新版 ヨーロッパの中世
神崎忠昭 著
慶応義塾大学出版会
2022年5月18日 新版第1刷発行
本書は大学でヨーロッパ中世史を学ぶ人のための「入口」にあたります、とのことです。
イントロダクション
1 時代区分
本書では中世のはじまりはメロヴィング朝のフランク王クローヴィス1世の治世(481-511)で
中世の終わりは15世紀後半から16世紀前半と考える。
2 自然条件
第1章 大いなるローマ
1 ローマの遺産
2 キリスト教の成立
3 後期ローマ帝国
4 荒れ野に生きる人々
第2章 古代世界の終焉とゲルマン人
1 侵入
2 帝国の衰退
異民族の侵入、皇帝の無能、エリート養成の伝統が踏襲されず、社会の硬直化、経済の崩壊、キリスト教、気候変動
3 統合の模索
ヴァンダル人、東ゴート人、西ゴート人
4 ガリア
5 海の彼方
ブリタニア、アイルランド修道士、アングロ・サクソン修道士
6 文化の継承
第3章 フランク王国
1 メロヴィング朝
2 カロリング朝の台頭
3 カール大帝
フランク王国の絶頂期を築く
4 カロリング・ルネサンス
5 ベネディクト修道士
6 カロリング朝の退潮
第4章 隣人たち
1 コンスタンティノープル
2 イスラーム
3 東欧
アヴァール人、モラヴィア(チェコ)人、ブルガール人、マジャール人
4 ノルマン人
第5章 鉄の時代 混乱と再編
1 異民族の侵入
2 封建制
3 荘園と農民
古典荘園制(土地領主制)、バン領主制
4 農業革命
5 平和の回復
農業生産の向上は今度は農民を支配する聖俗領主の経済力を高めた
修道士ラウール・グラベル(980頃-1046頃)
「西暦1000年頃、世界のほとんどすべてのところで、とりわけイタリアとガリアにおいて諸教会堂が新たにされるいうことが起った。あたかも世界そのものがその身を揺り動かして老いを投げ捨て、いたるところで白い衣を纏った如くだった」
第6章 皇帝
神聖ローマ帝国は、特に10世紀から13世紀までヨーロッパ史の軸であった。
1 オットー朝
2 帝国教会政策
3 11世紀中葉までのローマ教会
4 カノッサの屈辱
1077年1月グレゴリウス7世はハインリヒ4世との会見を拒否。王は三日待つ。そしてグレゴリウス7世は破門を解いた。
第7章 教皇
1 聖職者とは
聖職者とは広い意味では教会に何らかの仕方で属する者の総称。ここでは「秘跡によって叙階されたもの」
司教は司教区内の最高責任者
2 ヒエラルキー
3 教皇権の「絶頂」
インノケンティウス3世(在位1198-1216)の教皇在位期が教皇権の絶頂期
4 帝国の落日
皇帝権の最後の輝きを放つのがフリードリヒ2世
5 アナーニ事件
1303年9月7日フランス王の側近ギヨーム・ド・ノガレは、ボニファティウス8世に苦汁をなめさせられたコロンナ家などのローマ豪族の手勢とともにアナーニを急襲し、教皇を捕虜にした。
教皇権とは権威であって、権力ではない。その力は状況に左右される。
第8章 修道士
1 クリュニー
中世を代表する修道院。絶大な権勢を誇る。
2 隠修士
3 シトー会
1098年モレーヌのロベルトゥスが21名の修道士とともに創設したブルゴーニュのシトー修道院が起源
4 修道参事会士
5 戦士のキリスト教化
第9章 英仏の葛藤
1 プランタジネット朝
2 カペー家
3 イングランドの混乱と立憲制の萌芽
第10章 都市
1 都市とは
2 都市の人々
伯や騎士・専門職・商人・手工業者・同業組合
3 人とモノの動き
4 都市の文化
文字・学校教育・数値・楽しみ
5 アウトサイダーたち
外国人・ユダヤ人・イスラーム教徒・娼婦・貧民・奴隷
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます