
商業捕鯨再開の是非を論じた2年前の海外報道を紹介します。” Whale ban 'is cultural imperialism ,” June 20, 2005(捕鯨禁止は文化帝国主義なのか)。2005年5月27日~6月24日に開かれた第57回IWC総会(韓国・蔚山)の総括記事。記者のRichard Lloyd Parry氏は欧米の記者としては捕鯨問題に(これでも)詳しい方で、捕鯨を扱ったThe Timesの記事の多くは彼の署名記事です。
2年半前のこの記事は、鯨を食べるための捕鯨など認められないし、モラトリアム(捕鯨の停止)が逆戻りすることなどあり得ない、後は、ノルウェーの沿岸捕鯨と日本の調査捕鯨を封じ込めれば人類が今後捕鯨などすることはなくなるだろうという、反捕鯨論者の傲慢な楽観主義に捕鯨反対派の立場から冷や水を浴びせた歴史的な記事です。而して、そのキーワードは「文化帝国主義」(cultural imperialism)。
この記事を読めば、ここ数年捕鯨反対国が商業捕鯨再開を真面目に危惧していることが感じられると思います。油断はできませんが、わが水産庁-日本捕鯨協会等の捕鯨再開にかける関係者の努力はここまで彼等を苛立たせるまでになったか、と。1986年のモラトリアム前後からこの問題をウォッチしてきた私達としては感慨深いものがあります。鯨は鯨だけの問題に非ず、鯨は食料安保と日本の主権と文化を確保できるかどうかの戦いなのでしょうから。引用紹介は著作権を考慮して全記事の三分の2に止めました。
尚。捕鯨を巡る私の基本的な考えについては下記拙稿をご一読いただければ嬉しいと思います。そして、安くおいしい鯨のステーキを食べられるように共に闘わん! 子供達に一刻も早く給食でお腹いっぱい鯨の竜田揚げを食べさせられるようにするべく共に闘わん!
・鯨と日本の再生
・海外報道紹介☆日本はなぜ捕鯨を継続しなければならないのか?

JAPAN launches into a bitter struggle with the governments of Britain, Australia and New Zealand today in an attempt to double its annual catch of whales. Delegates from around the world gather in the South Korean city of Ulsan for the annual meeting of the International Whaling Commission (IWC), one of the most antagonistic international gatherings in the world.・・・
Already Ben Bradshaw, the Fisheries Minister, has accused the Japanese Government of “sticking two fingers up at world opinion” in its efforts to increase its whaling quota. The Japanese have threatened to walk out of the IWC, describing the anti-whaling nations, which include Italy, Germany, the US, Britain, Australia and New Zealand, as fanatic.
At the centre of the conflict is the future of the moratorium on commercial whaling introduced by the IWC in 1986, after evidence that the world’s largest mammals were being driven to extinction. Every year Japan has sought to overturn the moratorium; every year it has failed to achieve the required three-quarters majority.
But recently the anti-whalers’ lead has been narrowing and this year the Japanese could secure 50 per cent of the vote. This would allow them to introduce procedural changes that could eventually lead to a resumption of commercial whaling.
Japanese fishermen already hunt 440 minke whales every year as part of a “scientific” quota, supposedly necessary to monitor the health of whale populations. Environmentalists claim that this is a crude excuse for keeping commercial whaling alive ― and almost all of the whale meat is sold for food. This week Japan has also tabled a motion calling for an increase in its annual “scientific” intake of minke whales to 935 and the right to hunt fin whales and humpback whales.・・・
To the pro-whaling members of the IWC, which include Norway, China and Russia, the moratorium long ago served its purpose ― to arrest the perilous decline in whale numbers. Many whale species, they argue, have now reached safe levels, although the scientific evidence for this is disputed.Whale meat has been part of the Japanese diet for hundreds of years.
If they are not endangered, it is argued, then foreigners have no more right to object to their consumption than the Japanese would have to demand a ban on pork and beef. Japan’s Fisheries Ministry said “It should be called an act of ‘cultural imperialism’ and should not be tolerated.”

捕鯨の年間割当量を二倍にする企てを抱えながら、本日、英国・オーストラリア・ニュージーランド政府との厳しい闘争に日本は踏む込むことになる。国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会のために世界中からの代表団が韓国の蔚山市に集まっている。IWCの年次総会と言えば世界中で、その会議参加者が最も敵意をむき出しにする国際会議の一つである。(中略)
既に、【英国の】ベン・ブラッドショー水産大臣は、日本政府が自国の捕鯨割当数量を増やそうとしていることについて、日本は「国際世論に敬意を表していない」として非難した。日本政府はと言えば、反捕鯨国、すなわち、イタリア・ドイツ・アメリカ・英国・オーストラリア、および、ニュージーランドを含む反捕鯨国は正気とは思えないと論評しつつIWC脱退も辞さない構えを崩していない。
紛争の中心はIWCが1986年に施行した商業捕鯨の一時停止を今後どうするかである。その一時停止、モラトリアムはこの世界最大の哺乳類は絶滅の危機にあるという証拠に裏打ちされてその当時施行されたのだけれども、日本は毎年この一時停止措置を覆そうとしてきた。もっとも、毎年、一時停止措置の破棄に必要な四分の3の多数を得ることができず日本の企てはことごとく不首尾に終ってきたのではあるけれども。
しかし、最近は反捕鯨国側の優位は揺らぎつつあり、今年は、日本政府は投票総数の50%を確保できたかもしれない。このことにより日本は、商業捕鯨の再開に結局は道を開くに至りかねない手続き的な修正を実行することができるかもしれないのだ。
今でも日本の漁民はすでに毎年440頭ものミンククジラを、「科学的」【調査の】割当の一部として捕鯨している。この「科学的調査」は鯨の個体群の健康状態を監視するために必要とされているものなのだが、環境保護論者の中には、この調査捕鯨は商業捕鯨を維持継続させるための単なる言い訳にすぎない、調査捕鯨の結果生じるほとんどすべての鯨肉は販売されているのだから、と論難する者もいる。而して、今週、更に日本は「科学的調査」の年間割当数量をミンククジラ935頭に増加することと、ナガスクジラおよびザトウクジラの捕鯨を要求する動議を提出したのである。(中略)
ノルウェー・支那・ロシアを含むIWCの捕鯨賛成国側にとって、商業捕鯨の一時停止措置は危機状況にあった鯨の減少を止めるというその役目をははるか前に終えている。その科学的な証拠に対しては異議が出されているものの、鯨種の中にはすでに【絶滅の恐れから】安全な水準に到達したものも少なくないと捕鯨賛成国側は述べている。而して、鯨の肉は何百年もの間、日本人の日常の食料の一部だったのだ。
鯨が絶滅の危機にあるかどうかは議論の別れるところではあるけれども、もし、それが絶滅の危機にはないというのなら、日本人が豚肉や牛肉を食べるのを禁じることを要求してはならないのと同様、最早、外国人は鯨を消費することに反対する権利は持つことはない。日本の水産庁の幹部は「そのような行為は「文化帝国主義」的な行為と呼ばれるべきであり、そのような行為を我慢することはできない」と語っている。

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