前回は11tの前向き外力について触れました。
そして何よりも、犠牲になられた乗客の中には『遺書』を書き残している方もおられるのです。
機体上部機首部分の内部からの圧力による反動
垂直尾翼付近、後方から前方への力。
そうなれば、ボイスレコーダーの24分39秒付近の『なんか爆発したぞ』は全く意味が変わってきます。
11tもの力で働く前向き外力とはなんだったのか?
事故調の報告書では、与圧隔壁破壊による客室内の急減圧、つまり機内からの急激な空気の流れが機体を前向きに動かしたとしています。
しかしそれ程の力が働くほどの急減圧があったとすれば機内の空気の流れは、それこそ椅子やテーブルなどにしがみついていなければならない程の流れであったはずです。
しかし生存者の証言、更に機内の写真を見てもそのような様子はありません。
そして何よりも、犠牲になられた乗客の中には『遺書』を書き残している方もおられるのです。
例え機体が降下して空気のある高度にあったとしても、機内の気流は激しく遺書を残す余裕があったとは考え難いのです。
迎え角
気流に対する主翼の傾き
縦揺れ角
機首の上げ下げ角
最初の衝撃音の時、機首は下向きになっています。
操作以外で機首が下を向く条件は以下の通りです。
機体上部機首部分への力
機体後部下部からの力
機体上部機首部分の内部からの圧力による反動
機体後部下部内部からの圧力による反動
これらが考えられるのです。
そしてもう一つ...
垂直尾翼付近、後方から前方への力。
例えば、垂直尾翼を吹き飛ばす力が作用したなら上方向に内部圧力が噴き出すのですから機体後部は下を向きます。
すると機首は自然と上向きになります。
しかしフライトレコーダーはその様なデータを示していません。
上の図の一番目と2番目です。
衝撃音の直後、機首は下を向いています。
事故調の説では辻褄が合わないのです。
これは普通、自然に考えるならば11tもの前向き外力が働き機首が下を向いたならば、何が追突したと考えるのが自然ではないでしょうか?
つまり垂直尾翼付近に何かが追突した、その衝撃で機首が下を向いた。
そして垂直尾翼下部方向舵には後から前への線状痕があるのです。
この傷は尾翼右側についています。
続く1秒間で約5°もの急激な機首上げが起きています。
つまり考えはこうです。
機体の破壊は内部からではなく、外部からで、その原因は垂直尾翼右側を擦る様に何かが追突。
その為、衝撃音直後に機体は下向きに。
擦る様な追突により、外板や塗装の剥離が生じて空気抵抗となり約5度の機首上げが起こった。
これについては、日本航空整備本部の臼井誠氏が1995年のテレビのインタビューでこう答えています。
『垂直尾翼の外板に初期破壊を示す明解な状況が事故調査委員会の報告書に記録されている』と語り更に『外板が浮き上がり、そこから突風がドーンと入った』と語っています。
この証言は追突説を裏付けるものではありませんが、外板部分の初期破壊を裏付ける証言ではあります。
また、航空11社のパイロットによって構成される団体に日乗連と言うものがありますが、こちらも独自の分析を基に『与圧隔壁破壊説』に非常に懐疑的な見解を示しています。
また、先の臼井氏は圧力隔壁の破壊は二次的なものであると確信を持っているとも語っています。
九州大学名誉教授
大平博一氏も
『圧力隔壁破壊から始まるのであれば内圧が一気に抜けるので尾翼は破壊されない事になる、隔壁破壊は最後でなければならない。垂直尾翼の破壊は翼端付近でのリベットの連鎖的破断から始まる。倒壊尾翼はAPU内蔵のテイルコーンを強打し、最後に防火壁を破壊。』
この様に力学的計算により、垂直尾翼が先に破壊されたと結論付けています。
先に述べた様にフライトレコーダーを見ても内圧により垂直尾翼が破壊されたとすれば空気は上に漏れますから、機首は上を向くはずです。
しかし、実際には下を向いています。
その後、急激な機首上げがあり、自動操縦により機体を水平に保とうとする作動があったのは事実です。
その後、佐々木副操縦士は右側下方に舵を切っています。
何故こんな操作をしたのか?
例えば、車を運転していて咄嗟にハンドルを切る様な場面を思い描いて下さい。
その様なハンドル操作をする時は何かを避ける時ではないでしょうか?
つまり佐々木副操縦士は衝撃音と同時に何かを目撃した。
それを避け様と咄嗟に取った行動ではないでしょうか?
右下方に操作をしていますから、その逆の左上方に何かを見たと言う事ではないでしょうか?
つまり、垂直尾翼右側を擦る様に何かが追突し、左前方へ抜けて行った。
この物体の速度や大きさはわかりませんが、衝撃音の直後に何かが機体上部スレスレに現れ咄嗟に右下方への操作を行ったと考えられるのです。
そうなれば、ボイスレコーダーの24分39秒付近の『なんか爆発したぞ』は全く意味が変わってきます。
そもそも『なんか爆発したぞ』ではないと言う事になります。
しかしこの部分については、やはりあまり判然としませんが、述べて来た状況から考えれば『なんか爆発したぞ』ではおかしいと思います。
この物体についての会話はボイスレコーダーの書き起こしには一切出てきません。
どこに緊急着陸をするか?と言う会話も当然コックピット内であったはずですが、こちらも書き起こしに一切出てきません。
恐らく削除されたものと思われます。
書き起こしには削除されたと思われる部分が多数あるのです。
そもそもリークされる形で世に出て来たボイスレコーダー。
中身が削除されていても不思議はありません。
更に必ずあるはずの『どこに着陸するのか?』と言う部分も、発生当初の羽田に帰るリクエスト以外ありません。
これは以前に記述しました、米軍C130パイロット、アントヌーチ氏の証言にもある通り横田が着陸許可を出していたなら123便からのリクエストがあったはずです。
リクエストがなければ米軍は着陸許可を出しません。
更にフライトレコーダーと実際の目撃情報とに5kmのズレがある事です。
これはあまり知られていないそうですが、事故調発表の事故発生場所と目撃情報とのズレ。
目撃情報の中に『花火の様な音がした』と言う話しがあるのです。
音を聞いた地点、飛んで行く飛行機を目撃した地点、事故調発表の地点のズレ。
事故調発表地点が正確だとするなら、音を聞いた地点は13km離れています。
果たしてそんな離れた場所で音がしっかりと聞こえるのか?
スカイツリーから東京ディズニーランドの花火を見るより更に離れた地点の花火を見る様なもので、間近に聞こえたとする証言とは矛盾します。
一体、目撃者が聞いた音はなんだったのか?
そして、仮説の様に何かが衝突したのならば『なんか爆発したぞ』は『なんか爆破したぞ』ではないのでは?
何か当たったぞ
何かわかったぞ
あんた任したぞ
実際判然としません。
今まで述べて来た事は、あくまでも仮説にしか過ぎません。
しかし可能性の一つとして考えてみる事が必要です。
そして36年後の現代で、最新の技術を使い改めて検証する事が何より必要です。
その為に、今般御遺族が起こされた裁判は重要な意味があります。
無削除、無編集のボイスレコーダーとフライトレコーダー。
これにより真実が判明する事を願います。