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ウォールストリート・ジャーナル「日本でナショナリストの影響力が拡大」(中)

2012年11月14日 17時17分44秒 | 英字新聞 de 政治経済


Nationalist lawmakers have found new ways to drive the policy debate in recent weeks, using tactics that go beyond traditional noisy protests to embrace a younger generation of supporters—and their videos and social media. Various blogs, tweets and Internet videos offering nationalistic views shunned by most of Japan’s mainstream media are helping to bring closer together conservative politicians and the public.

In the past three months alone, Japanese politicians have twice drawn formal diplomatic protests from the Chinese government: by hosting in Tokyo a large conference of Uighur separatists, branded terrorists by Beijing, and by pushing Prime Minister Yoshihiko Noda into proposing to buy a chain of privately owned islands claimed by both China and Japan.

A separate group of parliament members stirred complaints from Seoul by visiting the U.S. to demand the removal of a New Jersey monument dedicated to so-called comfort women, Korean women forced to work in military brothels during Japan’s occupation of Korea during World War II.


民族主義的傾向の強い国会議員は、上で触れた政治の諸問題を巡って自分達の主張を世に訴えるに際して、この頃では今までとは違う手法を用いるようになってきた。要は、比較的若い世代の支持者をどん引きさせるような騒がしいだけの抗議活動は意図的に避けて、その代わり、動画映像の使用、加之、インターネットを通じて送り手と受け手が意見や情報を相互にやりとりできるソーシャルメディアの使用を進めているのだ。

而して、ここ3ヵ月間に二度にわたって、日本の政治家は、正式な手続を踏んだ外交上の抗議を支那政府が出さざるをえない状況を作り出した。その二度のの抗議の一つは、(その人々はテロリストの烙印を支那政府からは押されているのだけれども、そんな支那からの分離独立を目指す)ウイグル独立派の大規模な国際会議を受け入れて東京開催を実現したことであり、他の一つは、ある私人が所有している一かたまりの島礁を、ところが日本と支那がともにその領有権を主張している島礁群に関して、その購入を野田佳彦首相をして現在の地権者に提案せしめたことである。

加之、日本の国会議員の中には韓国政府の憤懣の的になったグループも存在する。すなわち、所謂「従軍慰安婦」に捧げられたニュージャージーのとある記念碑を撤去することを求めて渡米したグループのことである。ちなみに、「従軍慰安婦」とは、日本が朝鮮を領有していた、就中、第二次世界大戦中に軍人相手の売春施設で働くことを強いられた朝鮮人女性のこと【このような意味での所謂「従軍慰安婦」なるものは存在しませんが、訳は原文に従っています】。





The growing influence of nationalist causes complicates matters for Mr. Noda, who has so far avoided saber-rattling but faces poor approval ratings ahead of a tricky leadership campaign in coming months. Mr. Lee’s visit to the contested islet pushed Tokyo to give a strong response. It recalled its ambassador to Seoul, and on Tuesday postponed a meeting between its finance minister and his South Korean counterpart planned for next week.

The nationalist agenda is to push Japan’s government to be more assertive in defending the country’s territorial claims in a region fraught with multiple such disputes. Many hope the growing interest in territorial issues will give momentum to their ultimate goal: revising Japan’s pacifist constitution, which severely limits the role of the military, known as the Self Defense Forces.

“Many Japanese are beginning to realize we’ve been too complacent,” says Keiji Furuya, an opposition politician who, among other things, spearheaded the Uighur effort and joined the Korea protest in New Jersey. “Just look at all the claims made on our territories from China, South Korea and Russia. We’ve never been made to look so foolish.”


民族主義勢力の影響力増進という情勢を受けて、野田首相はより難しい対応を迫られている。野田氏は今までのところ実力行使も躊躇しない強面の外交姿勢は避けてきたきたものの、いよいよ難しい舵取りが必至のこれからの数ヵ月を控えているというのに野田政権は惨憺たる低い支持率に喘いでいる。野田政権を取り巻くこのような政治状況の中、懸案の島礁への李大統領の訪問という事態に対して日本政府はより強い対応をせざるを得なかった。すなわち、駐韓日本大使(its ambassador to Seoul)の本国召還であり、更に、火曜日【8月14日】にはその開催が来週予定されていた日韓財務相会議も日本側の意向で延期された。

民族主義勢力の現下の運動の獲得目標は、前述の如きそれらを巡って互いの利害や主張が錯綜している地域に対する日本の領有権を守ることにおいて、日本政府がより積極的かつより赤裸々になるよう圧力をかけることだ。それらの領土を巡る諸問題に寄せられる世論の関心が強まることは、彼等の最重要課題、すなわち、日本の非戦主義的な憲法を改正するという究極の課題を実現する上で願ってもない契機であるという認識は民族主義勢力内部でも有力である。ちなみに、現下の日本の憲法は自衛隊として知られている日本の軍隊の役割について厳しく制限しているのだけれども。

野党議員の古屋圭司氏は「日本は今まであまりにも極楽トンボだった。このことに気づき始めた日本人は少なくないですよ」と述べている。古屋氏は、その政治活動の一環として、上で紹介したウイグル独立派と日本の民族主義勢力との連携に率先して取り組み、また、韓国に対するニュージャージーでの抗議行動にも参加した政治家なのだけれども、その古屋氏は「日本の領土に対する支那や韓国やロシアからの領土的主張を一瞥すれば誰しも思い半ばに過ぎるでしょう。日本がここまで馬鹿にされたことはかってなかったのではないでしょうか」とも述べている。





Japan’s 21st-century nationalist movement has no single leader or party, but is a loose alliance of politicians, young and old, from the two main political parties—along with some rightist activist groups— backed by influential commentators and business executives.

One prominent figure in the movement is Shintaro Ishihara, the 79-year-old governor of Tokyo. Mr. Ishihara has been the face of Japanese nationalism from the time he wrote his best-selling “The Japan That Can Say ‘No,’ ” in 1989 as a member of parliament.


21世紀の日本における民族主義運動には単一の指導者がいるわけでも、ある一つの政治政党がその運動を担っているわけでもない。現下の日本の民族主義的の政治活動は、影響力のある評論家や実業界の著名人が支持する幾つかの右派集団と並んで、民主党と自民党という二大政党所属の、かつ、世代的にも多様な政治家の緩やかな連携が担っている。

而して、石原慎太郎氏をそんな現下の日本の民族主義運動を代表する人物の一人と言っても許されるだろう。この79歳の東京都知事は、1989年、当時石原氏が現役の国会議員のときに書いた『「NO」と言える日本』がベストセラーになったとき以来、日本の民族主義の顔なのだから。





<続く>




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