【正論】「総統選」以後 元駐タイ大使・<岡崎久彦 「台湾人民の勝利」の意味は
台湾はすでに国際法上独立主権国家として認められる実体を有し、その国が民主的選挙で国民党・馬英九候補を選んだ。
台湾の有権者は国民党の勝利が中台統一の可能性に結びつくとは全く考えていなかったということである。そうでなければチベット事件の最中に統一の可能性のある選択をするはずがない。
馬英九氏は初めから中台統一の可能性はないと言っており、オリンピック・ボイコットさえ示唆した。台湾国民は政策で国民党を選んでおり、どちらを選ぼうが一国二制度を受け入れる可能性はなくなったと云える。
問題は支那がプロパガンダなどの工作によって台湾人が国民党を選んだと受け取る可能性があるということ。
【正論】「総統選」以後 評論家・鳥居民 「民主的交代」中国への衝撃
民進党謝長廷氏に比べて、中国に対してより融和的な態度をとってきた国民党馬英九氏の当選は、現在、世界中から批判と非難のただなかにある中国共産党の首脳たちにとって、大きなプレゼントになっている。だが、台湾のこの総統選は、中国共産党指導部が台湾の民主的な政治システムを争う余地のない事実として認めざるをえなくなり、傍観するしかなくなった結果である。
中国共産党指導部は民主主義政体の台湾の存在が国内にどう影響するかと不安を抱きながらも座視せざるをえなくなった。だが、軍と警察を自由に使えるところでは、国内へ民主と自由の理念が入ってくるのを恐れ、香港人が民主的な方法で自分たちの代表を選ぶのを許さないし、チベット、新疆に「高度な自治」を与えようとしない。
アメリカの中国専門家、スーザン・シャーク女史がいみじくも言ったように、「ひ弱な超大国、中国」なのである。
日台関係「智恵生かしたい」 李登輝氏会見要旨
多くの人々は中国大陸が怖いの一点張りで、台湾は飲み込まれてしまうと考えている。馬英九氏が当選したら、台湾がすぐ統一されるのではないかと心配する。が、不勉強にもほどがある。そんなに簡単に台湾が中国大陸にとられることはない。なぜか? 実は中共(中国共産党)は馬氏を心の底から支持しているわけではない。米国との関係が複雑すぎるというのがその理由の一つだ。私が多くを語る立場ではないが、彼はアメリカの影響を非常に強く受けている。
台湾はすでに国際法上独立主権国家として認められる実体を有し、その国が民主的選挙で国民党・馬英九候補を選んだ。
台湾の有権者は国民党の勝利が中台統一の可能性に結びつくとは全く考えていなかったということである。そうでなければチベット事件の最中に統一の可能性のある選択をするはずがない。
馬英九氏は初めから中台統一の可能性はないと言っており、オリンピック・ボイコットさえ示唆した。台湾国民は政策で国民党を選んでおり、どちらを選ぼうが一国二制度を受け入れる可能性はなくなったと云える。
問題は支那がプロパガンダなどの工作によって台湾人が国民党を選んだと受け取る可能性があるということ。
【正論】「総統選」以後 評論家・鳥居民 「民主的交代」中国への衝撃
民進党謝長廷氏に比べて、中国に対してより融和的な態度をとってきた国民党馬英九氏の当選は、現在、世界中から批判と非難のただなかにある中国共産党の首脳たちにとって、大きなプレゼントになっている。だが、台湾のこの総統選は、中国共産党指導部が台湾の民主的な政治システムを争う余地のない事実として認めざるをえなくなり、傍観するしかなくなった結果である。
中国共産党指導部は民主主義政体の台湾の存在が国内にどう影響するかと不安を抱きながらも座視せざるをえなくなった。だが、軍と警察を自由に使えるところでは、国内へ民主と自由の理念が入ってくるのを恐れ、香港人が民主的な方法で自分たちの代表を選ぶのを許さないし、チベット、新疆に「高度な自治」を与えようとしない。
アメリカの中国専門家、スーザン・シャーク女史がいみじくも言ったように、「ひ弱な超大国、中国」なのである。
日台関係「智恵生かしたい」 李登輝氏会見要旨
多くの人々は中国大陸が怖いの一点張りで、台湾は飲み込まれてしまうと考えている。馬英九氏が当選したら、台湾がすぐ統一されるのではないかと心配する。が、不勉強にもほどがある。そんなに簡単に台湾が中国大陸にとられることはない。なぜか? 実は中共(中国共産党)は馬氏を心の底から支持しているわけではない。米国との関係が複雑すぎるというのがその理由の一つだ。私が多くを語る立場ではないが、彼はアメリカの影響を非常に強く受けている。
台湾は既に主権独立国家であり民主主義による選挙で総統を選出しているだから心配は要らないだろうという論評だった。
一方選出された馬英九氏は大陸出身者であり骨の髄まで中華ナショナリズムだとする意見もある。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成20年(2008年) 3月26日(水曜日) 弐 通巻第2133号
馬英九次期政権の何がまだ危険なのか?
