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のんびりと

 毎月必ず参拝しようと決めたお千代保稲荷に行った。今月から日曜日は一日ずっと塾があるため、今までのように日曜に参拝することができない。そこで、久しぶりの秋晴れの下、松井の今シーズンが終わって消沈した心を少しでも奮い立たせようと、妻と伯母と連れ立って出かけた。
 いつもは参道を埋め尽くすほどの人で溢れているが、さすがに平日の午前中だけあって、さほど混んではいない。道の両側に並ぶ商店もすべて開いていたが、店の人たちもどことなく長閑している。人の波に流されながら歩くのと違って、ゆったりとした心持ちで進めるのがいい。

  

 蝋燭を立て、油揚げを供えて賽銭を入れ、拍手を打って手を合わせる。それだけのことだが、1ヶ月に一度自分の心を新たにする機会を持つことは有意義だ。学業成就と交通安全が私の塾を支える屋台骨だ。私がどんなに努力しても、どんなに注意を払っても、至らないことがあるかもしれない。そんな時には神仏の加護があれば・・、そうした思いで手を合わせている。

 参拝が終われば、あとの楽しみは道の両側の店をのぞくことと昼食をとること。まずは漬物屋に向かった。何軒か漬物屋はあるが、その中でも食品添加物が少ない製品を売っていると妻が推奨する「しおのくら」という漬物屋に入った。

  

 洒落た店構えで、色々な漬物が種類ごとにまとめて小さなブースに置かれている。1つ1つ細かく切った試食品が皿に載せられていて、味見ができるようになっている。いくつかつまんでみたが、写真の大根と牛蒡が殊の外おいしくて、親戚への土産と自宅用にいくつか買った。
 そうこうしている内にちょうど昼食時になったので、ここ何度か連続で立ち寄っている讃岐そばの店「ちょぼ蔵」に行った。いつもは満席の狭い店内が、昨日はがらんとしていた。店の人の応対もいつもに増して丁寧だ。この店のスタッフに元力士がいるそうで、相撲部屋で作られた「力士味噌」というものがねぎとともに最初に出される。これがなかなかいい味で、前々回に立ち寄った時に妻が一瓶買って帰り、家で時々食べている。

  

 妻と伯母は温かいそばを注文したが、私は歩いて少々暑かったので、冷やし中華を頼んだ。ここのメニューはどれを食べてもおいしい。最初入ったときは参拝客目当ての中途半端な店ぐらいに思っていたのだが、食べてみて余りのおいしさに驚いてしまった。それ以来、お千代保稲荷に来たら必ず「ちょぼ蔵」で食べることにしている。この冷やし中華も、冷麺ではなく、中華そばを冷たくしたような懐かしい味がして、冷麺には必ずマヨネーズが欲しくなる私でも、まったくそんな気が起こらなかったほどの逸品であった。
 食事を終えて店を出ようとすると、「いつもどうもありがとうございます」と店主が伯母に話しかけた。
「毎月いらしていただいてますね」
「この子たちが連れてきてくれるのでお参りができます」
「それはよろしいですね。おいくつになられますか?」
「81です」
「おお、それはお元気で。またよろしくお願いします。お気をつけてお帰りください」
「ありがとうございます」

 こんな会話を楽しめるのも平日ならではだ。平日にのんびり来るのもいい。
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終わっちゃった・・

 8回デーモンが三振で倒れてチェンジになったとき、指を折って数えた。2,3,4,5,6・・・、そうか、ランナーが二人出れば松井まで回る。そこで松井がホームランを打てば同点だ。だけど、今の松井にホームランなんて打てるだろうか・・。打てるさ、という気持ちと無理だろうな、という気持ちがせめぎあいをしている中、9回表のインディアンスの攻撃をリベラが何とか0点に抑えて、さあ、いよいよ最終回。2番のキャプテン・ジーターからだ。インディアンスのピッチャーはクローザーのボロースキに交代した。このピッチャーは抑えといってもかなり防御率が悪く、十分付け入る隙があるように思った。いけ!キャプテン!!しかし、余りに絶好球が来たため力が入りすぎたのか、ジーターはセカンドフライ。凡退しても表情を変えないジーターが珍しく顔をゆがめた。勝ちたいよなあ、何とかしたかったよなあ・・。続くバッターは3番アブレイユ。飄々とした表情で何かをやる男、頼むぞ!!おお、すごい!アッパーデッキに達する超特大のホームラン!!これで4-6、2点差だ。このままがんがん行こう!!次は主砲A・ロッド。今日は第4打席でホームランを打っているだけに期待が高まる。しかし、しかし、泳がされてライトフライ・・。A・ロッドォ~~~・・。2アウト、もう後がない。5番バッターはポサダ、彼が出塁しなければ、松井まで回らない。出ろ、ポサダ、どんなことをしても松井に回せ、このままで終わってどうする!!2球目、フルスイングした飛球がライトスタンドへ、やったぁ~~~!ホームラン!松井だ、松井の打席だ、と思った瞬間、無情にもファールのコール・・。残念、だけど打ち直せばいいんだ、いけ、ポサダ!
      さ・ん・し・ん・・・・・・・・・・。
終わっちゃった、松井は、松井の打席は・・・。
 
