またまたハンナがやってくれた。いたずら盛りだから仕方がない。
いつものように朝4時にラジオが流れ始め、真っ暗な部屋でベッドに横たわりながらラジオ深夜便「明日へのことば」で小堀鴎一郎医師の話(再放送)に耳を傾けていると、薄暗い部屋に何か白いものが舞っていて、捕まえようとハンナがベッドの上で跳ね出した。大小織り交ぜて多数の白いものがゆっくりと漂っている。粉雪のようにも見えるけど、違う。虫でも部屋に入ったのかなあと思ったが、違う。一体何だろうと部屋のライトのスイッチを点けた。
羽毛だ。ベッドの上にも床にも無数の羽毛が舞っていた。ハンナの仕事だ。昨晩、ベッドの上で本を読んでいる間にハンナが布団カバーやジッパーを囓っていたが、まさか羽毛の掛け布団を破っていたとは知らなかった。
夜中に動くたびに破れた掛け布団からたくさんの羽毛が外に放出されていたのだろう。仕方なく掃除機を取り出して羽毛を吸わせた。朝から大仕事だ。ハンナは涼しい顔で僕を眺めていた。