるように読み耽ったものである。
メアリー・シェリーが「フランケンシュタイン」を書き上げたのは1818年。メアリーは18歳だった(!!)
19世紀始めのイギリスといえば、まだ女性の権利が認められず、社会的地位は低く、ロンドンの街はまだ暗く貧しく薄汚れていた頃。そんな時代に、18歳の女性によって「フランケンシュタイン」という《怪物》が生み出されたのだ!(初版は匿名であった)
墓地で詩作を重ねていたメアリーはやがて詩人シェリーと出会い、強く引かれあって暮らし始めるも彼は妻子持ち。しかも生まれた子供は幼くして病死、シェリーは“自由恋愛”の名の下に次々と恋人を作り、元妻は自殺。。。
たった一人の愛を求め、裏切られ、孤独の中に捨て置かれ、傷付けられ、そんなメアリーの心が「フランケンシュタイン」という《怪物》を産み出し、結晶となり”英国文学史上最も若く、最もセンセーショナル”と称される作品とへと昇華される。
スコットランドの冬景色や、ふとした街路の影、バイロン卿の館・・・ 箇所箇所に挿入される映像は美しい。それに主役を演じるエル・ファニングの初々しくも意思の強さを感じさせる表情も美しく、深く心に残る映画でありました。