 それからはしばらく茫然自失の状態が続いた。虚脱感で動けなかった。もうどうしたらいいのか分からなかった。

 松井が入団した一年目こそワールドシリーズに進んだもののマーリンズに負けてしまい、夢はかなわなかった。2年目はリーグチャンピオンシリーズでレッドソックスに3連勝のあと4連敗して敗退。3年目からはエンゼルス、タイガースに地区シリーズで敗れ、今年もインディアンスに敗れてしまったことで、3年連続地区シリーズで敗退したことになる。その間、ホワイトソックスの井口資仁、カージナルスの田口壮がチャンピオンリングを手にした。また今年もこのままの勢いで行けば、レッドソックスがワールドチャンピオンになるのが濃厚なように思われるから、松坂大輔、岡島秀樹の両投手にも先を越されることになってしまうかもしれない。残念だし、悔しい。

 終わったばかりで、今シーズンの松井の戦いぶりをコメントする気力はとても湧かない。ただ、体を休めて、各部のオーバーホールに努めてくれるよう願うばかりだ。特にシーズン終盤苦しんだひざにどんな処置をするのかが問題になるだろうが、最善の選択をして、来期は万全の状態で一年間プレーできるようにほしい。
 地区シリーズで敗退したらトーリ監督を解任すると、オーナーが示唆していると言われているように、来シーズンのヤンキースは今年のチームとは大きく変わるかもしれない。その中で松井秀喜がどんな役割を担わされているか、不透明な状況ではあるが、今はただ、全身の悔しさをこらえて松井に「お疲れさま」と言いたい。痛むひざを抱え、思うようなプレーができなかったことが何よりも辛かっただろうから、とにかくしばらくはゆっくり休んでほしい。
 
 「よくがんばったから、少しは羽をのばせよ」

 だけど、「不動心」などと禅僧めいたことを言う松井よりも、地区シリーズ3戦でデーモンの逆転ホームランに誰よりも速くベンチを飛び出して、両手を天に突き上げた熱い松井のほうが、私は好きだ。
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干支

 日曜日、郵便局へ行った帰り道、市の中心部にある公共施設であるイベントが行われていると聞いて立ち寄ったところ、運悪くもう終了していた。ちょっと楽しみにしていただけに残念に思いながらも、慰めに館内を少し回ってみた。2週間前の「招き猫まつり」では多くの人でごった返していたが、その日はうって変わって閑散としていた。その分陶器の売り場などをゆっくり見ることができた。「招き猫」は相変わらず多くの種類があって人目を引くが、今はそれよりももっと多く並べられているのが「ねずみ」の置き物だ。「猫からねずみ?」と少々不思議な感じもしたが、よく考えてみれば「ねずみ」は来年の干支だ。私の住む市では、毎年の干支にちなんだ陶製の人形が数多く作られ、売られている。

  

 

 「来年のことを言えば鬼が笑う」とよく言われるが、ふっと気付けばいつの間にか10月。「暑い、暑い」と言いながらも暦だけは確実に進んでいる。2007年も残すところ80日余り、来年の干支人形が売り出されても何も不思議ではない。

 そういえば、今年の初めにラジオで、『日本の他にも干支のある国がいくつかあって、干支の種類も日本の十二支「鼠・牛・虎・兎・龍・蛇・馬・羊・猿・鶏・犬・猪」とは違う動物が入っている国もある』という話を聞いたのを覚えている。その時はこのブログの記事にしようと思ったのだが、いつの間にか忘れてしまっていた。そこで改めていくつかの国々の干支を調べてみた。
 中国・台湾・韓国・ロシアの十二支は日本とまったく同じであるが、
  チベットとタイでは、「兎」の代わりに「猫」、「猪」の代わりに「豚」
  ベトナムでは、「牛」の代わりに「水牛」、「兎」の代わりに「猫」、「猪」の代わりに「豚」
  モンゴルでは、「虎」の代わりに「豹」
  ベラルーシでは、「兎」の代わりに「猫」
というようにお国柄からか、少しずつ違いがあるようで、面白い。
 
