お正月に届いたさとう陽子さんの個展のお知らせ。
新年の挨拶に添えて、とても素敵な言葉が書かれていた。
「美しいものを見つづける 逃げではない 責めでもない ひとつの覚悟として」というものである。
さとう陽子さんは、以前、1990年代後半から2001年あたりまで、横浜のアート&ライブのミニコミ情報誌『Bay Ma』を出していた頃に出会った作家さん。最初に見た作品は、真っ白いキャンバスに墨で線が描かれたものだった。その線が描く強弱ある柔らかな流れは、彼女が行っている”所作”という動きの軌跡を辿っているようで、それはまたあたかも太極拳の動きのようにも思えて、画面全体のキリッとした潔さと合わせ、かなりダイレクトに心に響く作品だった。
その後、何度か作品を観ている間に、段々色が増し、明るさが広がって輝き始め、当初の突き詰めるような画面から受け入れる暖かさに変化してきている。
それでも、その制作を通して一貫しているのは、さとう陽子さんのひたすら創作に集中しかけている強い精神性だ。
絵画だけでなく、写真や、ちょこっとした言葉を通して、絵を描くことと生きることがイコールになっている彼女の作品を見続けて10年弱になるか。
去年のワタシの病気のことを知って、個展の案内に寄せてとても深いお見舞いの言葉を送ってくれたが、多くを語らず深くを想う、その言葉はいつもなにがしかの暖かさを胸に残してくれる。今回書き送ってくれた「美しいものを見つづける。。。」の一文も、ここ数年、ワタシがいつも心にとめていることへの共感として、とても力強く心に残ったのであった。
■さとう陽子展ーすきをすくー
会期:2020年2月3日(月)〜2月15日(土) 11:00−19:00(日曜休廊、最終日17:00まで)
パフォーマンス:2月8日(土)16:00〜(15分程度。無料)
会場:ギャラリー檜B・C