読者高校生が「住職さん、1つ変な質問して、いいですか。公衆トイレの大の方に入った時、便器が汚れていたら、綺麗にして出ますか、そのままにして出ますか」と。「拙僧は必ず、綺麗にして出るかな。トイレットペーパーを使って」「何故、ですか」「何故、ってか。難しい質問だな。そういう性分だから、かな」と。
【追伸】
この高校生に「ところで、君ならどうするんだい」と。「僕も綺麗にして出る。僕は『性分だから』じゃなく、次の人に、僕が汚したまま出た、と思われたくないから」「ほう、偉いな」「偉い、って、なに、どこが」「理由なんてのは、どうでもいい。誰が汚したかもわからん大便、小便の汚れを、掃除するだけでも大したもんだよ。普通なら、やらないよ。トイレの神様は恐らく、黙って見とらんと思うよ。『倍返しだ』と、いつか君にお返しを」「ほんとに、そうやろか」「さあ。が、これを陰徳と言うんだよ。閻魔にもわからん様に良い事をしろ、と。ところが、誰かが必ず見てくれてるんだよな。良い事をする人は、どこでも、いつでも、良い事をしているから、人の目に触れるんだよな。壁に耳あり障子に目あり、だよ」と。