 面白いと言えば、いくつかの国では干支の中に入れられている「猫」が日本ではどうして入れられていないかについて、面白い話が伝えられている。

 『昔々の大昔のある年の暮れのこと、神様が動物たちにお触れを出したそうな。
「元日の朝、新年の挨拶に出かけて来い。一番早く来た者から十二番目の者までは、順にそれぞれ一年の間、動物の大将にしてやろう」
 動物たちは、おらが一番とて、めいめいが気張って元日が来るのを待っておった。ところが猫は神様のところにいつ行くのか忘れてしまったので、ねずみに訊くと、ねずみはわざと一日遅れの日を教えてやった。猫はねずみが言うのを間に受けて、喜んで帰っていったと。
 さて元日になると、牛は「おらは歩くのが遅いだで、一足早く出かけるべ」とて夜のうちから支度をし、まだ暗いのに出発した。牛小屋の天井でこれを見ていたねずみは、ぽんと牛の背中に飛び乗った。そんなこととは知らず、牛が神様の御殿に近付いてみると、まだ誰も来ていない。
 我こそ一番と喜んで待つうちに門が開いた。とたんに牛の背中からねずみが飛び降り、ちょろちょろっと走って一番になってしまった。それで牛は二番、それから虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪の順で着いた。猫は一日遅れで行ったものだから番外で仲間に入れなかった。それでねずみを恨んで、今が今でもねずみを追い回すのだそうな』

 TVアニメ「トムとジェリー」でも猫のトムはねずみのジェリーに翻弄されてばかりいるから、あながちこの言い伝えも嘘ではないような気がする。
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民営化

 私の塾では毎月1回、私立中学志望生を対象に模擬試験を行っている。各月の第一土曜日を試験実施日としているため、答案を模擬試験本部に郵送するのは日曜日ということになる。近くの郵便局では日曜の受付はしていないので、少し離れた市の本局まで答案用紙をまとめた郵便物を持っていくのが決まりとなっている。10月の模試も無事に終え、昨日日曜日にいつもどおりに本局まで車で出かけた。途中で、妻が民営化してからは日曜の郵便物の受付をしなくなった郵便局があるらしいからどうなんだろう、と言ったが、まさか私の住む市の元締めたる本局が日曜の業務を廃止するわけはないだろうと思って、玄関口まで行ってみた。すると、


 何だよ、これは!ふざけるな!「日曜・祝日 お取り扱いしていません」だと!いったいどういうことだ?  民営化後、TVCMでは盛んに夏川りみの「涙そうそう」をバックミュージックに「ひとりを愛せる日本へ」というコピーで、地域の住民一人一人のためになる民営化を印象付けようとしているが、内実はこうなんだ、と改めて知った一瞬だった。民営化前には日曜休日にも窓口が開いていて、郵便物を受け付けてくれた。もちろん葉書や封書の類なら、郵便ポストに入れればいいのだが、急な手紙や小包を送ろうとする際に郵便物を窓口で受け付けてくれないのでは困ってしまう。民営化によるメリットはいくつかあるかもしれないが、こんなことがあるとデメリットばかりが前面に出てしまい、「不便になったな」という印象を持ってしまう。小泉め・・・などと恨み言をいいたくなるが、8日月曜日は祝日のため、1日待っても郵便事情は変わらない。ならば、どうしよう・・。
 エックスパックという手もある。しかし、それだと所定の包みの中に模試の答案用紙が収まりそうもない。折れば何とかなるかもしれないが、なるべく避けたい。ならばどうするか・・。
 「メール便にしたら?」
見計らったように、妻が提案した。
 「何それ?」
 「佐川急便のメール便。確かセブンイレブンで取り扱ってるはずだよ。でも、この包みが送れるかどうかは聞いてみないとわからないと思うけど」
 セブンイレブンなら郵便局からの帰り道にある。物は試しに行ってみよう。
 「すみません、これをメール便で送りたいんですけど、できますか?」と私がたずねると、若い女子店員が
 「はい、大丈夫ですよ」、包みの厚さを器具で測りながら、簡単に答えた。
 「そうですか、よかった。ところで、いくらかかりますか?」
 「160円です」
 「160円?」私は驚いて聞き返した。
 「はい、そうです」
私は今まで、郵便局でこの模試の答案用紙を郵送するのに800円前後を払っていた。それなのに160円とは・・。より早く着くようにするために速達にしてもらったのだが、それでも260円、何てことだ!!1回につき500円も安い・・。知らなかった・・・。
 

