これは「STAP細胞騒動」をめぐる、理化学研究所の笹井芳樹副センター長による会見の中で使われた言葉です。
仮説という言葉を修飾している「検証する価値のある合理性の高い」は置いておいて、仮説とはそもそも何でしょうか。
「事象や法則について説明するために仮に設定された説のこと(世界大百科事典 第2版)」だそうです。言葉の定義については様々な解釈がありますので、興味のある方はご自身で調べてみてください。
仮説というと私はすぐに統計学で使う「帰無仮説」を思い出します。帰無仮説とは無に帰したい、すなわち葬り去りたい(棄却したい)仮説のことです。
たとえばあなたが新しい薬を発明したとします。当然、「この薬は効く!」と言いたいはずです。
帰無仮説とは「この薬は効くとは言えない」という仮説です。「効かない」ではないところがミソです。
いろいろな実験を経て、帰無仮説:「この薬は効くとは言えない」が否定(棄却)されれば、「この薬は効く!」という主張(対立仮説と言います)が支持されたことになります。
また、帰無仮説が棄却できなかったとしても、「効くとは言えない」というだけでそれ以上のことは何も言えないのです・・・なんだかややこしいですね。
統計学では、このように慎重というかまわりくどい言い方をします。実はこれが論理的に非常に良くできた考え方なのです。
したがって「検証する価値のある合理性の高い」という修飾文は、あってもなくても一切関係ないのです。笹井先生は「気持ち」を込めて表現していたわけですね。
さて、STAPが「Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cells」として学問の世界に輝かしい地位を獲得できるか、「Strange Troublesome Academic Problem」として汚点を残すか、浅学菲才の私には全く分かりません。
とはいえ、何らかの結論が出るまでは「修飾語を付けずに」関心を持ち続けていこうと思っています。
※注) 画像は意図的に加工されたものです。大変申し訳ございません。
(人材育成社)