「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
社長は「できる役員」が、役員は「できる管理職」が、管理職は「できる部下」が欲しいというのが何よりも望んでいることでしょう。かなり前のことですが、ある会社で係長研修の打合せをしているときに、人事部長から「うちの社員はあまりデキが良くないから、なんとかできる社員にしてほしい」と言われたことがあります。私は「”できる”の定義は何ですか?」と聞きたかったのですが、できませんでした。同じ質問をされたときの答えを明確に持っていなかったからです。
その後「できる社員」にはどんな特徴があるのかを調べてみました。Webサイトはもちろん、書籍やインタビューなどを通じて「できる」を追求しました。その結果、できる社員は概ね次のような特徴を持っていることがわかりました。
1.率先して動く
2.レスポンスが早い
3.メンタルが安定している
4.論理的である
5.納期意識がある
6.集中力がある
7.向上心がある
8.忍耐力がある
これらの特徴はどれも納得できるものでした。何年か後、前述の人事部長にこのキーワードを見てもらいました。すると「こんな社員・・・いや人間なんていないよ」と笑われてしまいました。彼が言う「できる社員」とは「成果を上げる社員」とのことでした。
要は、いかにレスポンスが早かろうが、論理的であろうが、向上心があろうが「関係ない」ということです。営業ならたくさん売る、開発なら新製品を作る、経理なら正確な数字をまとめるのが「できる社員」の定義です。
一見、納得できそうです。しかし、お気付きのことと思いますがこれは「原因と結果」を逆にしています。私は上記の8つの特徴は「生まれつき」に依るものが大きいと思っています。とはいえ、いずれも最初からはっきりとしていることはなく「どちらかと言えばそういう傾向がある」といった感じではないでしょうか。
できる社員を育てようとするならば、部下の「良い特徴」を見つけて伸ばすことです。そのためには部下を正しく観察することです。観察と言うと小学校の理科のような感じがするかもしれません。しかし「観る」とは視覚に限らず広く、感覚を働かして、探りとらえること、「察する」とは(人の心中や物事の事情を)おしはかる、おもいやる、同情することです。観察することは大変手間のかかる作業です。
「できる社員」を育てたいなら手間を惜しんではいけません。さっそく明日から部下を観察してみてください。