JSP_Blog

ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

一期一会の奇跡

2011-12-08 08:51:57 | 日記
IT業界は仕事の単位を"プロジェクト"と呼ばれる単位で切り分け、それぞれ 作るもの、関係する会社、システム、条件、そして携わる"人"が違う。
この業界に限ったことでは無いかもしれないが、繰り返される一期一会の中で様々な人と出会うことが出来る。集められた技術者達が烏合の衆となるか、打ち解けあって良いチームになるかは時の運のように思える。気が合う人もいればそうでない人もいるので、やりやすかったり、そうでなかったりする。一人ひとりにその感覚が生じるので"全員が一丸となって"なんてことは夢物語だとさえ思える。




仕事で徹夜と言えば[僕]の感覚からすると都市伝説みたいなもので、業界3年目の後半に差し掛かるまで一度しか経験したことがなかった。それもたまたまタイミングの悪いことが重なって結果的に徹夜になってしまったケースだ。
また、311地震の時に帰宅困難者になって、寝袋と乾パンを支給され職場で一夜を過ごしたこともあったが、それはノーカウントとする。

「昔は300時間越えなんて普通だった。」
「残業200時間突破なんてよくある話。」
「イスの背もたれを互い違いに3つ並べると、寝やすい。」
「仮眠を取らずに貫徹で48時間働いた。」
この道をゆく先輩方の武勇伝では聞き及んでいるが、一昔前に比べるともろもろが改善され、今はそういった無茶な稼働を強いるプロジェクトは減ってきているそうだ。

しかし先日
先輩たちの苦労によって熟れた道を歩く[僕]にも、とても稼働が厳しい月があった。そういった瞬間こそ、チームとしての力が試される。


業務用Webアプリケーション開発 画面数250超、開発者50名以上の規模のプロジェクトで、[僕]にとっては珍しく大規模組織の中に身を投じる機会だった。集められた開発者は機能の大カテゴリ事に7つのグループに分けられ、それぞれの担当画面の作成を行う。

8月某日。[僕]が割り振られたのは「その他」チーム。
"その他雑用"の"その他"ではなくどのカテゴリにも当てはまらない独立した機能を寄せ集めたタスクを持つチームだった。初期メンバーは5名[初代リーダー]と[サブリーダー]と[ビッグマン]と[エース]と[僕]。その他チームの担当画面数は全チームの中でも最大数だった。
自分の担当画面数は"14"だった。開発フェーズのみ、9月末までのプロジェクトと聞いていたので正直無理なんじゃないかと思った。特に担当画面で実装方法がまるでわからないものがあり、[エース]や[サブリーダー]に助言を求めた。

2週後には[イケメン]と[スピードスター]がチームに加わった。
[イケメン]は僕の隣の席になり、開発ツールの便利なショートカットやプログラムのいろはを教えてくれた。その光景はチーム内で"[イケメン]塾"と呼ばれるおなじみの光景になった。二人で頭を抱えていると[エース]や[ビックマン]が様子を見に来てくれた。この頃から、各人が机の中に忍ばせていたアメやガムの類を一箇所に集め、"誰でもとっていいお菓子システム"が導入された。
カゴを用意してからは煎餅やチョコ、駄菓子なども並び、他チームからわざわざ足を運びに来る人もいるくらい賑やかな交流の場になった。補充はチームメンバーや他チームの利用者の善意でまかなわれ、[僕]はそのお菓子の管理をした。

9月。8月時点では仕様が固まっていないこともあり、プロトタイプの作成だったり、画面仕様の確認が主な作業だったが9月に入ってからはゆっくりとソースがコミットされるようになった。[スピードスター]は頭角を現し、すごい勢いで画面を作成していった。チーム内で最高難易度の"認証機能"を請け負った[ビックマン]は作業ボリュームの膨大さに頭を抱えていた。ここでコーディングのサポートとして[ルーキー]がその他チームにアサインされた。
業界1年目かつ1ヶ月のアドバンテージがあるアサインにも関わらず、[ルーキー]はすぐにメンバーと打ち解けた。雑談も多かったが、誰かが課題を抱えていると構わず声をかけてサポートするというチームの風潮が根付いた。お菓子システムは募金システムが実装され、合計1万円以上の売上を出していた。この頃から[初代リーダー]の体調が悪化した。

10月に突入してから各チームのリーダーの血相が変わった。上から順々に点火されていく火は、ついにリーダー陣のケツに点火された。[初代リーダー]は体調不良で稼働が落ち[二代目リーダー]が実質的なリーダーとなった。末端のメンバーに突きつけられる無茶なスケジュール。終電で帰る日々が続いた。この頃にはその他チームの団結力はかなり高まり他のチームから、「その他チームって楽しそうだよね」と言われることが多くなった。

