ハナの初めての散歩のために、ハナを連れて車で息子の工房に向かった。工房の前の木陰の小径で散歩デビューを飾らせたかった。
最初、ハナは記念すべき散歩の第一歩が踏み出せず、スタート地点で尻込みしてお座りしてしまった。初めてつけたリードと首のカラーにも違和感を感じているのだろう。リードを引っ張ると後ずさりする始末。木漏れ日の舗装道路を歩くのも初めてで、明らかに緊張のため全身がこわばっている。小径に落ちている枯れ葉や小枝や小石にも興味津々の様子だけど、一歩が踏み出せないでいた。僕も気長に待つことにした。ハナは一歩も前に歩めず、固まったままだった体も、しばらくすると緊張もほぐれて少しずつ恐る恐る前に歩き始めた。僕も超スローペースで歩く。50mほどの木陰の小径を歩いて引き返し、もう一度同じ道を歩いた。2往復して、初めての記念すべき散歩を終えた。
散歩デビューはハナにとっては勇気のいる冒険だったのだろう。帰宅する車の中でハナはおとなしく居眠りしていた。