★ 京都新聞のコラム、「白紙にもどせ遣唐使」を引用し、政界で「検討使(検討ばかりで実行しない)」と揶揄される岸田総理を皮肉っていた。総裁選からおよそ1年。覚悟を決めた当時の気迫が最近感じられない。お疲れ気味か。
★ さて、今日は柳美里さんの「家族シネマ」(講談社文庫)から「潮合い」を読んだ。実に不快な小説だった。
★ 小学校6年生2学期、ある学級に1人の女子が転校してきた。この学級を仕切っていた女子児童は、転校生との距離がうまく取れず、不安定な気持ちがいじめへと発展する。
★ スクールカーストは言われて久しい。グループに入るか入らないか、空気を上手に読まなければ、自分がいじめられる。子どもの人間関係も緊張感に満ちている。
★ いじめの末、転校生がけがをする。「先生に告げ口するな」と口止めする児童たち。校長にいじめの有無を問いただされ、「いじめはなかった」と断言する担任。そこには自己保身しかない。彼は子どもたちに口止めを強要する。学校の隠蔽体質。
★ 社会の歪みが子ども社会を歪めている。いじめる側の子どもたちもそれぞれが家庭に問題を抱えているようだ。
★ 新学期、児童生徒たちは不安定になりがちだ。少しでもリスクを回避できるように、学校にあっては教員の資質・力量の向上に努めてほしいものだ。そのためにも教員の「孤立」と「多忙」を何とかしなければいけないと思う。