3回目のワクチンを接種して2週間が過ぎた。今年の冬は長く、コロナ感染者も急増していて好きなドライブも控えている。週末からは暖かくなるそうだ。そろそろ海を見に鹿島あたりまで足をのばしたい。
ところで。ワクチン接種は個別ではなく、今回も総合体育館で集団接種を受けることにした。寒い日、当日は受付で整理券をもらい控室のサブアリーナに案内された。早期の高齢者枠なので、当たり前だが椅子に座っているのは皆お年寄りである。私もその一人である。
禿頭や白髪が並ぶ控室を眺めていると、自分もそういう歳になったのだと感慨を覚える。少し前までは仕事で人々のお世話をしてきたが、今は世話を受ける身になった。係員の説明も噛んで含めるように丁寧である。しかし、どこかしら違和感を感じ落ち着かない。
予定の時間になり会場へ誘導されたが、接種会場はスムーズに運営されていた。制服代わりの白いシャツにゼッケンを着用した職員もてきぱきと動いている。会場全体のシステムも合理的に機能しているようだ。当然、会場責任者がいてマニュアルを確認しながら指揮をしているはずである。順番待ちのパイプ椅子に座り、退屈しのぎに彼らの様子を見ていたら、ゆくりもなく現役時代の自分の仕事ぶりが思い浮かんできた。
もう数十年前のことになる。まだ若造だった時、九州地方のVIPや夫人、随行者が200人ほども参集する大会を任された。会議のほかにレセプションや視察など盛り沢山のイベントで、企画立案から本番の運営まで何事も初体験だった。半年の準備期間を経て大会が無事終わった時には、達成感よりも脱力感にひたったものである。しかし、その経験で大きな会議などを開催するノウハウを得た。
その後、長い職歴の中で大小の会議やイベントを運営したが、やはり緊張するのは当日のオペレーションである。全体の流れを把握しながら細かいところに目を配ることが大切で、参加者の印象はそういう所で形作られる。現場での苦情やトラブルにも対応しなければならない。そういう目で見ると、今日の接種会場の係員たちはよくやっている。
そんな昔のことを考えていたら、何だかムズムズしてきた。人から世話をされたり福祉を享受する年齢になったが、体は元気そのものである。気力もまだ枯れてはいない。こんな所にいていいのかという気がしてくる。椅子に座ってはいるが、気持ちは思わず向こう側へ行きそうになった。
フリーフォトより
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