 妻によると、郵便局が参入したことにより、佐川急便などの宅配便の受付を取りやめたコンビ二が多いらしい。その中でも、セブンイレブンは佐川急便の受付を続けているようだが、こんなに安くて早く、しかも年中無休で受け付けてくれるサービスを続けてくれているのはありがたい。
 これからは郵便局ではなく、セブンイレブンから佐川のメール便を利用しようと思う。
 民営化のバカヤロウ!!
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虫聞き

 地区シリーズでヤンキースがインディアンスに2連敗した。先に3勝した方がリーグチャンピオンシリーズに進めるので、早くも土俵際まで追い詰められてしまった。第1戦は投手陣が打ち込まれ3-12と大敗、2戦目は延長11回2死満塁からヒットを打たれサヨナラ負け、とまったくいいところがない。流れは完全にインディアンスに傾いているから、これを押し戻すのは並大抵のことではないだろう。今シリーズでの猛打爆発を期待していた松井秀喜は、第1戦は4打数0安打、第2戦も3打数0安打1四球と精彩を欠く内容であった。確かに相手投手、サバシアとカルモナが最高のピッチングをしたのかもしれないが、これだけ打てないのでは話にならない。特に第1戦の5回2死満塁での・・・などと今更私が愚痴ってみたところで何もならない。こうなったら、開き直って第3戦から3連勝する意気込みで、チームをぐいぐい引っ張っていってほしい。どんなことがあろうと、とにかく最後まで応援し続けるから、松井よ、がんばってくれ!
 
 とは言ってもかなり気分は悪い。ふっと気付くとネガティブな考えで頭の中がいっぱいになっている。これじゃあ、ダメだ。私にできることはTVの前で声援を送ることだけなのに、落ち込んでいては何の役にも立たない。何とか気持ちを奮い立たせようとあれこれ考えてみたが、妙案は浮かばない。ただ、金曜日の深夜にNHK・BShiで見た、「アインシュタインの眼」という番組で紹介されていた「虫のオーケストラ」のことを思い出した。花見や月見と並び、江戸時代の5つの風流とされた”虫聞き”を、現代風にアレンジして「虫のオーケストラ」として楽しもうという趣向だった。秋の代表的な虫を10種類選んで、それらの虫の音をオーケストラ風に重ね合わせて聞かせてくれたのだが、どの虫の音も秋の夜長に聞くにはふさわしい、繊細で透明感あふれるものばかりで、聞いているうちに心がとても落ち着いてきた・・。
 そうか、そうした虫の音をここに集めてきて、ヤンキースの敗戦で打ち萎れた心を慰めてはどうだろう。なんにせよ、まだシリーズが終わったわけではない。今肝心なのは心を落ち着けて、しっかり前を見続けることだ。ヤンキースと松井の復調を願いながら、第3戦に集中できるようできるだけ雑念を払い、心を軽くしておかなければならない。そこでネット上をあれこれ探したところ、「虫のオーケストラ」に選ばれた10種類のうち9種類の虫の音を集めることができた。(10種類目の虫が何なのか、画面に追いつけず、メモすることができなかった・・)短いものばかりではあるが、虫それぞれの特徴が出ていて、なかなか風情がある。

スズムシ
カネタタキ
クツワムシ
キンヒバリ
カンタン
マツムシ
エンマコオロギ
ハラオカメ
クビキリギリス


 心が安らぐまで聞き続けて、月曜の早朝に行われる第3戦にベストの状態で臨めるようにしよう!
 まだまだこれから、これから!

おまけ
ウマオイ
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下流社会 第2章

 「下流社会」(三浦展著 光文社新書)については2年ほど前に記事にしていた。そのときは目新しい響きがしていた「下流社会」という言葉も、今や聞き慣れた言葉になってしまった。同時に格差社会という言葉も盛んに使われるようになり、日本の社会が二極分化しつつある印象を多くの人が持つようになった。先の参議院選挙でも「格差をなくす」という公約がどの政党からも発せられていた。あまり聞こえのいい言葉ではないが、時代を読み解くキーワードになってしまったようだ。
 先日その続編となる「下流社会 第2章」を買ってきて読み始めたのだが、もう2年も経つと前著の内容もかなり忘れていて、「下流」という言葉が何を表現しているのか判然としなかった。そこで、自分の記事を読み直してみたところ、『中流であることに対する意欲のない人、そして中流から降りる人、あるいは落ちる人、それが「下流」だ』という定義がしてあった。確かに今の世の中、食べるに困るというほどの貧困は日本にはない。ごく一部を除けば、誰もがそれなりの生活を営んでいる。ただ、それに満足するかどうか、さらによりよい暮らし(精神的・物質的に)を求めようとするかどうかが格差を生み出しているという著者の指摘も頷けなくはない。
 ならば、今度の「第2章」ではいったい何を探ろうとしているのか、それを知るために読み進めていったのだが、インターネットを使った20~44歳までの男性10000人を対象としたアンケートを基に論を展開しているため、多くのページが調査結果をグラフ化したものとその分析に費やされていて、読み終えるのに大して時間がかからなかった。私がそうしたデータのほとんどを読み飛ばしたためだろうが、延々と繰り返されるデータ分析は退屈であり、頭にはほとんど残らなかった。まったくの素人にとっては、この(たぶん)貴重な分析結果も「豚に真珠」「馬の耳に念仏」でしかなく、いたずらに紙面の無駄遣いとしか映らない。そんな分析は適当でいいから、「この下流社会というものを是正するにはどうしたらいいとあなたは考えるのか?」と著者に質問したいなあと思いながら読んでいったら、最後の「おわりに」の中に次の一節を見つけた。

