近々来日する胡錦涛中共首席は1989年チベット自治区の共産党書記長だった。チベット民族独立運動を抑えるべく戒厳令をしき多数のチベット人を虐殺した張本人だ。一説にはその数、十万人以上とも云われる。それが党指導部の信頼を得ることになって権力の座についたとのことだ。そしてまた今回のチベット騒乱、そのような人権抑圧国が平和の象徴のようなスポーツの祭典をとりしきるという。毒入り餃子事件など食品汚染も未解決、大気汚染でマラソン選手の健康も損ねかねないという。経済発展途上だからと見過ごされるレベルのものではない。
中共に対する抗議活動や集会が世界各地で行われ、日本でも有志が中国大使館前で抗議を行っていた。
ロゲIOC会長は「4年に一度の五輪に向けて精進してきた選手がかわいそう(中止すべきでない)」と言っており、日本も同じような見解らしい。開催するのがかえって汚点になるのではないか。名だたる国際大会は他にいくらでもある。
中共に対する抗議活動や集会が世界各地で行われ、日本でも有志が中国大使館前で抗議を行っていた。
ロゲIOC会長は「4年に一度の五輪に向けて精進してきた選手がかわいそう(中止すべきでない)」と言っており、日本も同じような見解らしい。開催するのがかえって汚点になるのではないか。名だたる国際大会は他にいくらでもある。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成20年(2008年) 3月18日(火曜日)通巻第2129号増大号
台湾を第二のチベット化するのか、と謝長廷陣営
世界各地でチベット弾圧抗議、北京は外向的に孤立の恐れ
ダライラマ法王の呼びかけた「世界の権威ある期間による真相調査」を北京政府は蹴飛ばした。
ワシントンが「人権抑圧国家リスト」から中国を外した翌日に、中国のチベット虐殺事件が起きた。いわゆる「チベット暴動」は真相が闇のまま、情報の封鎖が中国の公安、情報当局によって続けられている。
世界に波紋が広がり、チベット民衆への血の弾圧に抗議する集会やデモ、中国大使館への抗議行動はインド、ネパールはもとより、ワシントン、NY、イタリア、フランスへ拡大し、台湾では大集会。日本でも抗議行動が行われた(下欄参照)。
「皇太子殿下のオリンピック期間中の御訪中はやめていただくべきではないか」とする声も猛烈な勢いで聞かれるようになった。
「台湾は第二のチベットになる」という危機感は台湾の民進党陣営に急速に広がり、圧勝ムードだった馬英九陣営は突如の反中国旋風にとまどっている。
昨日行われた櫻井よし子、田久保忠衛氏らの「国家基本問題研究所」発足パーティでは、ゲストとして登壇した許世楷(駐日台北経済文化代表処代表=日本大使に相当)が、はっきりと「台湾のチベット化」の懼れを述べた。
なお、4月10日に中国に抗議し、胡錦濤主席来日に注文をつける緊急の国民集会が開かれる。
午後六時から豊島公会堂。入場無料。詳しくは四月初旬の小誌にも発表します。
台湾を第二のチベット化するのか、と謝長廷陣営
世界各地でチベット弾圧抗議、北京は外向的に孤立の恐れ
ダライラマ法王の呼びかけた「世界の権威ある期間による真相調査」を北京政府は蹴飛ばした。
ワシントンが「人権抑圧国家リスト」から中国を外した翌日に、中国のチベット虐殺事件が起きた。いわゆる「チベット暴動」は真相が闇のまま、情報の封鎖が中国の公安、情報当局によって続けられている。
世界に波紋が広がり、チベット民衆への血の弾圧に抗議する集会やデモ、中国大使館への抗議行動はインド、ネパールはもとより、ワシントン、NY、イタリア、フランスへ拡大し、台湾では大集会。日本でも抗議行動が行われた(下欄参照)。
「皇太子殿下のオリンピック期間中の御訪中はやめていただくべきではないか」とする声も猛烈な勢いで聞かれるようになった。
「台湾は第二のチベットになる」という危機感は台湾の民進党陣営に急速に広がり、圧勝ムードだった馬英九陣営は突如の反中国旋風にとまどっている。
昨日行われた櫻井よし子、田久保忠衛氏らの「国家基本問題研究所」発足パーティでは、ゲストとして登壇した許世楷(駐日台北経済文化代表処代表=日本大使に相当)が、はっきりと「台湾のチベット化」の懼れを述べた。
なお、4月10日に中国に抗議し、胡錦濤主席来日に注文をつける緊急の国民集会が開かれる。
午後六時から豊島公会堂。入場無料。詳しくは四月初旬の小誌にも発表します。
