横浜美術館で7月11日から10月18日までに渡り始まった「蔡 國強:帰去来」展。
99体のオオカミのレプリカが、透明な壁に向かって跳び、叩き付けられて落ちたり転げたりしている代表作でもある『壁搗き』は圧巻!
その壁は、ベルリンの壁と同じ高さ、なのだという。見えない壁に向かって突撃する、完成されない99(100未満)のオオカミは、まるで、今現在の日本を映し出しているよう。。。
入館してすぐの正面壁一面には、『夜桜』と題した、横浜美術館内でのインスタレーション(和紙に描かれた絵の上で火薬をちりばめて爆発させる)で仕上げた大きな作品が、まずは度肝を抜く。
続く作品も、ここ横浜で制作された春・夏・秋・冬に分かれた「人生四季」。
春の色に包まれたぼんやりした男女の形が、夏、秋と移るにつれて、より鮮やかに、まるで浮世絵の春画のようにエロチックな色を纏って現れる。(ちなみに、この展示室は、中学生以下は保護者同伴のR15指定であった)。
続く展示室は、各面240枚もの白い磁器タイルに春夏秋冬の花(ボタン、蓮、菊や梅など)や鳥、金魚、蝶などを焼いて、その上で火薬を爆発させた4つの作品。美しく、陰影深く、ダイナミックでどこか哀しい。。。
その中央には、横浜の美術学生らと一緒に作り上げたという、藤蔓にテラコッタの朝顔(もちろんこれも爆薬処理されて)を括り付けた『朝顔』が天井から床まで届く。。。
制作過程を移した映像も流れていて、まるで創作の場に一緒に立ち会っているかのような感動を覚える。
かつて、同じ横浜美術館の小さなギャラリーの方で、初めて蔡 國強の作品を観たときのぶっ飛びそうな印象そのままに、もっと洗練されて、スケールはより大きく、まさに”これぞ、現代美術家!”と圧倒された展覧会であった。
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