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気楽に英語 de パラグラフ(07):「大学@ネット」に吹く議会からの追い風 in USA

2006年03月08日 15時43分11秒 | 英字新聞と英語の雑誌から(~2010年)

●Online Colleges Receive a Boost From Congress

It took just a few paragraphs in a budget bill for Congress to open a new frontier in education: Colleges will no longer be required to deliver at least half their courses on a campus instead of online to qualify for federal student aid.

That change is expected to be of enormous value to the commercial education industry. Although both for-profit colleges and traditional ones have expanded their Internet and online offerings in recent years, only a few dozen universities are fully Internet-based, and most of them are for-profit ones.

The provision is just one sign of how an industry that once had a dubious reputation has gained new influence, with well-connected friends in the government and many Congressional Republicans sympathetic to their entrepreneurial ethic.

The Bush administration supported lifting the restriction on online education as a way to reach nontraditional students. Nonprofit universities and colleges opposed such a broad change, with some academics saying there was no proof that online education was effective. But for-profit colleges sought the rollback avidly.



"The power of the for-profits has grown tremendously," said Representative Michael N. Castle, Republican of Delaware, a member of the House Education and Workforce Committee who has expressed concerns about continuing reports of fraud. "They have a full-blown lobbying effort and give lots of money to campaigns. In 10 years, the power of this interest group has spiked as much as any you'll find."

Sally L. Stroup, the assistant secretary of education who is the top regulator overseeing higher education, is a former lobbyist for the University of Phoenix, the nation's largest for-profit college, with some 300,000 students.・・・
(By SAM DILLON:New York Times, Mar. 1, 2006:269 words)



■Vocabulary&Idiom
budget bill予算案,  Congress 連邦議会
qualify for ~の資格を満たす, aid 補助金
for-profit (本来利益が目的でない組織が)営利目的の
provision 法律の規定/条項 cf. proviso 但し書き/条件
dubious いかがわしい, Republicans 共和党の支持者
sympathetic to ~に共感する/同情する 
entrepreneurial ethic 起業家の倫理観(価値観)
The Bush administration ブッシュ政権
lifting the restriction 規制を撤廃すること
rollback 政策の後戻り, avidly 熱心に/貪欲に
Representative 下院議員(上院議員はSenator 小文字可)
the House (the House of Representativesの略)下院議会
full-blown 本格的な,  lobbying 議会工作, fraud 詐欺
spike 終らせる/打ちつける, as much as ~と同じくらい大きい
assistant secretary (連邦政府省庁の)長官補佐官
regulator 監督者




■Comment
本文テクストは少し長いですね。実は、テクストの著作権を侵害しないためにも、また、「気楽に、でも、少しまとまった英語を一緒に読みましょう」という趣旨でこのコーナーをやっているためもあり、自分的には(←若者の真似?)、収録英文のボリュームは大体150ワード前後、最大でも250ワードを目処にしています。

本来なら、最後の2パラグラフ、ミシェル・N・キャッスル下院議員の談話とサリー・L・ストループ長官補佐官のエピソードは割愛すべきだったかもしれません。それでもこの記事の主眼はわかるはずですからね。しかし、前者はアメリカでは同じ共和党の中にも多様な意見があるということ、また後者では、アメリカ連邦政府の幹部は任官前に関連業界の利益代表を務めていることが珍しくないことをお伝えしたくて、自分で決めた字数制限を20ワード越えてしまいました。以後、気をつけます(?)。


■試訳
●オンライン大学を議会が支援

それは議会に提出された予算案の中でほんの数パラグラフを占めるにすぎないが、それは教育分野に新しいフロンティアをもたらすものである。すなわち(予算案がそのまま通過するとすれば)、連邦政府の学生補助金の交付対象であるために大学は、最早、その教程の過半を大学キャンパスで実施する必要はなくなりオンラインを通しての授業実施でよくなるからだ。

この変更は営利目的の教育産業に途方もなく価値をもたらすものと予想されている。営利目的型の大学もそうではない伝統的な大学もともに近年インターネットやオンラインを使った教育の提供を拡大してきたとはいえ、完全にインターネットベースで教育の提供を行っている大学は数ダース程度しかないし、それらの大学のほとんどは(公共性よりも)営利目的を追求するタイプの大学である。

