「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「1位:指導をする人材が不足している。 2位:人材を育成しても辞めてしまう。 3位:人材育成を行う時間がない。」
これは、厚労省が毎年実施している能力開発基本調査の中の「人材育成に関する問題点」に対する令和元年度の回答内訳(複数回答)です。ここ数年不動の順位ですが、いずれの項目も前年より回答数が増えている点が注目できます。
さて、今年は新型コロナウイルスの影響で、新入社員の教育を従来通りに行えなかった企業が大半だと思います。
先日お会いしたある企業の人事担当者も、「緊急事態宣言により新入社員研修は中止したので、研修は4日間で終わりました。その後はテレワークになりましたので、新人教育として人事から定期的に課題を与えていました。しかし、突然のことだったので課題と言っても業界情報を読むようにさせるくらいしかできなくて・・・おまけにパソコンを持っていない新人も多く、彼らには課題を郵送しました。その後配属になりましたが、育成は配属部署にお任せの状態です。現在もテレワークがメインですから、育成をどのようにしているのかわかりません。人事でもフォローができていません」と話していました。
この話からも、新入社員の育成が思うように進んでいないことがよくわかりますが、今年は同じような状況の企業が少なくないでしょう。
このような状態が続いてしまうと新入社員が育たないだけでなく、状況によっては早期に退職を希望するようなことにもなりかねません。
そうならないようにするためには、すぐに何かしらの手を打つ必要があるのです。そこでテレワークで日々顔を合わせることができない今だからこそお勧めしたいのが、「チーム単位で新人や若手を育てる」ということです。
昨年までのように対面での指導が中心であっても、冒頭の調査結果のように人材育成がうまく進んでいない問題点として「指導する人材が不足している」が1位になっているのです。
ましてや、今年のように対面自体が限定されてしまっている場合には、これまでのように上司(先輩)と新人の一対一の関係が主になってしまうことはお勧めしません。その上司(先輩)が指導の経験が少ない人であったり指導が不得手であったりする場合には、新入社員への指導がほとんど進まないことが懸念されるからです。
そうならないためにも特定の上司や先輩に限定するのでなく、ぜひチーム全員が育成者としての自覚をもつことが肝要です。たとえテレワークでオンライン上であったとしても、新入社員を「寄ってたかって」指導するのです。仮に5人のチームであれば、1人の新人に対して他の4人が1人10分ずつ時間をとれば、毎日40分の指導を受けられることになるからです。
このように伝えると、「テレワークだからこその忙しさもあるので、それもなかなかできない」とおっしゃる人もいます。しかし、テレワークによる往復の通勤時間分の余裕は生まれているはずなのです。ぜひ、その時間分を部下(後輩)の育成の時間にあてていただきたいです。
コロナ禍で働き方の環境が大きく変わっている今だからこそ、できない理由ではなくどうすれば新入社員を育てられるのか、ぜひ知恵を絞って取り組んでいただきたいと思います。