ポトマック自然観察日記

アメリカ東部の自然紹介をきかっけに、日本や世界の自然観察を共有。

コスタリカ ⑤アレナル火山(12月28・29日)

2011年01月19日 | 日記
モンテベルデを後にして、牛の群れに遭遇しながらガタボコ道を1時間ぐらい行き、湖を舟で渡り、アレナルという活火山のある地域に来ました。ところが、これまた霧雨状態。せっかくの円錐状の火山も全く見えません。次の宿泊先であるB&Bに向かいます。まず到着して気に入ったのが、宿の庭で鳥の餌付けをしていたこと。と言っても、古いバナナを目の前の木に置くだけ。鳥たちはこれを知っているようで、宿のおばさんがバナナを持って木に向かって歩き出すと、たちまち集まり始めます。鳥たちの様子を見ているだけで全く飽きません。まずは、Passerini's Tanagerです。ちょっとにわかには信じがたいのですが、黒いボディに赤い背中の方がオス、その他はメスです。オス・メス間の違いが大きく、最初は別の種ではないかと何度もフィールドガイドの中を探してしまいました。



その宿は牧場も経営していて、というか牧場の中に宿泊施設を建てていまして、我らの部屋もオーナーが住む母屋から少し歩いたところにありました。部屋の前には牧場が広がり、その向こうにアレナル火山が見え、夜には山頂から流れる溶岩が見える筈だったのですが、大きな火山はすっぽり霧と言うか雲の中。そこで部屋の周囲の敷地内をウォッチング。まず目についたのが、またもや無数の植物に寄生された巨木、見上げるばかりの大きな生命体。写真が無いのが残念です。こちらを良く観察すると実に多くの鳥がいることが分かります。本当に命の木です。巻き付いている蔓性の植物の中に花を咲かせ蜜を提供しているものがあり、その周囲を多くのHummingbirdが飛び交っています。またその近辺には何とも鮮やかなエメラルドグリーンの鳥が!Green Honeycreeperです。



翌日は、Tabaconという温泉リゾートに行きました。これは贅沢な所。熱帯雨林のジャングルの中を幾本かの渓流が流れているのですが、これが全く人の手が加えられていない温泉なのです。ここに水着姿で浸かる、という楽しみ方です。温泉大国日本とは言え、こういう場所は無いのではないでしょうか。そして、ここでもウォッチング。レストランでランチを取っていた際です。外の景色の見えるテーブルに陣取った我々は、じいっと外を観察。そして、見つけました。彼は静かに霧雨に濡れていました。何だか、遠くを見つめていました。その派手な外見に似合わず、思慮深い感じです。コスタリカでのお目当ての一つ、Toucanです。より正確には、Chestnut-mandibled Toucan。世の中にはこんな鳥が野生でいるのだと思うと、大変リッチな気分になります。



この日は正に一日中この温泉リゾートで過ごしました。渓流の温泉に入ったり、温泉プールに入ったり、敷地内の遊歩道を歩いて実に豊かな植生を観察したり。ランチに加え、夕食も同じレストランで済ませたんですよ。レストランの待ち時間、サウスカロライナから来た10名の大家族と一緒になりました。この旅行のために作った家族名の入ったTシャツを着ている人もいます。のりがいい。そのリーダー格のおじいさんと隣り合わせに。話を聞いてみると、家族で運転手とガイドを雇い一台のバンでコスタリカを旅行しているとのこと。なかなかいいアレンジです。「雨が多くて少し残念ですね」と私が言ったところ、「ガイドがこう言っていた、『雨が降ろうが鳥たちはそこにいるよ。レインコートを着て出掛けよう』だって」とにこやかに返されてしまいました。その時ハッと思ったことを忘れません。雨は生命の源。雨が多いからこうした熱帯雨林やCloud Forestがあり、生物の多様性が維持されている。それを見にわざわざコスタリカまで来たのだ。自称ナチュラリストがその「恵み」の雨を恨めしく思っていたとは何たることでしょう。
コメント (1)
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