学生補助金の交付対象の条件規定(の変更)は単なる兆候の一つにすぎない。かって、いかがわしいイメージが付きまとっていたある業界がいかにして影響力を勝ち取ろうとしたのか/勝ち取りつつあるのかということ。条件規定の変更はこのことを知るための標識に他ならない。その業界は、彼等と縁故のある政府内の友人達、あるいは、起業家精神の尊重という点で彼等と価値観を共有する連邦議会の多くの共和党議員と連携することで影響力を増大させつつある。

ブッシュ政権は、オンラインを通した教育の規制を撤廃しようとする政策を支持した。それらの教育は、現在までの伝統的な大学が受け入れてこなかったタイプの学生に門戸を開くものだという理由からである。これに対して、非営利目的を重視する諸大学はそのような大きな政策変更に対して反対した。そして、オンラインを通した教育が効率的だという証拠はないと考える専門研究者もいることが反対派の論拠になっている。しかし、営利目的型の大学は(当初唱えていた線に)政策を戻すことを熱心に要求したのである。

「営利目的サイドの影響力は極めて大きくなってしまった」とデラウエア州選出の共和党下院議員、ミシェル・N・キャッスル氏は述べた。彼は連邦下院議会に設置されている教育・労働力委員会のメンバーであり、詐欺紛いの報告書が提出され続けていることに対する懸念を隠さない人物である。そのキャッスル下院議員は「営利目的サイドは本格的に議会工作を積み重ねており多額の資金をキャンペーンに投入している。この10年ばかりの間に、この利益団体の影響力は見るものすべてに打ち付けられているほどだ」と述べている。

実際、連邦教育省で高等教育政策の最高責任者を務めるサリー・L・ストループ長官補佐官は、任官前にはフェニックス大学の委託を受けたロビーストであり、何を隠そう同大学は30万人規模の学生を抱える全米最大の営利目的型の大学なのだ。・・・



■感想&感慨
アメリカは広いです。何をあたり前のことを言っているのか、ですって? 私が仕事でアメリカに行っていた頃は(これで年齢がばれる?)、まだ、インターネット革命前でした。何を言いたいのかというと、アメリカにはその地域に住んでいるがゆえに通信教育というか遠隔地教育(distance education)でしか高等教育が受けられない人口がまだ少なくないということ。

アメリカでの通信教育のニーズや社会的な機能は、ですから日本の通信教育のような、一度ドロップアウトしたから学校に通わず通信教育を受ける方の受け皿とか、すでに高校・大学・大学院に入学する年齢をすぎて働いている方の受け皿に限られるわけではない。日本でのように、社会から一度チャンスをもらったがそのチャンスを生かせなかった層がマーケットの主要な部分を占めるというのとは事情が違う。そういうことです。つまり、アメリカのdistance educationにはインターネット時代以前からの伝統と誇りがあります。

ラジオ・TV、そして、電話とFaxと無線機で授業や講義を受けていた、野心に溢れ志の高いアメリカ人がほんの10年近く前までは全米にいたのです。普通のon-campusの学生が休みに入る夏学期、彼等がその貴重なスクーリングの時間をenjoyするのを、ある中西部の大学で私は何回か身近で見ていました。学ぶことというのは人間にとって喜びであり、知識と卒業証書は社会で独立自尊&独立自存する上で不可欠とは言わないけれど極めて大切なものなんだなとその時痛感した。

そして、インターネットが彼等の学業と野心をアシストする便利なツールであるなら、distance educationにおいてもその利用に向けてアメリカ社会が加速するのは誰も止められないと思います。アメリカのdistance educationの伝統、および、その国土の広さと人口の拡散度合い、あるいは、日本よりも遥かにネットが行き渡った社会であることを鑑みればなおさらそう思います。実際、この日本でさえもネットを大幅に取り入れた通信制高校(ルネッサンス高校)が世間から歓迎される様相を呈しつつあるくらいなのですから。

放送(通信)によるdistance education。日本でも全国的に見れば大学受験の予備校が近隣にまだそうなかった頃、文化放送でしたか旺文社のラジオ講座は本当にありがたかった。旺文社のラジオ講座とアメリカのdistance educationを一緒にしたら双方からクレームがくるでしょうが、私にはそれが同じ核心を共有していると思われるのです。









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