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第949話 「鬼上司」の多い会社はつぶれる

2020年08月23日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

上司が部下を甘やかしていたら業績は下がる一方。やさしいだけの上司なんていらない。怒るときは怒らないと部下は育たたない。・・・その気持ちはわかります。しかし、残念ながらそれでは会社がつぶれます。

「自分の若い頃は上司に厳しく仕事を叩き込まれたものだ。」50代以上の管理職の方々からよく聞く言葉です。

私はこの言葉が大好物(?)なので「そうなんですか!具体的にはどんな仕事でどうやってどのくらい厳しく叩き込まれたんですか?」と、つい前のめりになって聞いてしまいます。

すると、返ってくる答えの半分は「・・・いや、まあ、いろいろとね。とにかくよく怒られたものだ」という情緒的で具体的な内容がはっきりしないものです。後の半分は「この仕事は徹夜してでも仕上げろ」とか「お前のやり方ではダメだから俺の指示通りにやれ」といった「言い方はきついけれど内容は間違っていない」指示命令です。

たまに「部下を人間扱いせずいつも怒鳴り散らしていた」という上司の話をする人がいました。それは論外としても、今の管理職の方々が若い頃に出会った「鬼上司」のほとんどは部下の育て方を間違っていた人たちです。

「いや、厳しく言われたから今の自分がある」という人も少なからずいます。しかし、それは誤解です。育てるのが下手な上司の元で立派に育った理由は、その人がもともと優秀だったからです。上司の厳しさとはあまり関係がありません。

仕事ができるようになるためには、(1)自らできない現状を認識し、(2)できるようになるための努力や経験を積む、しかありません。(1)と(2)ができる能力があったからこそ成長したのです。では、上司は部下のためにすることは何も無いのでしょうか。

大いにあります。仕事を通じて部下の能力を見極めることです。仕事をやらせて上手く行かなかったら、上記(1)を確認します。「失敗した理由は何だと思う?」と部下に聞いてみます。部下が自らの能力の限界を把握しているかどうかが重要です。このとき失敗したことを怒ったり責めたりすると逆効果になります。

もし部下が「○○さんがXXについて事前に言ってくれなかったから」とか「もともと無理な納期設定だったと思います」といった他責(自分は悪くない。周りが悪いという態度)の言葉を口にしたら要注意です。ただし、そういうときは怒っても効果がありません。

他責がなぜいけないのか、どうすれば良かったのかを部下にきちんと説明します。そして、上司として支援できることを具体的に説明します。部下がまだ納得できない様子だったら、「仕事には不確定な要素が多い。それらをすべて排除した仕事でなければできないというなら君への仕事はかなり限られることになる」ということを伝えます。

怒ったり怒鳴ったりはしていませんが、これはある意味「鬼上司」より厳しい指導かもしれません。

このように過去を振り返っても、現状を見ても「鬼上司」は不要であることがわかります。必要なのは正しい指導法を身に付けた上司だけです。

さて、残念ながら研修業界にも「上司が鬼とならねば部下は育たない」という考え方の会社があります。時代錯誤というよりも「社会悪」と言って良いでしょう。なぜ「反社会的勢力」に指定されないのか私には疑問です。

「鬼上司」が多い会社は早々につぶれます。経営者の皆さん、自分の会社を一度点検してみてください。

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