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第1,251話 置物の管理職になってはならない

2025年02月05日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「私は課長のことを内心、『置物』だと思っています」

これは、私がある組織の管理職昇格試験の面接官を担当させていただいた際に、受験者のAさんから聞いた言葉です。

面接でのやり取りによると、Aさんが管理職を目指すようになった理由は「職場環境を変えたい」と思うようになったからとのことでした。Aさんの職場には様々な問題があるそうなのですが、それを解決すべく上司である課長に働きかけても、どういうわけか課長は何もしようとしないのだそうです。そうしたことが何度も続いたため、Aさんは上司をまるで「置物なのでないか」と思うようになったとのことでした。

改めて置物の意味を広辞苑で調べてみると、「神仏や床の間などに装飾として置く物。(比喩的に)ある位置についてはいるが、実績・実力のないもの。飾り物」とあります。

これらから考えると、Aさんがいう「置物のような管理職」とは、「部下を管理する能力や組織の目標達成に貢献する能力が不足していて、業務の進行に支障がでるような人。問題が目の前にあって部下が困っているのにもかかわらず、動かない、何も決定しない、指示を出さない、責任を取らないような人」を指しているのだと思います。

こうした置物のような管理職では、事態は何も変わらない。そこでAさんは「上司がそのように動かないのであれば、私が何とかしなければ」と考え、一念発起して管理職昇任試験にチャレンジしたということでした。

では、なぜ置物のような管理職がそのポジションに居る(居続けられる)のでしょうか。

もちろんその理由は様々あるでしょうし、組織や部署によっても違うだろうとは思います。しかしAさんの組織では、既に20年以上も前から管理職になるためには自ら希望して昇任試験を受けて、それをクリアしなければならない制度があるのです。そため、Aさんの上司も決して年功序列だけで管理職になったわけではなく、「自分はこのような管理職になりたい。組織をこのようにしていきたい」などの強い思いをもって管理職試験にチャレンジし、晴れて合格に至ったという経緯があるはずなのです。

それにもかかわらず、その上司に一体何が起こり今の置物のような管理職になってしまったのか、その理由は知る由もありません。しかし、そういう人が管理職として居続けることは本人はともかく、部下をはじめ周囲の人間にマイナスの影響を及ぼしてしまっているわけで、やはり問題と言えます。

それでは、このように元々は志高く管理職になったのにもかかわらず、その後に置物のようになってしまった場合に、組織は一体どのように対応すればよいのでしょうか。正直なところケースバイケースであり、これに取り組めば大丈夫といった解決策を見い出すのは簡単ではないだろうと思います。

とはいえ、組織である以上組織としての対応が必要になるのは当然のことです。まずは月並みではあるものの、さらに上位の管理職(今回のケースでは部長)から本人に直接話をして原因を確認し、かつてのモチベーションを取り戻すべく、自らが可能な限りの改善を図るように促すことが大切であると考えます。

その結果として、モチベーションやパフォーマンスに改善が見られないのであれば、最終手段として役職を見直し、本人のキャリアにとっても適切なポジションを検討せざるを得ないのではないでしょうか。

「置物」のような上司が上にいたら、その影響を直接受けるのは部下です。厳しいようですが、組織としては求められる職責を果たそうとしない、果たすことができないような置物を何もせずに放置してしまうということは、断じて避けなければならないのです。

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