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第1,108話 職場で活躍できるシニア社員とは

2022年03月23日 | キャリア

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

昨年(2021年)4月に高年齢者雇用安定法(高年法)が改正され、企業には70歳までの就業確保が努力義務として課されました。さて、皆さんの職場では高齢者の人数は増えていますか?

官民問わず様々な組織にお邪魔すると、以前と比べシニア社員の数は明らかに増えていると感じます。人事部門に確認すると多くは65歳までの人であり、66歳以上の就業を積極的に取り入れている組織はあまり多くはないと感じています。

60歳から65歳までのシニア社員が働くことはもはや一般的といってもいい状況ですが、ではその人たちは職場でどのように働いているのでしょうか?私は、これまでシニア社員にお会いするたびにインタビューをさせていただいてきましたが、それぞれの職場で知識・技術・人脈などをフル活用し、また後輩の育成にも積極的で組織にプラスの影響力を発揮している人が想像以上に多いと感じました。一方で、あまり職場で活躍せずに、どちらかというと組織のお荷物的な存在になってしまい、周囲へマイナスの影響を与えてしまっている人がいるのも、また事実のようです。

周囲に話を聞いてみると、そういう人はことあるごとに「もう年だから・・・」と繰り返し、仕事に対して前向きに取り組もうとはしないのだそうです。確かに体力の低下は否めないかもしれませんが、こうした状況ではその人が在籍する意義に疑問譜が付くだけでなく、周囲のモチベーションまで下がってしまいかねません。

では、このようなシニア社員に力を発揮してもらうには、どうすればよいのでしょうか?

そこでお伝えしたいのが、心理学者のレイモンド・キャッテル(Raymond Cattell)の話です。キャッテルの功績は様々ありますが、その一つが知能を「流動性知能」と「結晶性知能」とに分けたことです。流動性知能は記憶力や暗記力・集中力などで、情報を獲得したり処理したりする能力のことであり、また新たな環境に適応したり、問題の解決策を模索したりする能力のことです。これは40歳頃をピークに低下すると言われていますので、流動性知能に関しては「もう年だから・・・できない」というのは、一理あるのかもしれません。

もう一方の結晶性知能は判断力のことで、知識や経験を生かして応用する能力であり、こちらは年齢と共に上昇し続けると言われています。そのように考えると、シニア社員はまさにこの結晶性知能である判断力をフル活用して、職場に貢献することができるというわけです。

どのように結晶性知能を使うのか、それは過去の経験によるところが大きいようです。今後、シニア社員になる前のタイミングで一度、獲得している知識・技能等を顕在化してみてはいかかでしょうか。

なお、キャッテルは「結晶性知能の発達は、個人の流動性知能によって左右される」とも言っています。つまり、同じ経験を積もうとする人が二人いるとすると、流動性知能の高い人のほうが、より結晶性知能を発達させることができるということです。

自身はシニア社員になるのはまだ当分先だという年齢の方も、将来自分がシニアになった際に職場になくてはならない存在になるためにも、流動性知能と結晶性知能の双方の重要性を認識し、今からそれを高める努力をしておくことが大切だということを、しっかり意識しておくことが必要ではないでしょうか。

(冒頭の写真はWikipediaより)

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