新古今増抄 巻第一 万葉歌 鴬淡雪 蔵書
はねば、不絶とはとり合ぬなり。かりそめにては たえずきく事ならぬよし也。一聲二聲きく さへも有べきに、ひたときくとよろこび たる也。家ヰしてきゝつるといふてにをは ...
新古今増抄 巻第一 赤人 春山家鶯 蔵書
おそきがしれぬれば、春のゆだんの名がたつなり。 物うきは少ふる雪となり。此哥のあとさき のならび、花のさかぬ時分也。これにて花の まださかぬを、まつ心をしるべし。春のこと...
新古今増抄 巻第一 重之 梅枝雪 蔵書
を、西行の歌よりも、たちまさりたるやうに申され たるとなり。上人この哥は、澄といふ字読あま したる哥と難ぜられたりといひつたへたり。 増抄云。降つみしは、冬の雪なり。過去...
新古今増抄 巻第一 西行 清瀧川 蔵書
増抄云。くらしは來るらし也。夕月夜の比塩みち くるとなり。おほくみちぬゆへに、芦のわか葉の またみじかきを、潮こゆる程なり。大しほなれば わか葉もみえぬなり。心をつくべし...
新古今増抄 巻第一 秀能 元久詩歌合 水郷春望 蔵書
のこゝろ也。 一 藤原秀能 于時ニ左衛門ノ尉。五位下。河内守。 秀宗ガ二男。十七首 入 一 夕月夜しほみちくらし難波江の芦のわか葉をこゆる ...
新古今増抄 巻第一 通光 元久詩歌合 水郷春望
月の影は雲間よりもれて、朧々としたる に、ちら/\とふる体成べし。冬のやうには春の ゆきはあらぬ体也。大雪とはみるべからず。雪は ふる...
新古今増抄 巻第一 越前 春山月 蔵書
一 和哥所にて春山月といふこゝろをよ める 越前 散位大中臣公親女 一 山深み猶かげさむし春の月空かきくもり雪はふりゝ 増抄云。山ふかくていまだ春の氣に成はて ぬ故...
新古今増抄 巻第一 良経 余寒 蔵書
一 家の百首の哥合に、餘寒のこゝろを 摂政太政大臣 家の哥合とは、摂政 家の事也。天子のに對してかく書事也。 餘寒とは、春のいまだ冬のごとくにさむ さのあまりてあ...
新古今増抄 巻第一 凡河内躬恒 春日残雪 蔵書
一 凡河内躬恒 甲斐ノ少目。後任淡路掾。先 祖不知。任丹波権大目。延㐂比人なり。古今撰者 一 いづれをか花とはわかむ古郷のかすがの原にまだ消えぬ雪 増抄云。いづれを...
新古今増抄 巻第一 万葉歌 春日降雪 蔵書
やすきさへ霞にくもらぬに、小松がはらは春のあ わ雪がふると也。冬はかきたれてふりしが、 春のしるしにあは雪がふると也。ねばの時 はひはらのくもらねば、小松原にもいまだ雪 ...