前回は警報が客室高度警報ではない可能性を示してみました。
警報は実際には1.4秒で停止しています。
客室高度警報が停止する条件は以下の通りになります。
気圧高度が−500〜−1500ftまで降下する
機関士が停止する
機関士が1.4秒で停止するとは考え難いですね。もしその様な短時間で停止するならば構えて待っていなければならないでしょう。ならば事前に知っていた事になります。
降下するにしても1.4秒と言う短時間で13000ftまで降下しなければなりません。
不可能です。
ボイスレコーダーを聞けばわかりますが、機長は22000ftまでの降下をリクエストしています。
つまりそれ程の短時間で急減圧があったとは考え難いのです。
更に酸素マスクをつけた方が良いという機関士からの提案は衝撃音から9分後です。
これは約25年前に放送された特別番組でも実験されていましたが、高度24000ftで、急減圧が起き酸素不足に陥ればまともな判断が出来るのは2分が限界です。
これにより、当初は酸欠に陥ってしまったパイロット達は操作を誤ったのではないかと実しやかに噂された理由です。
しかし実際にはボイスレコーダーの解析から、全くそうではないと判明しました。
15年が経ち、内部リークされたボイスレコーダーにより、その汚名は晴らされたのです。
事故調によれば
18時24分37秒、1秒間に3回警報が鳴り停止。27秒間停止した後に25分02秒からまた鳴り出す。
事故調はこれに対して
1秒間鳴った後、故障して27秒後に装置が復活してまた鳴ったと言う訳のわからない推論を述べています。
しかし、実際には1.4秒間に5回鳴った。
しかも、そもそも客室高度警報が鳴っていないと考えたなら、故障も起こしていないのです。
この様に考えれば、そもそも急減圧があったことすら考えられません。
もし短時間にそれ程の急減圧があれば、機内には風速数十メートルの空気の流れがあったはずですが、証言からもその様な事実はありません。
客室高度警報でないならば、あの警報は同じ音を使っている離陸警報と言う事になります。
ネット上には実しやかに囁かれる噂があります。
ボイスレコーダーの24分46秒の部分です。
事故調はこの部分を『オールエンジン』と言う発言と解析しています。
この部分がネットでは『オレンジエア』だとし、訓練用模擬飛行機がオレンジなのでオレンジエアだと言うものです。
このオレンジエアが事故に関わっている。
元自衛官である機長はこれを知っていたから思わずオレンジエアと発言したと。
しかし、実際には機関士が発言したものであり、更にオレンジエアなる言葉もありません。
後にこれは『ボディギア』だと、ボイスレコーダー解析者も訂正しています。
しかしボディギアでもないのです。
実際には、これは元旅客機パイロットも衝撃していますがオレンジギアであると思われます。
そして57秒にも同じ発言があります。
これはオレンジドアではないかと思われます。
そう考えると辻褄が合う。
フライトレコーダーを見れば、衝撃音の直後に機首が6°変化しています。
この6°の変化が元に戻るまでの時間が1.4/sなのです。
着陸装置には安全装置が付いています。
これが最初の衝撃と機首の傾きにより安全装置に不具合が出た。
具体的には安全装置のセンサーが着陸装置の不具合を感知した。
しかし機首が戻る事で警報が止まったと考えられるのです。
そしてそれらの警告灯は機関士の前にあり、異常がなければ緑色に光っています。
異常があればオレンジ色に光ります。
例えば離陸後、ギアに異常が無ければ『オールグリーン』や『ギヤグリーン』と発言します。
それを考えると着陸装置のインジケーターがオレンジに光り『オレンジギア』や『オレンジドア』と機関士が機長に知らせたと考えられるのです。
これらを考え合わせると
18:24.35の警報は客室高度警報ではなく、離陸警報であり、25.04から客室高度警報が鳴り出した。
そう考えれば、異常から29秒かかり緩やかに減圧していた。
と、言う事になります。
事故調は5秒強の減圧時間を示しています。
更に少なくとも10秒以内であると。
しかし実際には29秒かかっているのです。
計算では垂直尾翼を吹き飛ばす為には客室高度が5秒以内に10000ftに達しなければなりませんが、事実はそうなっていません。
では、一体何が原因で機体後部や垂直尾翼が吹き飛んだのか?
次回、更なる可能性について考えてみたいと思います。
続く...