 これまでの制度では、正社員と非正社員の経済的格差が非常に大きい。しかし、正社員は残業が多く、過労であり、ストレスに悩んでいる。だから、非正社員は正社員になることを躊躇する。
 (中略)
 個人のそのときどきのライフスタイルに応じた働き方が可能になるならば、多くの人は不安定な非正社員ではなく、正社員という立場を選ぶであろう。高度経済成長期の中流化の時代における夢と希望のある正社員とはまた別の、今の時代に即した夢と希望のある新しい正社員像が描かれるべきだ。

 そういえば、そんなことが本編にも少しずつ書いてあったような気がしなくもないが、何せあまりに膨大なデータを読みながらのことなので、なかなか頭に入ってこなかったのかもしれない。資料は別冊にして、ざっくりと(この言葉がお気に入りなのか何度か使ってあった)分析結果を提示した上で、著者の提言が書いてあったなら、もっとストレートに伝わったのに、と多くの新書に抱く感想をこの「第2章」にも抱いてしまった。無理に200ページ以上にしようとするから、言いたいことがぼけちゃうんだよなあ・・。
 
 「第2章」にも前著と同じように、最初に「下流度チェック」が載っていたので、以下に引用してみる。「以下の項目が半分以上当てはまる人は下流的である。あるいは、未婚であるか、非正社員(派遣、フリーター)である可能性が高いはずだ」と書いてあるが、当てになるかどうか私には分からない。

 1.2005年9月の衆議院選挙では初めて自民党に投票した。
 2.石原慎太郎に心ひかれる自分がある。
 3.オリンピックやサッカー・ワールドカップでは心から日本を応援する。
 4.中国や韓国はいやだと思うことが多い。
 5.正社員になることは自分を捨てることだと思う。
 6.出世ができないなら正社員になる意味はないと思う。
 7.仕事でがんばっても報われないと思う。
 8.今の自分は、自分を探している状態だ。
 9.自己アピールや面接は苦手である。
10.これからの自分の人生に希望を持っている。
(男性の場合)
11.結婚相手の女性の年収は自分よりも高くてよい。
12.実はロリコン気味である。

・・・当てはまるのは、3つくらいかなあ。
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S&B

 先日いつもと違うスーパーに行ったら驚いた。S&Bの製品が大量に整然と並べられていた。ビンのラベルが色分けされていて、そこだけお花畑かと見紛うばかりにきれいだった。

  

 すごいな、と少々感動しながら、家に帰ってS&BのHPを開いてみた。すると、
「ペッパーやシナモンといったおなじみのスパイスから、お菓子やパンのアクセントになるハーブ、中国料理やインド料理に欠かせないミックススパイスまで、200アイテムにせまる豊富な品揃えで、いろんなレシピに対応」とあり、製品がずらりと並んでいた。こんなにも多くのスパイスとハーブがあるなんてまったく知らなかった私はまた驚いてしまった。どんな料理にどんなスパイスやハーブを使ったらいいか迷ってしまいそうだが、ラベルに説明がきちんとしてあり、料理に合ったものが選べるようになっているようだ。
 あまりに感動したのでその製品を以下に載せてみることにした。大まかに【スパイス】【ハーブ】【FDハーブ】【ミックス】に分けられていて、その中でも、ラベルの色によって、細かな特徴が分かるようになっているらしい。(一例としてスパイス系は黒に、ハーブ系は緑に、ミックス・シーズニング系は赤に色分けしてあるようだが、残りの色の説明は見つからなかったので、私にはよく分からない)

