スマートフォンを見ながら歩く人をよく見かける。人ごみの中で、通勤ラッシュの中で、ところかまわず見つめている。夜になるともっとひどい。ずいぶんゆっくり歩いているなあと思い、追い抜きざま横目で見てみる。ずいぶんと顔が明るい。3,4人に1人はそんな感じではなかろうか。
たまにそんな姿のまま足早に歩く人もいる。いったいどこへ向かうのだろう。
大勢でかたまってゆっくりと移動する集団を見かける。4人ほどがすれ違える広い歩道なのに、彼らの後ろにつくと、自分もゆっくり歩かなければならない。彼らはよく横に並んで歩く。それには年代も性別も関係ない。
たたんだ傘を手に持って大振りに歩く人がいる。彼らは、自分の後ろに人がいるということに気がついている。しかし、傘の指す先に人がいることには気づいていない。階段は特に危ない。子どもも危ない。
電車やバスに乗ると、縄張りを主張する人がいる。電車に乗るために列に並ぶ。先頭の人が乗り、乗り口横のスペースにスポッと収まる。そうして、まるで門番のように左右からスマートフォンを差し向けてくる。
注意や指摘をすると、権利や法律で正しさを主張する人がいる。相手がなぜそう言っているのか理解できない。道徳が欠落しているのではないかと思ってしまう。人のために、社会のために。そういった考えが薄いのかもしれない。自分は悪くないのだと、他人の言葉で主張する。
特段、「こうするべきだよね」ということを書いたつもりはない。上に書いたことなど、つまるところは私が考えた自分ルールに則って世界を見つめ、世の中に対する不満を述べているにすぎない。しかも、その自分ルールは、私自身が遵守していない。
ルールや法律といった類のものは、非常に論理的にできている。そこには抜け穴があり、予想外のことがあり、完璧ではない。
その上、人は自分の行動を縛られ、その状態に慣れてしまうと、いつしか物事を考えなくなる。ルールがあれば、そのルールさえ守ればよいのだという習慣になりやすい。
そのために、人は倫理的・道徳的な間違いを犯す。人に言われてすぐに納得できるものではなく、自分で気づけるほど簡単なものではない。
だからこそ、自分の行動は本当にそれでよいのか、自分で考える必要がある。自分の行動・判断の根拠や立脚点は、自分で作らなければならない。
法で律する社会の行き着く先は、いわゆるディストピアかもしれない。法律と道徳によって調和の取れた社会が現代の理想なのかもしれないが、現状から言ってずっと調和を維持することは難しいのではなかろうか。
これまで誰も成しえなかったことも、機械の力で実現ができる。その気になれば、SFの世界に出てくるような、全人類を評価して犯罪の種を摘む機械も作れてしまう。現代はすでに、人と機械とが交じり合った世界だ。人には決してできない規模の独裁がすでに実現可能なのだ。
自分の正しさは自分で決めたい。傲慢にならず、独りよがりにならず。そのためにも、多くのことを経験し、考え続けなければならない。
(つ)
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株式会社ジェイエスピー
横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
たまにそんな姿のまま足早に歩く人もいる。いったいどこへ向かうのだろう。
大勢でかたまってゆっくりと移動する集団を見かける。4人ほどがすれ違える広い歩道なのに、彼らの後ろにつくと、自分もゆっくり歩かなければならない。彼らはよく横に並んで歩く。それには年代も性別も関係ない。
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注意や指摘をすると、権利や法律で正しさを主張する人がいる。相手がなぜそう言っているのか理解できない。道徳が欠落しているのではないかと思ってしまう。人のために、社会のために。そういった考えが薄いのかもしれない。自分は悪くないのだと、他人の言葉で主張する。
特段、「こうするべきだよね」ということを書いたつもりはない。上に書いたことなど、つまるところは私が考えた自分ルールに則って世界を見つめ、世の中に対する不満を述べているにすぎない。しかも、その自分ルールは、私自身が遵守していない。
ルールや法律といった類のものは、非常に論理的にできている。そこには抜け穴があり、予想外のことがあり、完璧ではない。
その上、人は自分の行動を縛られ、その状態に慣れてしまうと、いつしか物事を考えなくなる。ルールがあれば、そのルールさえ守ればよいのだという習慣になりやすい。
そのために、人は倫理的・道徳的な間違いを犯す。人に言われてすぐに納得できるものではなく、自分で気づけるほど簡単なものではない。
だからこそ、自分の行動は本当にそれでよいのか、自分で考える必要がある。自分の行動・判断の根拠や立脚点は、自分で作らなければならない。
法で律する社会の行き着く先は、いわゆるディストピアかもしれない。法律と道徳によって調和の取れた社会が現代の理想なのかもしれないが、現状から言ってずっと調和を維持することは難しいのではなかろうか。
これまで誰も成しえなかったことも、機械の力で実現ができる。その気になれば、SFの世界に出てくるような、全人類を評価して犯罪の種を摘む機械も作れてしまう。現代はすでに、人と機械とが交じり合った世界だ。人には決してできない規模の独裁がすでに実現可能なのだ。
自分の正しさは自分で決めたい。傲慢にならず、独りよがりにならず。そのためにも、多くのことを経験し、考え続けなければならない。
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