三菱自工の燃費不正問題で岡山県の景気は暗雲に包まれている。自動車産業は裾野が広い。今回問題となった軽自動車を製造している三菱自工の水島工場では製造ラインが止まり、多くの社員が自宅待機になっている。水島地区を中心に総社市など周辺にも数多くの関連企業があり、生産中止や調整で生産販売計画がガタガタになっているようだ。
特に今回の不正はかつて2000年に発覚したリコール隠しを超える悪質な不正なので、ユーザーの信頼を完全に失った。「再犯」は罪が重い。VWの不正事件でドイツ製品全体の信用が落ちたが、同じようなことが日本でも行われていた事実に言葉を失う。地に堕ちた信頼を少しずつ回復するには時間がかかるし、三菱自工の業績回復までは長くて至難の道だろう。社員やその家族の生活を思うといたたまれなくなる。
残念だけど、同じグループ会社の三菱航空機が開発した小型旅客機MRJまで霞んで見えてくる。悲観的に考えると三菱グループ全体の信用を維持するために、この際、綺麗さっぱり三菱自工を三菱グループから切り離し自動車製造をたたむ決断もあり得るように思う。
それにしても日本のメーカーのモノづくりは中国や韓国とは違うと固く信じてきたが、あの三菱にしてこの程度だったのかと日本のメーカーの企業体質の劣化に愕然とする。日本はモノづくりで外貨を稼ぎ、国家が栄えてきた。モノづくりの信用を失墜したら日本国は成り立たない。日本のメーカーはモノづくりの原点にかえらなくてはいけない。