犬神スケキヨ~さざれ石

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

種苗法改正

2020-06-05 20:45:00 | 草莽崛起

種苗法改正について、特にネット上に於いては悲観的なネガティブな声が多い印象があります。

しかし、反対を唱える人々を見れば農業従事者ではなく、一般的に消費者と呼ばれる人々です。反対派の旗振りには、元農水大臣山田正彦です。

賛成派には特に農業従事者が多いのです。

農業従事者にも勿論反対派もあります。しかし、賛成派の声はあまり聞かれない。当たり前の話しですが、賛成ならば殊更声を上げる必要がないのです。

反対派の農業従事者は元農水大臣山田正彦氏の話を聞いて危機感を抱いた人が多いようです。

先ずは改正の論点であるが大きくは二つ。

海外流出防止

自家増殖禁止


この二点が賛否の論点になっています?

先ず海外流出防止については、あまり騒がれてはいません。これには賛成が多数であるからです。海外流出防止には出口を閉める方法と出た先で止めてしまうと言う方法があります。

しかし、これまでは海外流出を防ぐ手立ては実質無いに等しく、例えば苺やマスカットが海外流出してしまい、逆輸入するなどと言うとんでもない事態を招いていました。

今回、改正されるのは先ず持ち出し制限について改正されます。これが所謂出口を閉める方法です。もう一つは諸外国で品種登録する方法ですが、これも勿論やらねばなりませんが、それには時間も手間もかかってしまうので、先ずは出口を閉める方法を行うと言う事です。

では今回問題になっている『自家増殖』についてですが、反対派の意見では『固定種・在来種を含む全ての品種が自家増殖禁止だ」と言う事です。しかしこれは誤りです。

全ての品種で自家増殖を禁止している訳ではありません。つまり全面自家増殖禁止ではないのです。

何より種苗法とは大前提として

育成者が持つ品種の権利を保護する為の法律である

つまりは日本各地にある伝統的な品種や在来種が作れなくなり、権利がグローバル企業に取られて品種がなくなってまう、日本の農業が海外企業のハゲタカに食われると言う論理は成り立ちません。農業者の為の法律ではないのです。

品種には大きく三つあります。

登録品種

期限切れ品種

一般品種


この三つです。

このうち『登録品種』はこれ迄に無かった新しい品種と言う事です。これには時間もコストも掛けて開発して来た経緯を鑑みてしっかりと保護をして権利を守り、利益が出る様にしなければなりません。勝手に増やされては権利も利益も出ません。利益が出なければ新品種の開発がいずれ廃れてしまいます。

この登録品種に関して自家増殖を禁止し、許諾制にすると言うもです。

期限切れ登録品種に関しては権利の期限が切れたもので、期限切れは自由に自家増殖可能。

一般品種には何ら制限はなく、在来種や各地にある伝統的品種に関しては全く今まで通りに自家増殖可能です。

登録品種に関しては全体でも10%程度であり、増殖に関しては音楽著作権の様に増殖するたびにに『著作権料』の様な物を権利者に支払うと言う事になります。

開発者の権利を守らなければ、新品種開発はいずれ衰退し、世界的な作物の競争力を失われ食料自給率も更に下がる事になります。

開発者は新品種開発により利益を出しています。

そうは言っても、いずれ固定種や在来種も『登録品種』として登録されてしまうのではないか?

その様な懸念を抱く人もいるでしょう。しかし開発者である種苗会社などは新品種を開発することで利益を生み出している訳で、在来種や固定種はそもそも利益率が低くく登録をしたところで薄利です。

例えば、品種登録には費用がかかります。登録期限が30年だとすると登録維持費は約100万円です。薄利で利益率が低い固定種や在来種を50種或いは100種登録すれば、その維持費は莫大で数千万円かかる場合もあります、或は1億円を超えてしまうかもしれません。そんな維持費を使い、安価な固定種や在来種を登録する事が種苗会社にとって有益な事でしょうか?下手をすれば大赤字です。

また登録品種に対する許諾料の問題があります。農業者への負担が増大するのではないか?と言う懸念があります。それが巨大なグローバル企業が不当に値を釣り上げるののではいか?その為に農業者への負担が増大するのではないか?と言う懸念です。

しかし、これには市場原理が働きます。不当に値を釣り上げられ種苗があまりに高騰すれば、利益を考えれば誰も買わなくなります。何も無理をして高い物を買わなくても安価な固定種や在来種で充分だと考えるでしょう。

誰も買わない品種はやがて消えてなくなります。そうなれば種苗会社は莫大な開発コストをドブに捨てる様なものです。

在来種や固定種と比べてあまりにも高値ならば誰も使わないでしょう。そもそも不当に値を釣り上げる意味はありません。

では許諾料は一体いくらするのでしょうか?農水省は例を出しています。それによれば。

稲種子代10aあたり約1600円、うち許諾料は2.56円

この許諾料をグローバル企業なるものが一体いくらまで引き上げるでしょうか?10倍にしても25円程度です。100倍になれば負担は大きくなるが市場原理に照らしてあり得るでしょうか?

ぶどうの苗で苗一本約4000円でありますが、うち許諾料は60円です。消費増税の方がダメージは大きいぐらですね。

この数字を見て一体何に恐怖しているのか?理解に苦しむところです。

また巨大グローバル企業が日本の種子、種苗を乗っ取るのではないか?と言う懸念もあります。

しかし現実は海外からどれだけの品種登録がなされているでしょうか?

例えば米国はこの40年で日本に登録した品種は、食用作物5品種、野菜31品種です。

この数字を見れば一年に一件も登録されてはいません。米国にしてみれば海外流出防止策として品種登録していると見るのが正しいでしょう。

ここまでを見て、種苗法改正により海外グローバル企業や大手企業が爆発的に品種登録をし、ハゲタカの様に日本の農産物を食い荒らすと言う事があり得るのか?反対派の懸念は一体何なのか?

反対派は論点のすり替えをやっているに過ぎないのではないかと思われます。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。