稽古なる人生

人生は稽古、そのひとり言的な空間

№104(昭和62年11月20日)

2020年04月12日 | 長井長正範士の遺文


〇ぼけたらあかん長生きしなはれ (藤井寺市の天牛将富様作)

年を取ったら、出しゃばらず
にくまれ口に、泣きごとに
人のかげ口、愚痴いわず
他人のことは、ほめなはれ
知ってることでも知らんふり
いつでもアホでいるこっちゃ

勝ったらあかん、負けなはれ
いずれお世話になる身なら
若いもんには花持たせ
一歩さがってゆずるのが
円満にいくコツっですわ
いつも感謝を忘れずに
どんな時でも、へえおおきに

お金の欲を捨てなはれ
なんぼゼニカネあってでも
死んだら持っては、いけまへん
あの人は、ええ人やった
そないに人から言われるよう
生きてるうちに、バラまいて
山ほど徳を積みなはれ
  
というのは、それは表向き
ほんまはゼニを離さずに
死ぬまでしっかり持ってなはれ
人にケチやと言われても
お金があるから大事にし
みんなベンチャラいうてくれる
内証やけどほんまだっせ

昔のことは、みな忘れ
自慢ばなしは、しなはんな
わしらの時代はもうすぎた
なんぼ頑張り力んでも
体がいうこと、ききまへん
あんたはえらい、わしゃあかん
そんな気持ちで、おりなはれ

わが子に孫に、世間さま
どなたからでも慕われる
ええ年寄りになりなはれ
頭の洗濯、生きがいに
何か一つの趣味持って
せいぜい長生きしなはれや

〇余生はかくありべし、と河内弁で面白おかしく表現された文才は誠に鮮か、心を打つ教訓ではありませんか。皆さんに紹介しておきます。以上
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