ポトマック自然観察日記

アメリカ東部の自然紹介をきかっけに、日本や世界の自然観察を共有。

コスタリカ ③マヌエル・アントニオ宿泊先(12月25日・26日)

2011年01月08日 | 日記
なかなか侮れなかったのが、宿泊している部屋にある小さなバルコニーからのウォッチングです。少し高台にあって下に緑を見下ろす感じ。その緑の向こうには太平洋が見えます。西に向いていますので、夕日が落ちる時間帯の景色は秀逸です。少し見てみてください。

   

おっと、何か気付きましたか?そうです、これまでの長いバードウォッチング人生でも二度しか見たことの無い「フクロウ」が、右斜め下葉の少ない木の枝にちょこんと座っているではないですか。小型のフクロウです。双眼鏡でのぞくその姿とフィールドガイド(The Birds of Costa Rica, Richard Garrigues & Robert Dean, 2007)の間を何度も行き来したところ、Ferruginous Pygmy-Owlということで判別がつきました。Ferruginousという言葉は「鉄を含んだ」という意味ですが、どうしてこうした名前が付いたのでしょう?フィールドガイドにある「色は茶から赤茶色」あたりから来るのでしょうか(錆?)。大きさは15センチ。

このバルコニーからのウォッチングが大変気に入ったため、翌朝5時からまた観察を始めたところ、また同じ枝に同じフクロウがいるではないですか!



コスタリカではお食事と言えば屋外ということが多かったです。屋根と柱だけの窓のないオープンな環境。この宿の食堂もそうした所で、そこで出発の日の朝食をとりました。周りは大きな木々に囲まれており、食事を待つ間もウォッチング。左から、Golden-hooded Tanager、Clay-colored Robin、Pale-vented Pigeon、そしてBlue-gray Tanagerです。



この宿は緑の多い傾斜地にいくつかの建物が散在していて、その傾斜のお陰で周囲の眺めも植栽の配置も実に良く、程良くおしゃれな雰囲気でした。朝はホエザル(Mantled Howler Monkey)の「ウォッ、ウォッ、ウォッ」との声で目が覚め、自分だけのバルコニーで座りながらバードウォッチング。周囲の緑も美しければ太平洋の眺めも良い。ということで、将来もまたこの宿泊先で、と思わせるものがありました。そして、最後の写真は宿のマスコット「スティービー」でした。


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コスタリカ ②マヌエル・アントニオ国立公園(12月25日)

2011年01月03日 | 日記
ダマス運河の観察ツアーから宿に戻ってもまだお昼前。家族全員でお昼寝の後、タクシーでものの5分、マヌエル・アントニオ国立公園を訪問です。ガイドブックによれば、余りの人気の高さのため一日の入場者を600人までに制限しているようです。一人当たり入場料10ドル。入口では雇ってほしいと自然観察ガイドの攻勢を受けますが、ガイド料は受益者一人につき20ドル、つまり我が家は計60ドルとのこと。自称ナチュラリストとしては、「素人ではないよ」と言わんばかりにこのサービスを拒否します。さて、入口のゲートをくぐり、舗装されていないでこぼこ道を歩き始めると、妻が興奮気味に青い鳥の報告をします。Blue Dacnisです。これまで日本と北米では全く見たことのないような青さ。そして面白いことにそのそばには、鮮やかな緑色の鳥がいます。なんと、これもBlue Dacnis。メスなのです。フィールドガイドを見ると少し驚きます。何せ、青いオスと緑のメスが隣同士に紹介されているのですから。写真が無くて残念。関心を持った方は、是非グーグルして下さいね。

しばらく林道を歩くと、左手に視界が広がります。そして広い海と砂浜が。ここで泳ごうか、などと気を許していると、眼の前を何か動物が横切ります。White-nosed Coatiです。獣班出身(注:大学時代に所属した生物同好会)の私としても、この手の獣は初めてで、特にその鼻の長さと自在に良く動く尻尾に目を奪われます。サイズは大きめのネコと言ったところでしょうか。人を恐れる様子は無く、どうやらビーチで人間が持ち込んでくる食べ物を物色している模様。



左手にビーチが見えると言いましたが、それを右手に歩くともう一方のビーチに出るはず。つまり、両方のビーチに挟まれた狭い砂州のような地形です。その先には小高い山のような半島があり、そこにはミツユビ、フタツユビ双方のナマケモノをはじめ多くの動物がいるようですが、時間の関係で、また家族の総意でビーチで泳ぐことを優先。右手のビーチを見つけんとほんの100メートル位歩きます。その徒歩の間、いました、いました、White-headed Capuchinというサルです。数頭がブッシュの中で寛いでいます。後で知ったのですが、結構気性は荒いらしい。そんなことも知らず、不用意に近づき写真を撮らせてもらいました。同じ場所で、足もとには大きなトカゲも登場。小生、Reptilesの知識はほとんど無く、名前の判定ができません。



