キャプテン・ビーフハート、なんとなく名前の語感から、いわゆるアメリカンロック、
そう、ブルーススプリングスティーンとか、ヒューイルイスとか、ケニーロギンスみたいな
ものと思っていた。まったくデタラメなカン違い。
これを聞いてみようと思ったのは、数年前、子供を歯医者につれて行った待合室で、
GQジャパンだっとと思うが、雑誌の特集で、「親子で聞きたい音楽」だった。
やっぱりアメリカンロックをイメージした。
なので、このマヌケなジャケットも、そのユルさを想像させることを助長した。
「型にはまらない」って、音楽のみならず、芸術全般でよく使われる表現ではあるが、
これは、「はめる型すらない」。
楽器は、奏でるものではなく、鳴らすモノなのだ。歌っているのではなく吠えているのだ。
優しい、癒される音楽ではない。激しく、乱暴な音。では、なぜ「親子で聞きたい」のか。
それは、創造性だと理解した。過去や既成を無いものとし、この時点から、できることをやる。
最初は、バラバラでめちゃくちゃな演奏に聞こえる。しかし、それぞれの音は、ぶつかり合い
ながら、調和し、響きあう。調和とは、なれあいではなく、本来、こういうものだ。美しい。
岡本太郎の言う、「キレイなものはダメなんだ。美しいとキレイは違うんだ。」 その音がする。
何度でも、聞くたびに新しい。得難い音楽である。