じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

瀬戸内寂聴「わが晩年」

2021-02-22 19:01:59 | Weblog
★ 京都新聞のコラム「天眼」で瀬戸内寂聴さんの「わが晩年」(2021年2月21日付)を読んだ。奥嵯峨の春の訪れを紹介しながら、移ろいゆく時の流れを回想されていた。

★ 少し前までの観光ブームが嘘のように、ひっそり静まった嵯峨野。「源氏観光ブーム」で、にわか土産物屋に変装した家屋も、いつしか店を閉め、昔の格子戸が目につくようになったという。

★ コロナ禍で寂庵詣り(まいり)に訪れる人もなく、禅僧の托鉢の声も聞こえず、沈黙の中に「忘れていたうごいすの声など」が聞こえるようになったそうだ。

★ ひと気のない庵の奥でひっそり暮らす老尼の自分、自ら過去に書いた小説の設定を思い浮かべて、ひとり笑い。「この上ないおだやかで有り難いわが晩年である」と結ばれていた。

★ 瀬戸内さんの作品は読む機会がなかったが(どうも業が深そうで)、コラムから感じる雅にして端麗な文体は、紫式部や菅原孝標女を思い起こさせる。

★ ローカル紙の話題ながら、今朝の京都新聞「灯」というコラム。甲賀支局、立川真悟記者の「Go To 病院」も面白かった。齢50にして経験した尿路結石。その体験を綴っているのだが、最近はお尻の方も。「前の虎、後門の狼」を「前の石、肛門の・・・」となぞらえるところでは笑った。診療所で渡されたパンフレットには「人はみな痔主」と書かれてあったとか。

★ 寂聴さんの花鳥風月とは対照的ながら、これはこれで良かった。
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