【スパイス】61アイテム
 アニスシード・キャラウェイシード・クミンシード・コリアンダーシード・シナモン
 (パウダー)・シナモンスティック ・スィートバジルシード・スターアニス・ディルシード
 (ホール)・ナツメッグ(パウダー)・ナツメッグ(ホール)・フェネグリーク・フェンネル
 (パウダー)・フェンネルシード・ホースラディッシュ(パウダー)・ポピーシード・
    マスタードシード・メース(パウダー)・メース(ホール)・ディルシード(パウダー)

 エシャロット・ガーリック(あらびき)・ローストガーリック(あらびき)・カルダモン
 (パウダー)・カルダモン(ホール)・サフラン・ジンジャー(パウダー)・ターメリック
 (パウダー)・バニラビーンズ・ローストオニオン(パウダー)

 クミン(パウダー)・コリアンダー(パウダー)

 オールスパイス(パウダー)・オールスパイス(ホール)・韓国産唐辛子(パウダー)・
 韓国産唐辛子(あらびき)・クローブ(パウダー)・クローブ(ホール)・チリーペッパー
 (パウダー)・チリーペッパー(あらびき)・ハバネロペッパー(パウダー)・パプリカ
 (パウダー)・ハラペーニョペッパー(パウダー)・ピンクペッパー・レッドペッパー
    (パウダー)

 グリーンペッパー・サンショー(パウダー)・サンショー(ホール)・セロリーシード

 花椒(パウダー)・花椒(ホール)・ジュニパーベリー

 ロングペッパー(パウダー)・ブラックペッパー(パウダー)・ブラックペッパー
 (あらびき)・ブラックペッパー(八つ割)・ブラックペッパー(ホール)・ブラックペッパー
 (四つ割)

 ホワイトペッパー(パウダー)・ホワイトペッパー(あらびき)・ホワイトペッパー
 (ホール)


【ハーブ】28アイテム
 オレガノ・カフェライムリーフ(パウダー)・カフェライムリーフ(ホール)・カレーリーフ・
 サボリー(パウダー)・サボリー(ホール)・香菜・スペアミント・セージ(パウダー)・
 セージ(ホール)・タイム(パウダー)・タイム(ホール)・タラゴン(パウダー)・
 タラゴン(ホール)・チャイブ・チャービル・ディルウィード・バジル・パセリ・
    ベイリーブス・ペパーミント・マジョラム(パウダー)・マジョラム(ホール)・
    レモングラス・ローズマリー(パウダー)・ローズマリー(ホール)・ローレル
    (パウダー)・ローレル(ホール)


【FDハーブ】15アイテム
 イタリアンパセリ(FD)・オレガノ(FD)・香菜(FD)・スイートバジル(FD)・
 スペアミント(FD)・セージ(FD)・タイム(FD)・チャイブ(FD)・チャービル(FD)・
 ディルウィード(FD)・フレンチタラゴン(FD)・ペパーミント(FD)・マジョラム(FD)・
 レモングラス(FD)・ローズマリー(FD)


【ミックス】32アイテム
 イタリアンハーブミックス・エルブドプロバンス・サラダスパイス

 オニオンソルト・ガーリックソルト・カレー塩・岩塩・塩コショー・セロリーソルト・
 花椒塩・抹茶塩

 ガラムマサラ・カレーパウダー・甘口カレーパウダー・ロイヤルマサラ

 カトルエピス・ペッパーミックス・五香粉・ピクリングスパイス・レモンペッパー

 シナモンシュガー

 ステーキミックス・タンドリーチキンミックス・炒飯ミックス・パエリアミックス・
 ハンバーグミックス・ピラフミックス・ラム肉用ミックス・フライドチキンミックス・
 ガーリックライスミックス・ピザミックス

 チリパウダー


 なかなか大変な作業だったが、並べてみるときれいだ。載せているうちにこのアイテム全種類を買って部屋に並べたくなった。平均すれば1本200円を少し超えるくらいだろうか。全部買ってもディアゴスティー二のディズニー全巻の4分の1くらいですみそうだ。ちょっと考えてしまう・・。
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ポストシーズン

 いよいよ5日から松井秀喜5年目のポストシーズンが始まる。まずは地区シリーズで中部地区を制したクリーブランド・インディアンスと戦う。インディアンスとはどんなチームなのか、私が契約している携帯サイトに簡単な戦力分析が載っていたので引用する。