さて、お目当てのビーチに到着。砂は白くありませんが、広くまた風光明媚なビーチです。人も余りいません。砂浜にせり出すように大きくなっている木々があります。その下はちょうど良い、荷物置き場となる拠点です。そこで寛ぎ気分が乗って来ると、海に向って走り、そのままジャボン。本当に砂しかない、とてもきれいなビーチ。波も適度で、海で泳ぐのがこれほど気持ち良かったのかと・・・。ふと、岸の荷物置き場に目をやると、今度はアライグマ(Crab-eating Raccoon)が登場です。これは地元・ポトマックで見かけるアライグマと同じに見えますが、足の色が濃いこと、そして全体的に毛の色が茶色がかっているのが違いです。やはり、観光客の食べ物を漁っている模様。大きくシッシッとやらなければ逃げません。子供もいたりして可愛いのですが。



さんざん泳いだり寛いだりし、ビーチを後に海岸沿いに木々の多いトレイルを歩きます。Agoutiという中南米ではカピバラについで二番目に大きなRodentが観察できました。ヨークシャーテリアぐらいはある、いわば「ネズミ」です。少し足が長く、ネズミのように地面を這うような歩き方ではありません。リスのように、森の中で木の実を見つけてはそれを地中に埋めるため、森の「プランター」と呼ばれているようです。この国立公園、なかなか良かったですよ。次回のコスタリカ行では、ここでじっくり一日はとって、半島をゆっくり歩いてみたいです。砂州で陸と繋がっていますが、そこは生態系の孤島のような所だと想像しています。


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コスタリカ ①ダマス運河(12月25日)

2011年01月02日 | 日記
タイトルをご覧になりましたか?はい、そうです。バードウォッチャー憧れの地、中米のコスタリカにとうとう行って来ました。面積はウェスト・バージニア州と同じあるいはミネソタ州の四分の一程度。その小さな国で記録された鳥の種類は、カナダとアメリカを組み合わせた観察確認数を凌ぐ800種以上!実に痛快ですね。いかにこの国が生物多様性で秀でているのか、言を俟たないでしょう。ネットで見かけたベテランのアメリカ人バードウォッチャーのエッセイを読みました。曰く、「コスタリカに来たバードウォッチャーが思うことは二つ。①なぜ今まで来なかったのだろう?②次はいつ来よう?」とか。そして、8日間をこの国で過ごした私にとっても、それが実際の思いとなりました。鳥が好きな人、自然観察が好きな人は、お金を貯めてまずはこの国を訪れるべし。

ということで、数回に分け今回の観察旅行を記録したいと思います。まずは、太平洋岸の素朴なリゾート地・マニュエル・アントニオという町から近いダマス島近辺、マングローブで囲まれた運河を行くボートツアーについてです。プロの自然解説ガイドとプロの舟漕ぎ(普段は漁師)の2名が、小さなボートに我が家族とアメリカ人家族の計7名を乗せ、いよいよマングローブで欝蒼とした小さな運河を滑り出します。早速、Great Kiskadeeというお腹の黄色いフライキャッチャー(文字通り空中で昆虫を捕まえる連中)、Jesus Christ Lizardという水面を忍者のように「走る」ことで有名なトカゲ、そしてGreen Kingfisherという何ともきれいなヒスイ色をしたカワセミが登場です。ボートが岸を離れほんの2分間位の間の出来事です。



左手の木の洞からは、大きなイグアナが顔を出しています。顔の大きさから、恐らく全長80センチぐらいあるのではないでしょうか。そして、今度は別の木の幹を登っているイグアナが。これも尾を含め60センチぐらいはあるでしょう。これ程簡単に大型のReptilesが見られるのですから、我々の目の行き届かないこのジャングルには本当にたくさんの個体がいることでしょう。そうそう、鳥に目を転ぜねば。写真に撮れなかったですが、北米に夏鳥として渡ってくる、Scarlet Tanagerを見ました。フィールドガイドでは表し切れていない、実に鮮やかな深い赤色です。小生にとり初認です。今度はガイドがやけに熱心に説明を始めた鳥がいます。Bare-throated Tiger-Heronという長い名前ですが、要するにサギです。喉の模様に特徴があります。まさに魚を捕まえんというところ。相変わらず鳥以外の生物も多く、いい意味でどうも気が散ります。水中からすうっと幹を延ばすBlack Mangroveには、ハサミが赤いカニが多数へばり付いてます。娘のお気に入りです。この地には、Blackに加えRed、White、Pineappleの計4種類のマングローブが成長するそうです。



これらの他にも、Little Blue Heron、Snowy Egret、White Ibis、Black Vultureを確認。また哺乳類では、Sikly Anteater(とっても可愛い!写真はありません)、爬虫類ではCrocodileとパイトンの一種であるヘビ(写真下)を観察しました。満潮時を利用したこの2時間程度のマングローブ運河ツアーは、我らがコスタリカ自然観察旅行のまだほんの入り口ですが、既に大興奮、大満足。これからの観察につき期待値が上がります。

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