【主張】中国の「禁書」 五輪開催国にそぐわない2008.3.17 03:43 産経新聞
日本で刊行された書籍が中国の税関で差し止められ、日本に返送される事態がこのところ2件続いた。いずれも、中国の国内法令違反を理由にしている。北京五輪をひかえたこの時期に、言論・出版の自由に対する中国当局の硬直化した姿勢がまた表面化したといえる。非常に残念である。
上海の日本人学校が取り寄せた地理関係図書と、産経新聞が連載した「トウ小平秘録」をまとめた同名の単行本上巻(産経新聞出版発行、扶桑社発売)である。「トウ小平秘録」の方は、産経新聞社が関係者への寄贈用に送った50冊が日本に送り返され、4月刊行予定の下巻も同様に禁輸になるという。
「トウ小平秘録」は、激しい権力抗争を生き抜いたトウ小平氏(1904~97年)の軌跡を追跡したものだ。トウ氏を今日の中国発展の最大功労者と位置づける一方で、民主化を求める市民らを武力弾圧した天安門事件(89年6月)についても、当然論及している。
返送措置をとった北京税関が根拠とした「税関総署令」には「中国共産党を攻撃し、中華人民共和国を誹謗(ひぼう)した刊行物は持ち込めない」とある。したがって、天安門事件の処置はトウ氏の誤りとする「秘録」は、禁輸に該当するというわけだ。
地理関係図書は、「尖閣諸島を日本の領土としている内容」が問題視された。上海市政府は「中国領土の完全性を損なう出版物は許可しない」とする出版管理条例違反を根拠にあげる。
いずれも、過度の自己中心主義といわざるをえない。尖閣諸島は明治28(1895)年、日本政府が日本の領土として閣議決定のうえ国際公告し、その後どの国からもクレームがつかなかった。中国が領有権を主張し始めたのは、近くに石油埋蔵の可能性が浮上した70年代初めから-という経緯がある。地理関係図書も、中国側が目くじらを立てるほど日本側の主張を声高に強調した内容ではない。
民主主義国家なら、自国に都合が悪いことが書かれているとの理由で禁輸にすることはしない。外国で出版され、しかも限られた空間やわずかな部数しか流布しない出版物にも独裁的な国内法令をあてはめる姿勢は孤立を招く。国際基準を旨とする五輪の開催国にふさわしい柔軟な対応を望む。
日本で刊行された書籍が中国の税関で差し止められ、日本に返送される事態がこのところ2件続いた。いずれも、中国の国内法令違反を理由にしている。北京五輪をひかえたこの時期に、言論・出版の自由に対する中国当局の硬直化した姿勢がまた表面化したといえる。非常に残念である。
上海の日本人学校が取り寄せた地理関係図書と、産経新聞が連載した「トウ小平秘録」をまとめた同名の単行本上巻(産経新聞出版発行、扶桑社発売)である。「トウ小平秘録」の方は、産経新聞社が関係者への寄贈用に送った50冊が日本に送り返され、4月刊行予定の下巻も同様に禁輸になるという。
「トウ小平秘録」は、激しい権力抗争を生き抜いたトウ小平氏(1904~97年)の軌跡を追跡したものだ。トウ氏を今日の中国発展の最大功労者と位置づける一方で、民主化を求める市民らを武力弾圧した天安門事件(89年6月)についても、当然論及している。
返送措置をとった北京税関が根拠とした「税関総署令」には「中国共産党を攻撃し、中華人民共和国を誹謗(ひぼう)した刊行物は持ち込めない」とある。したがって、天安門事件の処置はトウ氏の誤りとする「秘録」は、禁輸に該当するというわけだ。
地理関係図書は、「尖閣諸島を日本の領土としている内容」が問題視された。上海市政府は「中国領土の完全性を損なう出版物は許可しない」とする出版管理条例違反を根拠にあげる。
いずれも、過度の自己中心主義といわざるをえない。尖閣諸島は明治28(1895)年、日本政府が日本の領土として閣議決定のうえ国際公告し、その後どの国からもクレームがつかなかった。中国が領有権を主張し始めたのは、近くに石油埋蔵の可能性が浮上した70年代初めから-という経緯がある。地理関係図書も、中国側が目くじらを立てるほど日本側の主張を声高に強調した内容ではない。
民主主義国家なら、自国に都合が悪いことが書かれているとの理由で禁輸にすることはしない。外国で出版され、しかも限られた空間やわずかな部数しか流布しない出版物にも独裁的な国内法令をあてはめる姿勢は孤立を招く。国際基準を旨とする五輪の開催国にふさわしい柔軟な対応を望む。