(写真は3枚とも一人目との試合、井上勝由長正館館長撮影)
(2人目は写してないとのことです)
稽古仲間に試合巧者が何人かいる。
けっしてキレイな剣道では無いが、間合いの駆け引きが上手い。
押しなべて、打っていくと間合いを切って下がる傾向にある。
下がって防いで、面や小手、胴に返すという技を持っている。
中には下がると見せかけて身体をくの字に曲げて小手を打つ人もいる。
下がらずに身体を縮めて下から上小手を打つ人もいる。
下がって防いで胴や逆胴を打つ人もいる。
それはそれで見事だと思う。
試合でも有効だし、地稽古でも打たれることが多い。
七段を目指していた頃に師匠に出会った。
師匠は決して崩さない。試合巧者に対しても崩さない。
常に正々堂々としている。正しい剣道でしかも強い。
それを真似て今までやってきた。
もう昔のような崩れっぱなしの剣道はしたくないのだ。
そういうつもりで試合に挑んだ。
七段同士の試合だ。さてどうなるか。
一人目の方とは昇段審査のような剣道をした。
「いかなる場合も崩れない」という気持ちだ。
けっこう動く方だった。何回か面を狙うが防がれる。
少し足を出すと小手を打ってくるので返し技を出すが当たらない。
結局は誘い出しての返し胴がキレイに決まった。
師匠に教わった基本打ちのような返し胴だった。
二人目の方は拍子を取って前後に動くタイプ。
打ち間に入ろうとすると試合独特の防御姿勢で下がっていく。
さらに詰めて小手か面を狙うが、これも同じように防がれる。
あの左拳を上げる防御姿勢は不恰好だが竹刀剣道には有効な防ぎ方だ。
防御姿勢から返し技を狙ってくる。
間合いを詰められ鍔迫り合いとなる。
そこからの引き技が鋭い。左右の面、小手、胴を狙われ混乱する。
心が乱れるとどうしても姿勢が崩れる。
試合中にも「崩れるのはイヤだなあ」と思ってしまった。
お互い小手を打ち合った直後の隙に、小手を小さく鋭く打ち込まれた。
相手の隙は絶対に見逃さない。これはこれで見事だ。
「試合とはこのようにするものなんだなあ」と感心した。
感心したが崩れる剣道は真似はしたくないと思った。
二人目の方との写真は無いが、自分の姿勢が崩れた場面は多いと思う。
試合巧者と崩れないで試合をするにはどうしたら良いか。
これは今後の課題である。ともかく良い勉強になった。