「御社の売上を伸ばすには、レッドオーシャンになっている既存市場から大きく舵を切ってブルーオーシャンへと進まなければなりません。」会議室に集まった役員達の前で戦略系コンサルタントが話し始めました。「新規市場のポテンシャルを示したのこのマトリクスです。」美しい画像をふんだんに使ったパワーポイントの画面がプロジェクターに映し出されたました。
こうした「派手目」のコンサルタントのプレゼンテーションに対しては、大体2通りの反応があります。ひとつは「すばらしい!今まで考えもしなかった斬新な提案だ!」と好意的なもの。もう1つは「業界のことを十分知りもしないで・・・」という懐疑的なものです。
実際、コンサルタントが「こうすれば成功する!」と言うと、コンサルタント嫌い(?)な人たちは「本当に成功するならお前がやってみせろよ!」と口にします。経営に関して人に教えられるほどの知識を持ち、成功する戦略を作れるならそれができるはず、というわけです。確かに説得力がありますね。
本来コンサルタントの仕事とは、クライアントを覚めた目で見つめ、でこぼこになった組織構造や業務の進め方をこつこつ叩いて直していくことです。
たとえば利益率が低下しているという問題があれば、営業をはじめ製造や流通、経理や総務といったスタッフ部門まで含め、日常的な活動を洗い出して小さなムリ、ムダ、ムラを地道に取り除いていく必要があります。
しかし、残念ながらこうした地味な提案をするコンサルタントの受けは良くありません。「なにを当たり前の事を言っているんだ」とか「そんなことは現場の管理者が毎日やっているよ」と言われてしまうのです。
斬新で派手な提案をするコンサルタントに対しては、新規性を好む経営者が支持をしますので、多少は受け入れられる可能性がありますが、「地味コン」に対してはコンサル・フィーを払ってまでやる必要はないと判断されがちです。
真の問題は「当たり前のことができていない」、「現場がなにをやっているのかわかっていない」ことなのですが・・・。
20世紀のモダニズム建築を代表する建築家ミース・ファンデル・ローエは「神は細部に宿る」という言葉を好んで口にしていました。建築物は見た目の印象に目を奪われがちだが、一見してわかりづらく、細やかな仕事こそが一流なのだという意味です。
「利益は当たり前に宿る」これは当社が作った言葉です。スケールは小さいですが、真実を語っていると自負しています。経営者の皆さん、コンサルタントに仕事を依頼するときは是非思い出して下さい。