10月中旬ついに"実装/単体フェーズ"の締め切りが近づき、徹夜前提のスケジュールが組まれた。1日目、2日目.. 帰れない日々が続く。
そして3日目 自分のタスクが終わったメンバーは迷うことなく遅延しているメンバーのサポートに入る。[初代リーダー]はこの日、引継ぎ作業の為に久々に顔を出した。終電がなくなるまで残り、メンバーのサポートをしてくれた。限界を迎えたメンバーが一人、また一人と眠りに落ちていく。先週の土日から数えると何連勤かわからない状態。朝の9時を回った時点でついに[僕]も落ちた。1時間ほど眠りにつき朝10時点で残タスクを精査したら保留扱いのタスクがあるものの、チームとしての作業は完了出来たようだった。

4日目の朝を迎えたその他チームのメンバーは、それぞれの体から変なニオイを感じながら、今後のスケジュールについて統括リーダーを交え会議に参加する。保留タスクの消化や"内部結合テストフェーズ"突入など、とても"一休み"が出来るスケジュールではなかった。統括リーダーはシフト制の代休を提案してくれた。
[エース]は、とくに稼働の高かった"認証機能"を担った[ビッグマン]と[ルーキー]に優先的に休みを回そうと提案する。三六協定で稼働の高さを自社から指摘されていた[スピードスター]が頷く。
[ルーキー]は「これから内部結合テストが始まるから認証系で問題が起きたらテストが進まなくなってしまう。だから僕らは休めない」と言う。疲れのせいか涙腺が緩んで少し泣いてしまった。

各々の個性を生かし絶妙なバランスで成り立っていたチームだった。
言いたいことは言い合えるチームだった。支え合えるチームだった。

その後わかったことだが、その他チームは他チームと比べて画面数が多かったのにも関わらずバグもかなり少なく、ソースやドキュメントの記述粒度も統一性のあるものとなった。


今となっては[僕]は別チームに移動していたり、他メンバーは別のプロジェクトにいってしまったりでチームは解散状態だ。

またこんなチームで仕事がしたい。(KS)


[初代リーダー]
ゆるいトークでみんなを和ませる初代リーダー。
チームの雰囲気の垣根を作った人。
問題を後回しにする傾向があるが、他チームがなかなか増員出来ない中、3名もの増員に成功した。
体調の問題があり途中からプロジェクトを去った。

[サブリーダー]
高いマネジメント能力と技術力を持ち誠実な姿勢で仕事に取り組む。
自分のタスクの他に体調を崩しがちなリーダーの補佐に加え、技術面でも各メンバーをサポートする。
声が小さくクールな印象だが、夏場の休日出勤にはアロハ短パンサンダルで出社することもあるお茶目なベテランエンジニア。

[ビッグマン]
チーム中最高難易度の(それだけでももう1チーム作ってもいいくらいのボリュームらしい。)"認証機能"を設計から担当した。
190を越える長身にがっちりとした体躯。大きなのは体だけでなく懐も。
NOと言わない大らかなベテランエンジニア。

[エース]
問題点を早期に発見し、迅速かつ適切な対応が出来る。
他チームのエースが集まり技術情報を共有する会議でのニックネームはスーパーエース。
「スーパーエースが言ってました。」と言えばプロジェクト内だいたいの人は頷いてくれる。
頼れる信頼度No.1 中堅エンジニア。

[僕]
ビジネスブログの当投稿を担当する私。
チーム内で与えられた役割はムードメーカー。技術力は下の下。
まだまだ駈け出しエンジニアもどき。業界3年目。

[イケメン]
若きフリーのエンジニア。将来は企業する夢がある。
人に教えることが上手で、笑うと出来るえくぼにキュンとする。
時間や締め切りにルーズなのがたまにキズ。

[スピードスター]
作業スピード最速の若手エンジニア。あまりの速さに先走り共通仕様からそれてしまうことも。
重要なコーディング規約を見落として最初からやり直しなこともあるおっちょこちょい。
作業の速さからタスクを上積みされることもあり、作成画面数はチームトップ。
集中力が増すと独り言が増える。

[ルーキー]
業界1年目だが、言語知識、フレームワーク知識が本プロジェクトとマッチングしていたこともあり、
チーム中最高難易度の"認証機能"増員としてメンバーとしては最後にアサイン。コーディングを担当した。
アウトプットや進捗に対する意識が1年目とは思えないスレた若手エンジニア。
Javaのことは何でも知っているが、"相対性理論"という単語を知らなかった。

[二代目リーダー]
体調を崩しがちな初代リーダーをサポートするためにアサインされた。
初代リーダーが現場を去ってからは二代目リーダーとしてチームを指揮。
技術的な部分は今ひとつだが、浮かび上がる問題やタスクを漏らすことなく解決へ導く。
名言は「みんなが帰らないから帰れない」


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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
  製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
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