中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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あなたの「のれん」はいくらでしょう?

2017年06月11日 | コンサルティング

タイトルの「のれん」とは、お店の入り口にかかっているあの暖簾のことではありません。簿記2級をお持ちの方はご存知だと思いますが「のれん」は勘定科目の1つです。会社を買収(吸収合併)したときに、買収で支払った金額のうち買収先の純資産を上回った差額を指します。買収先が持っている「ブランド力」を金額で表したものと考えることができます。

たとえば、あなたの会社(大手百貨店とします)が、ある有名ブランドを持つアパレル会社を買収するとしましょう。そのブランドを手に入れれば、かなりの売り上げ増が見込めます。アパレル会社の純資産が10億円だとすれば、10億円あればその会社を丸ごと手に入れることができそうです。

ところが、その会社の株主が「あと5億円上乗せしてくれなきゃ売らないよ!」と言ったら、15億円用意しなければなりません。のどから手が出るくらいそのブランドが欲しいあなたの会社は、(しぶしぶ?)15億円で買収することにしました。

すると、買収後の貸借対照表上に何も無いところから突如(差額分の)5億円が影も形もない資産として生まれたことになります。これを「のれん」という勘定科目(無形固定資産)で表示おくわけです。「のれん」にはこの例のようなブランドのほか、技術力、営業上のノウハウ、立地条件等の地理的条件、官公庁の登録・許認可などがあります。

さて、「のれん」を人の例で考えてみましょう。

「うちの会社の財産は人だ」とか「わが社の社員は人材ではなく人財だ」などと言う経営者がいます。「財」とは貝偏(かいへん)からもわかるように金銭的価値を意味していますから、ちょっと意地悪に言えば「うちの社員は、金額で表示できるわが社の所有物だ」ということになります。

では、人の価値はどのように考えたら良いのでしょう。今年は新卒、中途ともに企業の採用活動が活発です。人を採用する理由は、その人に支払うコスト以上の見返りを将来会社にもたらす見込みがあるからです。そうでなければ採用はしないでしょう。

特に中途採用で人を採るときは、こうした「見込みの確かさ」が鍵になります。ある人物が「ほかの人よりも稼いでくれそうな見込み」があるとすれば、平均よりも高い給料と地位という「差額」を支払ってでも採用するでしょう。

その差額は「のれん」すなわちブランド価値や技術力を表しています。だから、転職市場では即戦力として利益を上げてくれそうな人はひっぱりだこになります。

人は会計上の資産ではありませんが、中途採用では「のれん」のような価値を見込んで人を採用しますので、人を「財」扱いするのはある意味当然のことです。

転職をお考えのみなさん、あなたには「のれん」がありそうですか?

それはどのくらいの価値でしょう。すぐに答えられますか?

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