「部下の長時間労働に悩んでいます。どうしたら残業を削減させることができるのでしょうか?」
先頃、2週間続けて「部下のほめ方・叱り方」の公開セミナーを担当さていただく機会がありましたが、セミナー終了後にはこのテーマならでは部下の育成や指導に関する相談を受けることが多々あります。
特に、昨年後半くらいから冒頭の相談のように、長時間労働の削減を組織の目標に掲げる企業が増えましたが、様々な企業に伺ったり受講者の声を聞いたりしていると、目標達成は決して簡単なことではないようです。
長時間労働をしてしまう理由には「仕事が終わらない」、「職場が先に帰りづらい雰囲気がある」、「残業代が減るのが困る」などがあります。
冒頭のセミナーの受講者も、長時間労働になってしまっている人に対して既に面談を複数回行ったそうです。しかし、そもそも当の本人が長時間労働を問題だとは考えていないようで、そのために削減しようとする意思が全く感じられないとのことでした。
こうした長時間労働を改める意思がない部下への対応の相談を受けるのは、今回が初めてのことでありません。実は、セミナーに限らずコンサルティングや企業内で行う研修でも3本の指に入るくらい多い相談内容なのです。
それでは、一体なぜ長時間労働をいとわない部下がこれほどまでに多いのでしょうか。
これに関しては、2か月ほど前の朝日新聞でも取り上げられていましたが、大阪大学の大竹文雄教授の研究があります。
大竹教授は、人間の「心の癖」を経済分析に応用する行動経済学の視点から、「長時間労働には、たばこや酒と同じような習慣性がある」とおっしゃっています。
「一度長時間労働をすると、それに慣れて苦痛でなくなる。働きすぎれば健康を損なうにもかかわらず、中毒になってしまえば、やめるのが難しい」、いわゆるワーカーホリックになってしまうということです。
また、子どもの頃に夏休みの宿題を後回しにしていた人ほど週60時間以上働く傾向が強く、中毒になりやすいそうです。これを聞いてドキッとした方も多いかもしれませんね。
そして、ワーカーホリックになった人がやがて昇進すると、場合によってはその職場全体を長時間労働にさせてしまうこともあるようですから、この問題は早めに手を打たなければなりません。
長時間労働自体を規制する仕組みを作ろうとする動きもあるようでが、そうすると今度は場所を変えて仕事する、つまり家に持ち帰って仕事をすることになってしまう場合もあります。この問題の解決はそう簡単なことではなさそうです。
今後も長時間労働の削減に向けた様々な取り組みが進められると思います。これまでのような「同じ成果を出すのであれば、仕事時間は短ければ短いほど良い」という前提にたった考え方では通用しないということです。
弊社が取り組んでいる「仕事の渋滞解消」は、こうした長時間労働削減への有力なアプローチの一つだと考えていますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。