じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

福沢諭吉「福翁自伝」

2021-02-03 16:19:28 | Weblog
★ 2月3日は、福澤諭吉の命日だということなので、本棚から「福翁自伝」(岩波文庫)を取り出して、あらためて読んでみた。

★ 自伝といった類は、晩年に感慨にふけりながら自らの生涯を振り返るようなもので(もちろん不都合なことは敢えて書かなかったりする)、ナルシズムの極致と言える、諭吉さんぐらいの偉人になると、研究上重要な資料となる。そもそも、語り口調(今読んでもまったく違和感がない。むしろ所々に使われているカタカナなど、新しさせ感じる)なので、読んでいて面白い。

★ 巻末を見ると1985年6月25日読了とあるから、私は20代の後半に読んだようだ。諭吉の立身出世に心を驚かせて読んだのだろう。

★ ちょうどその頃、テレビで諭吉を主人公とした2つのドラマがあった。1つは「若き血に燃ゆる」(1984年)で、もう一つは「青春グラフィティ 福沢諭吉」(1985年)。

★ 「若き血に燃ゆる~福沢諭吉と明治の群像」は12時間ドラマということで、当時、ビデオに録画したものが残っている。諭吉役は中村雅俊さんで、「自伝」にほぼ忠実に描かれていた。

★ 「青春グラフィティ 福沢諭吉」は、1982年に放映された「青春グラフィティ 坂本龍馬」の第2作とも言うもの。諭吉役は当時の中村勘九郎さん(後の18代目中村勘三郎さん)だった。BGMがサイモンとガーファンクルで、「青春」に焦点が当てられていたように記憶している。

★ 「自伝」を読むと諭吉の生涯を通して、幕末から明治にかけての社会の大きな移り変わりを知ることができる。私は、「適塾」あたりの記述が好きだ。日本中から集まった若者たち。不潔でカネもなく、有り余ったエネルギーを発散させながら、ただ希望だけを胸に勉学に励む様子が印象的だった。明治という時代はこうした人々によって構築されたのだ。今さらながら緒方洪庵という人は偉いと思う。

★ 何もないけれど、途方もなく楽観的な人々。今の私たちに欠けているものを考えさせられる。
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