彼の「反日」姿勢は是正されたが、中華ナショナリズムは骨の髄まで
日本における馬英九(次期台湾総統)への危険視は急速に薄れた。当選を聞いたとき、多くの日本人は失望を禁じ得なかった。しかし国民党圧勝の現実を前にすれば、好むと好まざるとに関わらず、それが台湾民衆の選択である以上、受け入れざるを得ないだろう。
当選の翌日に小生は馬英九との記者会見で『反日』に関して直撃した。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080325/22545
(中略)
▲北京五輪ボイコットを政治利用できるか
たしかに馬英九は「五輪ボイコット」を叫んだ。
精密にかれの発言をトレースすると、馬は次のように発言している。
「もし、チベットにおける情況がさらに悪化し、弾圧が拡大するとすれば、我々は北京五輪ボイコットも選択肢の一つとして考慮の対象にする可能性を残しておく」。
北京五輪ボイコットの選択の可能性を、すでにフランスの外務大臣が述べたが、米国のブッシュ政権は慎重である。 日本政府は考慮にさえいれていない。
馬英九の持つ近未来の危険性は中台統一が究極の目的でありながらも、じつは小生らの質問に答えた次の発言のなかにある。
「次の四年、希望的にはあと八年間で、わたしの政権ができることは限られている。長期的戦略的な基礎を提示できるような努力をわたしは任期中にするが、理想の実現は簡単ではない(つまり中台統一は自分の政権では難しい)。だから当面は(ビジネスがしやすいように)中国との『和平協商協定』の締結を急ぎたい」。
このようにふとした発言に含まれている中華ナショナリズム。なぜ李登輝氏のように「中国が民主化されたあとで、話し合いをすればいい」と言えないのか。つまり馬の価値観のなかでは「民主」の上位に「中華ナショナリズム」があること、それが馬英九にまだ強固に残存する危険性なのである。
馬英九次期政権の何がまだ危険なのか?
彼の「反日」姿勢は是正されたが、中華ナショナリズムは骨の髄まで
日本における馬英九(次期台湾総統)への危険視は急速に薄れた。当選を聞いたとき、多くの日本人は失望を禁じ得なかった。しかし国民党圧勝の現実を前にすれば、好むと好まざるとに関わらず、それが台湾民衆の選択である以上、受け入れざるを得ないだろう。
当選の翌日に小生は馬英九との記者会見で『反日』に関して直撃した。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080325/22545
(中略)
▲北京五輪ボイコットを政治利用できるか
たしかに馬英九は「五輪ボイコット」を叫んだ。
精密にかれの発言をトレースすると、馬は次のように発言している。
「もし、チベットにおける情況がさらに悪化し、弾圧が拡大するとすれば、我々は北京五輪ボイコットも選択肢の一つとして考慮の対象にする可能性を残しておく」。
北京五輪ボイコットの選択の可能性を、すでにフランスの外務大臣が述べたが、米国のブッシュ政権は慎重である。 日本政府は考慮にさえいれていない。
馬英九の持つ近未来の危険性は中台統一が究極の目的でありながらも、じつは小生らの質問に答えた次の発言のなかにある。
「次の四年、希望的にはあと八年間で、わたしの政権ができることは限られている。長期的戦略的な基礎を提示できるような努力をわたしは任期中にするが、理想の実現は簡単ではない(つまり中台統一は自分の政権では難しい)。だから当面は(ビジネスがしやすいように)中国との『和平協商協定』の締結を急ぎたい」。
このようにふとした発言に含まれている中華ナショナリズム。なぜ李登輝氏のように「中国が民主化されたあとで、話し合いをすればいい」と言えないのか。つまり馬の価値観のなかでは「民主」の上位に「中華ナショナリズム」があること、それが馬英九にまだ強固に残存する危険性なのである。
日本媚中政府は今後どういう対応になるだろうか。国民党馬英九氏でよかったと勘違いし「中国は一つ」に傾いていくようでは危ないのではないか。