英語と書評 de 海馬之玄関

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日本を考える<夏>はまだ終らない☆総選挙海外報道-New York Times 総括記事(上)

2009年09月06日 18時36分47秒 | 英字新聞と英語の雑誌から(~2010年)



前稿(↓)に引き続き、2009年8月の総選挙、<8・30>を取り上げた海外報道を紹介します。この一連の海外報道紹介の趣旨に関しては前稿の導入部を参照いただければと思います。

・総選挙海外報道-Washington Post総括記事(上)~(下)
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/d2225547ab4ba0e1de1db5e30a823f9b


本稿で紹介する記事の出典はNew York Times ” With Bold Stand, Japan Opposition Wins a Landslide”「大胆な政策転換を掲げ、日本の野党地滑り的な勝利を収める」(August 31, 2009)です。前稿で紹介したWashington Postの記事に比べて、民主党政権下で予想される日本の外交政策の変化、「民主党の地滑り的勝利」の背景としての日本社会のパラダイムチェンジにアクセントを置いた記事ではないかと思います。

また、民主党に対してかなり赤裸々な好意を感じさせる記事に仕上がっていることも。すなわち、民主党政権が短命政権に終らないための注意事項まで書かれていることも(いかに、アメリカ社会においてNew York Times がアメリカ民主党の<応援団長>的存在であり、その裏面として、アメリカ共和党には一貫して批判的なスタンスを取っていて、他方、少なくとも、小泉政権以降の自民党政権がブッシュ(子)共和党政権と世界的に見ても極めて緊密で友好的な関係にあったとしても)この記事のあるいは特徴と言えるかもしれません。

畢竟、いずれにせよ、その大胆で単刀直入な分析には、(朝日新聞ばりの独善的なイデオロギーから来るものでしょうか)文化帝国主義的な傲岸不遜と、そして、些か過度の単純化の弊を覚えなくもなかったけれど、例えば、『詩経』に所謂「他山之石可以為錯、他山之石可以攻玉:他人のちょっとした言葉や行いも、自分の知識や人格を練磨するのに役立つだろうし、大いに役立てるべきである」にも通じる功利的で合理的、冷静な記者の視線を感じました。蓋し、文化帝国主義のパラダイムの枠内にあるにせよ、その枠内ではこのNew York Timesの記事は合理的であり、よって、パラダイムを異にする我々保守改革派にとっても充分に理性的討議の「叩き台=他山の石」にはなる、と。

而して、このNew York Times の記事を一読したとき私は、「アメリカの朝日新聞」と言われるあのNew York Times でさえその記事には「アメリカにとって今回の日本の政権交代がどんな意味を持つのか、アメリカの外交にどんな影響を与えるのか」という、徹頭徹尾、自国の国益の観点から「他山の石=日本」を見る<主体的>な問題関心に貫かれていることに軽い羨望の念を懐きました。そして、そのことを鑑みれば、どこの国の新聞かどこの国のTV局か分からない、日本の国益と日本の文化・伝統を棚上げした報道が寧ろそのほとんどを占める現下のこの社会のマスメディア・ジャーナリズムのあり方に思いを馳せるとき、そのあり方に修正を迫るためにも、我々保守改革派にとってここに紹介した海外報道も「他山の石」になり得るのではないか。と、そう私は思いました。

尚、民主党政権の危険性とその政策の荒唐無稽さ、および、保守改革派の今後の進むべき方途に関する私の基本的な考えについては本記事末尾にURLを記した拙稿をご一読いただければ嬉しいです。また、英文法について疑問点などあればこちら(↓)をご参照ください。


・『再出発の英文法』目次
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/4c90b691d5e0e53d8cb87f7803a437ce




Japan’s voters cast out the Liberal Democratic Party for only the second time in postwar history on Sunday, handing a landslide victory to a party that campaigned on a promise to reverse a generation-long economic decline and to redefine Tokyo’s relationship with Washington.

