英語と書評 de 海馬之玄関

KABU家のブログです
*コメントレスは当分ブログ友以外
原則免除にさせてください。

海外報道紹介☆人民元の基軸通貨化戦略と中国の経済覇権

2009年08月04日 07時36分21秒 | 英字新聞と英語の雑誌から(~2010年)


2008年9月の世界金融危機勃発以来、世界経済の回復の足取りもおぼつかない中、独り支那経済の回復が顕著らしい。例えば、朝日新聞は昨日8月2日の朝刊一面と二面を使い、「人民元 アジアに攻勢」「ベトナム国境での成功に自信 金融危機も好機」と、支那が人民元をアジアの基軸通貨化する動きに出ていることを報じているくらいですから。

確かに、支那が今年か遅くとも来年、GDPで日本を抜くことは確実でしょう。また、支那が世界最大の外貨準備高を保有する国であること、要は(「外貨準備高」の定義からも、また、為替変動が貿易収支に及ぼす死活的な影響から見ても、理論的には「貿易黒字」が「外貨準備高」を規定するわけではないのですが、簡単に「言っちゃえ!」ば)、支那が世界最大の貿易黒字国であることも事実。

けれど、①「多民族国家=支那」という現実、②その「多民族国家=支那」のコロラリーでもある国内経済格差と人権侵害の横行、更には、③中国共産党の一党独裁体制という本質的な支那の不安定さ、これらに起因するカントリーリスクを鑑みるならば、支那が世界経済の希望であると同時に世界経済の最大の不安定要因であることもまた事実。

まして、④早晩、2005年7月の「対ドルレート2%の切り上げ」などの小手先ではない、貿易収支の黒字幅に相応しい本格的な「人民元の切り上げ」が諸外国から要求されるだろうこと、⑤国内経済格差を踏まえた場合、支那は人口ほどには巨大な市場ではないこと、また、⑥ここ数年の日本企業の対支那純投資の鈍化低下に顕著な如く、支那は安い労働力を豊富に抱える魅力的生産拠点では最早なくなってしまっていること。更には、⑦「高付加価値」の商品を生産する能力の観点からは、支那はいまだに弱小なるプレヤーでしかない事実。これらを踏まえるならば、支那の経済的な快進撃は、上げ底された「怪進撃」でしかないと思います。

●支那経済の<死に至る病>?
(甲)カントリーリスクの世界最大級の「百貨店」
(乙)経済の上げ底構造による「快進撃=怪進撃」


では、この世界最大の人権侵害国にして世界最大の不安定要因。けれども、現下、<9・15>世界金融危機の後の世界経済の回復に占めるそのプレゼンスは小さくない支那。このChina as something ambivalent を我々日本の保守改革派はどう理解すればよいのでしょうか。而して、この論点を考える上で参考になる海外報道を目にしました、以下紹介。出典はFinancial Timesの ”China plans global role for renminbi”「支那、人民元の国際化/基軸通貨化に虎視眈々」(July 14 2009)です。

尚、英文法の事項に関して疑問を感じられた場合にはこちらを参照してください。


・『再出発の英文法』目次
http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/4c90b691d5e0e53d8cb87f7803a437ce







China has kick-started a major plan to internationalise the renminbi and the process is likely to be faster than many expect, according to HSBC.

If successful, this could lead to nearly $2,000bn in annual trade flows, or as much as 50 per cent of China’s total, being settled in renminbi each year by 2012, compared with less than 10 per cent today.

The move follows calls by China for the world to adopt a supranational currency to replace the dollar.