 世代交代が実り、6年ぶりに地区制覇。レギュラー陣は、ほとんどが20代と若手で構成され、ここ2年連続でワールドシリーズ出場チームが出ている強豪地区を制した。
 リーグ屈指のリードオフマンであるサイズモアと、勝負強いハフナーとマルティネスの中軸二人が打線をけん引する。ともに19勝を挙げたサバシアとカルモナの2枚看板は強力。しかし、守護神ボロースキはセーブのタイトルを獲得するも安定感に欠ける。
   今季成績 96勝66敗(勝率.593)
        打率 .268(7)
        本塁打 178(5)
        盗塁   72(12)
        防御率 4.05(3)  ( )内はリーグ順位

 なるほど、バランスの取れた若くて生きのいいチームと言うことらしい。このチームにヤンキースがどう立ち向かうのか非常に興味深い。ちなみにヤンキースの今季の成績は、
        94勝68敗(勝率.580)
        打率 .290(1)
        本塁打 201(1)
        盗塁  123(4)
        防御率 4.49(8)   
 
 A・ロッドを中心とした強力打線でインディアンス投手陣を粉砕できるかどうかがポイントであるのは、この成績比較からだけでも分かる。ヤンキースの打線の恐ろしさは、長打力を持った選手のホームラン攻勢だけでなく、ヒットを何本も連ねて一気に大量得点をもぎ取ることにある。そんな打線のつながりを導き出すのに大きな役割を果たすのが松井秀喜だ。
 ヤンキースは過去2年連続で地区シリーズで敗退している。その原因はA・ロッドの不振だと巷間言われてきたが、私は松井の不完全燃焼も大きな原因であると思っている。
   05年は20打数4安打、HR1、打点8
   06年は16打数4安打、HR1、打点5
と03年04年の活躍と比べると物足りない成績であり、それがチームの敗退につながっているように思う。松井が打つか打たないかは、ヤンキースがポストシーズンを勝ち抜くための1つの大きな要素であると言っても間違いないであろう。
 今シーズンヤンキース対インディアンスは6勝0敗でヤンキースが圧倒しているが、短期決戦では勢いに乗ったほうが勝つ。松井がチームを引っ張り、試合を決めるような大車輪の活躍を期待したい。松井の今季のインディアンス戦での成績を載せる。(4月の3連戦は太ももの肉離れでDL入りしていたため対戦なし)

8月11日  NYY 5-3 CLE
第1打席 二ゴロ
 1回表 2死1・2塁 カウント2-0 P.ウエストブルック(右)
第2打席 右安
 4回表 2死走者なし カウント0-1 P.ウエストブルック(右)
第3打席 四球
 6回表 2死走者なし カウント1-3 P.ウエストブルック(右)
第4打席 中安
 8回表 1死走者なし カウント2-1 P.ペレス(左)

8月12日  NYY11-2 CLE
第1打席 中安
 2回表 0死走者なし カウント1-1 P.バード(右)
第2打席 二ゴロ
 2回表 2死走者なし カウント1-2 P.バード(右)
第3打席 左飛
 5回表 0死走者なし カウント0-2 P.マストニー(右)
第4打席 右安
 7回表 1死走者なし カウント1-0 P.フルツ(左)
第5打席 左飛
 8回表 2死走者なし カウント1-2 P.ムヒカ(右)

8月13日  NYY5-3CLE
第1打席 左安
 2回表 0死走者なし カウント1-0 P.カルモナ(右)
第2打席 二併
 3回表 1死1・2塁 カウント2-0 P.カルモナ(右)
第3打席 二併
 6回表 0死1塁 カウント1-0 P.カルモナ(右)
第4打席 一ゴロ 1打点
 8回表 1死1・3塁 カウント1-2 P.フルツ(左)

以上、12打数5安打1打点とまあまあの成績だ。第1戦先発予定のサバシアとの対戦はなかったが、通算では1本もヒットを打っていないのは気にかかる(第一戦はスタメン落ちもささやかれている)。しかし、松井なら何とかする。ひざ痛なんてうそのような活躍を見せてくれるに違いない。楽しみだ!!しっかり応援しよう。
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郵便局

 民営化された郵便局に行った。先月の終わりに行ったときには、「民営化直後は混雑が予想されますので・・」などという張り紙がしてあった。どうして混雑するのかよく分からなかったが、実際に行ってみたら駐車場が満車で停められなかった。興味本位で大した用事もないのに出かける人が多いのかな、と思ったりしたが、かく言う私自身もわざわざ用事を見つけて行ったようなものだから、多分そんな野次馬気分の人が多いのだろう。

 