Many Japanese saw the vote as the final blow to the island nation’s postwar order, which has been slowly unraveling since the economy collapsed in the early 1990s.


日本の有権者は、日曜日【8月30日】、自由民主党を戦後2回目となる下野に追い込み、一世代近くも続く経済の低迷の回復と日米関係の見直しを公約し、選挙を戦った野党に地滑り的な勝利を与えた。

【註:株価下落が始まった1990年年初から、景気後退がほとんどすべてのマクロ経済指標によって数値的にも確認されるようになった1991年2月までをバブル崩壊の時期と考えれば、「失われた90年代」に象徴される日本の経済低迷はここ20年の現象であり、小泉政権下の景気回復をノイズと看做すとしても「一世代近くも続く経済の低迷】というのは誇張というよりも明らかに間違いであるが、原文に従った】

日本人の中には、今回の投票結果はこの島国国家で戦後一貫して続いてきた体制を解体させる最後の一撃になると見る向きも少なくない。而して、その日本の戦後体制は、1990年代初頭の経済破綻以来緩やかではあるが徐々に崩壊してきていたものである。


In the powerful lower house, the opposition Democrats virtually swapped places with the governing Liberal Democratic Party, winning 308 of the 480 seats, a 175 percent increase that gives them control of the chamber, according to the national broadcaster NHK. The incumbents took just 119 seats, about a third of their previous total. The remaining seats were won by smaller parties.

“This has been a revolutionary election,” Yukio Hatoyama, the party leader and presumptive new prime minister, told reporters. “The people have shown the courage to take politics into their own hands.”


跛行的両院制を取るがゆえに、その権限において参議院に優越する衆議院で、野党の民主党と現在の与党自民党は、有り体に言えば、その立場が入れ替わった。日本の公営放送局NHKによれば【註:NHKは「反日放送局」であるが、原文に従った】、衆議院の全480議席中308議席を民主党は獲得したのであるが、これは改選前に比べて175%増の躍進であり、而して、このことにより民主党は衆議院の支配権を掌中にしたとのこと。これに対して現在の与党の議席は改選前の三分の1の119議席に止まり、残余の議席は他の泡沫政党に割り当てられたとのことである【自民党の議席数は「303→119」に激減した。ただ、303の三分の1は101であり、この「与党の議席は改選前の三分の1に止まり」という表現は些か正確さを欠いているが、原文に従った】。

「今回の選挙結果は革命的だった」と、圧勝した野党の指導者にして次期首相になるものと目されている鳩山由紀夫氏は述べた。「有権者は政治を自分達の手元に取り戻し政治に主体的に関わっていこうとする覚悟を示した」とも。


Mr. Hatoyama, who is expected to assemble a government in two to three weeks, has spoken of the end of American-dominated globalization and of the need to reorient Japan toward Asia. His party’s campaign manifesto calls for an “equal partnership” with the United States and a “reconsidering” of the 50,000-strong American military presence here.

One change on the horizon may be the renegotiation of a deal with Washington to relocate the United States Marine Corps’ Futenma airfield, on the island of Okinawa. Many island residents want to evict the base altogether.


この2-3週間の中に組閣すると予想されている鳩山氏は、ことあるごとに、アメリカが牛耳る形でのグローバリゼーションの終焉、そして、アジアとの連携を強化した、そうあるべき日本の立場を力説してきた人物である。鳩山氏率いる民主党のマニフェストには、アメリカとの「対等な関係」や日本に駐留する総勢50,000を越えるアメリカ軍将兵の軍事的存在の意義を「見直す」と謳われている。

而して、現実性のある変化としては、沖縄島にあるアメリカ軍の海兵隊普天間基地の移転に関するアメリカ政府と日本政府間の取決めについての再交渉などが予想されている。多くの沖縄県民が沖縄からの普天間基地の完全撤収を望んでいるのだから。


<続く>





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