いえ、両親のことではありません。会社に入ってからあなたに仕事を教えてくれた人たちのことです。あなたが一通り仕事ができるようになるまでの出来事を思い出してください。昔のことなので思い出せない・・・かもしれませんが「あのとき、上司のXXさんがこうやって教えてくれた」という記憶は必ずあるはずです。
「いや、誰からも一切教わった記憶はない。自分一人だけで仕事を覚えてきた。」と断言できる人はいないと思います。もしいたとしたら、超能力者か恩知らずのどちらかでしょう。
経営者や管理職の方々にこういう話をすると「最近の若者は教えてもらうのが当然だと思っている」「何度教えても覚えようとしない」という答えが返ってくることがあります。「それに比べれば、自分は誰にも頼らず苦労して一人前になった」というわけです。
しかし、思い出していただきたいのですが、昔はたくさんの人たちがあなたの周りにいたはずです。直属の上司以外にも、口うるさい他部署の課長、取引先のおっかない係長、いちいち文句をつけてくる先輩・・・。あなたはひとりで頑張ってきたと思っているかもしれませんが、実は多くの人たちから何かを少しづつ教えてもらっていました。あなた、つまり昔の若手社員は恵まれていたのです。
一方、現代の職場を見回せば、昔のように多くの人たちが目に入ることもありません。メールのおかげで対面で話をする機会も減りました。課長も係長も先輩も年々仕事の量が増える一方で、部下や後輩などかまっていられません。
だからこそ社長以下社員全員が「意識して」若手社員を育てなければならないのです。
「自分は多くの人に育ててもらった」ということを自覚している管理職は「多くの人を育てる人」になっています。そうした管理職が多くいる会社の方が、そうでない会社よりも業績が良いことは言うまでもありません。
会社を存続させるため、あなたも「育てる人」になってください。