 私が行ったのは、「特定郵便局」と呼ばれていた近所の郵便局だが、外側から見ただけでは今までと大きく違うところはない。ただ、入り口の扉に「JP」のロゴと、業務内容を細かく説明したシールが貼られているくらいが目立った違いだった。郵政民営化とは、「郵便事業・郵便貯金・簡易保険の3事業を扱っていたのが郵政公社であるが、その公社を民間企業化すること」らしいが、私のように世情に疎い者にはイマイチぴんと来ない。一緒に行った妻が、「ひとつの建物に、クロネコヤマトとUFJと東京海上が一緒にあるようなもんじゃない」と言っていたが、大きな郵便局ならそれでもうまく機能するかもしれないが、こんな小さな、職員が4,5人しかいない郵便局ではいったいどうやってそれぞれの業務を区別するのだろう。などと思いながら入っていくと、今までとまったく同じ職員が今までと同じように仕事をしていた。


 誰が贈ったのか分からない「祝・民営化記念」と書かれた胡蝶蘭が置いてあるのが目を惹くぐらいで、特に華やかな雰囲気はない。ぐるっと見回しても違った様子はないなあ、と思っていたら、妻が「TVがなくなっている」と言った。確かに長椅子の横にあったTVがなくなっている。「本当だ・・。経費節約のためなのかな」と私は答えたが、どうしてなんだろう。職員にたずねたかったが、新しい制服を着て忙しそうに動いている人たちの邪魔はできないと思って我慢した。もう少し落ち着いたら聞いてみよう。そう言えば、いつもいたガードマンのおじさんもいなくなっている、これも経費節約か・・。
 郵政民営化には、「過疎地域など採算がとりにくい地域では、全国一律のサービスが受けられなくなるかもしれない」という不安が常に付きまとう。また、私の子供たちが生まれたときから掛けていた郵便局の学資保険もなくなると妻が言っていた。我が家では、学資保険があったからこそ進学のために資金をこつこつと貯めることができたのに、それがなくなるのは若い親たちには辛いことだ。このように私たちが感じる不平や不満を挙げればきりがないだろう。はたして民営化事業が成功するかどうか、それは国民の立場に立ったサービスを常に提供し続けることができるかどうかにかかっていると思う。
 そんなことを思いながら用事を終えて出て行こうとした私を、「ありがとうございました」といつもよりも大きな声で送り出してくれた職員の気持ちがいつまでも続くなら、民営化もいい方向に進むような気がしないでもなかった。
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そろそろ秋

 ここ数日突然涼しくなった。週末には雨が降り、予定されていた運動会が延期になった学校も多かった。いつまでもだらだらと暑い日が続いただけに、やっと涼しくなったかとほっとする。よく考えれば、もう10月なんだから、それも当たり前だ。野山を見れば秋の草花が繁っている。季節感と暦がなかなか一致しなかったが、やっと秋という季節を実感できるようになり始めた。
 中秋の名月は過ぎてしまったが、家の周りでは薄と萩が今が盛りと咲いている。

 

 しかし、萩の写真を撮るために裏山を少し登っただけで息が切れてしまったのは情けない。もう少し歩いておかないと足腰だけではなく心肺機能も低下してしまう。この秋のテーマは「歩く」ことにしよう。
 コスモスはいやというくらいに咲いている。私はコスモスが好きではないので、ついつい目をそらしてしまう。すると、コスモスよりも可憐な花がいくつも見つかる。

 

 露草が花を咲かせている。青い小さな花は可愛い。なにも溝の中に根を張らなくてもいいと思うが、種が落ちたところに生育するしかない植物の悲しさなのだろう。だが、元気よく咲いてるのは気持ちいい。黄色の小さなバラは妻が切花の枝を庭の一隅に挿しておいたのがうまくついたようで、今年初めて花が咲いたのだそうだ。一輪だけの小さな花だが、妻がせっせと世話を焼いているので、来年はもっと多くの花が咲くかもしれない。
 などと写真を撮るのに熱中していたら、ズボンにくっ付き虫がたくさん付いていた!!


 うわ~~!と叫んでしまったが、取るのがなかなか厄介な代物だ。まだこれくらいなら簡単だ。ずっと昔にセーターを着て草むらに入っていって、前から後ろから無数のくっ付き虫が付いてしまい、とても取りきることができずにそのセーターを捨ててしまった苦い思い出がある。それ以来くっ付き虫は私の天敵になったのだが、このくっ付き虫は「ヌスビトハギ」という草花の実である。

 

 「ヌスビト(盗人)ハギ」とはおかしな名前だが、その由来は「泥棒が足音がしないように足の裏の外側を使って歩く足跡に豆果が似ている」からだそうだ。随分迷惑な名前をつけられたものだ。まあ、「オオイヌノフグリ」なんて恥ずかしい名前よりもずっとましかもしれない・・。
 
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