“China is beginning an ambitious scheme to raise the role of the renminbi in international trade and finance and to reduce reliance on the US dollar,” said Qu Hongbin, China chief economist at HSBC. ・・・


支那は人民元(renminbi)を国際的な取引にも使用可能にする計画の実行に着手した。而して、人民元の国際化への道程は大方の予想よりも急速に進むのではないか。そう、香港上海銀行(HSBC)は分析している。

もし、人民元の国際化が成功裏に進み、2012年まで毎年人民元の使用が促進されるとすれば、それは年間の取引ベースで2兆ドル近い【人民元の流通】実績に結びつくこと、すなわち、支那の貿易総額の50%が人民元で決済されることを意味する。これは現在の【人民元で決済される貿易総額の割合】10%に比べれば長足かつ急速の進歩と言うべきであろう。

人民元を国際化する動きは、支那政府の世界への呼びかけ、すなわち、ドルに替わる超国家的な基軸通貨(a supranational currency)を選択し直そうではないかという呼びかけを補完するものだ。

「支那政府は、国際貿易と国際金融取引における人民元の役割と機能を高めると同時に、米ドルに依存する度合を減らすための野心的な計画に着手した」と、HSBC支那地区首席エコノミストの屈宏斌氏は解説してくれた。(中略)


The bank estimated that Chinese gross domestic product could hit $4,700bn this year, implying it could overtake Japan as the world’s second-largest economy in 2010, while it was likely to overtake Germany as the world’s second-largest trading country by the end of the year.

China announced a pilot programme last week that expanded renminbi settlement agreements between Hong Kong and five major trading cities, including Guangzhou and Shanghai.

Furthermore, this year the People’s Bank of China has signed a total of Rmb650bn ($95bn) in bilateral currency swap agreements with six central banks: South Korea, Hong Kong, Malaysia, Indonesia, Belarus and Argentina.


而して、支那の国内総生産(gross domestic product:GDP)は今年、4兆7千億ドルの水準に到達するものと思われるけれども、そうなった場合、支那は2010年には世界第二位の経済規模を誇ってきた日本を追い抜き、また、2010年末までには世界第二位の貿易大国のドイツを抜きさることになる。HSBCはデータを踏まえてそう予想している。

支那は、先週【7月12日の週】、人民元立て決済を拡大する協定を広州市や上海市を含む5つの主要な貿易都市と香港との間で実施する、実験的施策の立ち上げを発表した。

加えて、今年、【支那の中央銀行たる】中国人民銀行(the People’s Bank of China)は、韓国・香港・マレーシア・インドネシア・ベラルーシ・アルゼンチンの6ヵ国の個々の中央銀行との間で総額6,500億人民元(950億ドル)に及ぶ二国間の通貨スワップ協定に署名した。


HSBC said China was still in talks with other central banks to form additional swap agreements and was likely to expand them to cover all the country’s trade with Asia, excluding Japan.

This would be followed by an expansion to take in other emerging countries, including those in the Middle East and Latin America, that needed renminbi to pay for their imports of Chinese manufactured goods.

“More than half of China’s total trade flows, primarily bilateral trade with emerging market countries, are likely to be settled in renminbi in the next three to five years,” said Mr Qu. “This means that nearly $2,000bn worth of cross-border trade flows would be settled in renminbi, making it one of the top three currencies used in global trade.”


更に、HSBCによれば、支那は【上記6ヵ国の】他の中央銀行とも二国間の通貨スワップ協定の締結を交渉中であり、支那は、日本を除くすべてのアジア諸国との貿易【決済実務】をカバーすべく、二国間の通貨スワップ協定の枠組みを拡大しようとしているとのことである。

而して、二国間の通貨スワップ協定は、中央アジアやラテンアメリカの新興国等台頭しつつある国々にも今後拡大される見込みだ。畢竟、それらの新興国は、支那製品を輸入する代金の決済に人民元を必要としているのだから。

「支那の年々の貿易総額の過半は、元来、新興国市場相手の二国間取引の結果なのだから、少なくともその【新興国相手の二国間取引の】部分に関する決済は向う3年から5年以内には人民元で行なわれるようになると考えるのが自然だ」。と、【HSBCの】屈氏は語ってくれた。「そのような事態の現出は、国境を跨いだ2兆ドル近い取引が今後は人民元で決済されることを意味している。ならば、人民元は【ドル・ユーロと並んで】国際貿易の中で使われる世界の三大通貨の一つになるのではないか」とも。





☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
かなり真面目にブログランキングに挑戦中です。
よろしければ下記(↓)のボタンのクリックをお願いします。 

ブログランキング・にほんブログ村へ 海外ニュース部門エントリー中です♪

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★





最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。